カレコンのエントリー
生徒会が今回目玉に推しているビューティーコンテスト、通称カレコン。そのエントリー締め切りが迫っている。カレコンはある意味人気投票でもあり、生徒の票は当然同級生や顔見知りの先輩に入る。前日まで事前投票を受け付けるため、9月末がエントリー締切となっている。当日の飛び入りも可能ではあるが、生徒票は入らず不利になる。
「みのりさん、エントリー状況はどうですか?」
「すーごくいい塩梅よ。セーラー服部門には18名、うち女装3名、ブレザー部門は15名で12名が芸能事務所に所属してる。これなら部門ごとのカレコン大賞と準カレコンが都合計名選出されるには、グッドな人数」
「もっとバランス悪くなると思いました。セーラー服部門が意外に少ないですね」
「推薦の場合、本人の同意を求めるってルールだからね。勝手に祭り上げるようなエントリーがなかったのよ。ブレザー部門は笑えるね、芸能事務所に所属してる大半のコがエントリーしてるから! そうた、ヤマトが仲良しの清水さんもエントリーしてるよ」
あおいがエントリー……それは知らなかった。一言も相談がなかった、恐らく反対されると思ったのだろう。もし相談されていたら……100%反対しない。
「ナレーションの仕事がみんな欲しいのでしょうか?」
「本人の意思でなくて事務所の意向もあるんじゃない」
なるほど……あおいも新しい事務所に移籍したばかり、仕事を増やそうと必死なのかも知れない。頑張ってほしいが、不正はしない。
「では確認だけど、セーラー服部門はスピーチと特技、制服の着こなし、この3つのパターンでいいよね? そしてこちらは飛び入り可」
「間違いありません」
「ブレザー部門はスピーチと着こなし、水着の3つでいいわよね? ヤママトって策士よね、水着審査あってもイケると踏んで取り入れるなんて。しかもブレザー部門で……」
「実はこの能力を、、悪知恵、っていいます(笑)」
今回のカトレア祭では例年より3年生の参加が多い。指定校推薦を受けられる人が20名は増えたので、単純に昨年より20名は確実に参加者が増加している。3年生でカレコンにエントリーしてる方も数名いる。
「ブレザー部門は面白そうね、殆どプロだから。それに、国営テレビで全国放送もされるから、みんな本気だと思う」
カレコンは2日目の最終日。ファイナルで盛り上がるだろう。
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(ヤマト、私がエントリーしたこと気付く頃かな)
あおいは気がかりである。ヤマトはきっと反対する。多くの人の前で水着になるのが嫌だと、ヤマトに泣きついた、その行為が色目を使ったと思われたら……きっと軽蔑される。でもどうしても副賞がほしい。事務所も移籍したばかりなので存在感も示したいところである。
〜夕方、いつものファミレスで待ってるから〜
ヤマトから短い連絡が入る。どんなに反対されても、カレコンには出ると決めている。
いつものファミレス。外で会うときはココで会うことが多い。ヤマトは先に来ていた。
「ごめんね、待った?」
「そうでもない。もう来ると思ったからいつもの頼んでおいたから」
ヤマトの様子は……いつもと変わらない。でもどこかのタイミングでカレコンの出場について話してくるはず。
「実はね、この前とっても腹立たしい事があったんだ」
いきなり……あおいは覚悟をした。彼氏の最短記録かも知れない……。
「なに?」
「シャロンの授業のこと、2年生の先輩に聞いたんだけど……聞いてたらイライラして」
あれ? 違った……シャロン先生が生徒の間で話題になっていることは結構耳にしている。
「なんで怒ってるの?」
「そりゃそうだよ。シャロンは懸命に生き延びてきたんだよ、その過程で起こったことが、生徒の間で、面白い冗談として認識されている。心から許せない、生徒が悪いわけではないけど……愚痴くらい言わせてほしい」
「シャロン先生のこと、私も少し聞いたよ。エッチしてる間に殺しちゃうとか、そんな話だった、と思う」
「そんな辛い思いしてきたんだよ。彼女は……。それだけではない、一度敵軍捕虜になってるから……20歳前の美少女が兵士どもからどんな目に遭ったか……考えるだけで涙が出てくる……」
あおいもその話を聞いてショックを受けた。事実を話しているとは……同じ女性として胸が苦しくなる……。
「あおい、別に彼女達を哀れんで泣くことはない。だって彼女達はそれに耐えて生き延びた、言わば勝者だから。オレなんかより遥かツワモノなんだよ」
あおいは涙を拭う。カレコン出場で別れ話、とかお花畑みたいな事を思っていた自分に嫌気がさす。
「この話はこれでおしまい。オレはそんな辛い体験でも生徒とのコミュニケーションツールになればいいって思ってる、だからむやみに怒れない……」
「私で良かったら、いつでも聞くから!」
「ありがとう、そうそう、あおい、カレコン出るんだって? 終わったな……」
終わった……最短記録が更新された…………
「でもどうしても出たかったの、ヤマトが嫌なのは分かるけど…………ごめんなさい」
「え? なに? 心から応援するよ。あおいが出たら優勝確定じゃん、だから他の人は終わったよな、ってことだよ? あおいの魅力をフルに魅せてあげようよ!」
あおいはホッとした…………
みなさんいつもありがとう
もしかしたら……投稿順が間違ってるかも……。この投稿は付け足しでもっと前に入れるはずだったかも……。




