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ユアプロモーション

 寝不足である……。この週末、3時間しか睡眠を取っていない。ヤマトはあおいにヒメリンの事について質問してみた……それが金曜日夜。話が止まらない、結局明け方まで話し込み、あおいの寝落ちで話が終る。


 そして土曜日。朝から学校てカトレア祭の準備、夕方からあおいと会う約束をした。あおいはアイイクの大量の記録DISCを持ってきた。オンデマンドではない特典映像があるらしく、1日の視聴ノルマも設定された。


 日曜日はノルマをクリアすべくアイイクを視聴、確かに面白いが、特典映像がダルい。夜は他の作業をしていてアイイクに取り掛かれたのが深夜3時、ここから最終章の映画を2時間半。最終章はアニメと違って悲しく感動する物語りになっている。感動する場面も、アイイクの全作品コンプリートの達成感が強く、嬉しささえ感じる。


 そして月曜日の放課後、渡邉先生とあおいと3人でユアプロモーションに来ている。


「ヤマト、シャキッとしなさいよ」


「あおい、無理だよ。週末はずっとアイイクだったから。目は開いてるだけだからあとはよろしく」


「桜井くん、アイイク観たことなかったの? 男の子なのに珍しいわね……」


 渡邉先生にも他人事のような雑な扱いをされている。事務所の応接には原画が飾られている。吹奏楽部の物語なのだろう、サックスを持った高校生が描かれていて、傍らにサインがある。


「あの原画も高そうだな……」


「あれはヒメリンの師匠と呼ばれた早川みさおさんのサインよ。ヒメリンの事なら何でも聞いて」


 あおいはヒメリンと聞くとフルパワーになる。




「どうもお待たせしました。ユアの代表してます足立です。今日は起こし頂いてありがとうございます」


「何よ、透さん。固いわよ、みんな舞とか私の後輩なんだから。フレンドリーに接してよ」


 渡邉先生がユアの代表にダメ出しをしている。芸能事務所の予備知識、ヤマトは持ち合わせていない。


「香菜ちゃんはいつも僕に冷たいよね……」


「うん、それでよろしい。それより舞は? 来るって言ってたけど……」


「飲み会から合流だって。舞に聞いたんだけど、お2人は舞のサッカー教室手伝ってくれたり、試合にも来てくれたんだって! ありがとう!」


「足立さんって……舞さんの旦那さん……」


「なんだよ香菜ちゃん伝えておいてよ」 


「忘れてた……」



△△△△△△△△△△△△△△△



 最近はカトレアも変わってきた。舞が在籍していた頃は男性が生徒会長なんてあり得なかった。例え主席入学でも学年1位でも生徒会役員止まりだったはず。県立になってから変わってきたのであろうか。


「ではまず簡単な方から片付けよう。りんちゃんの契約ね。これ、契約書だからここに桜井くんがサインしておしまいだよ。細部は送ったものと同じだから」


 ヤマトはざっと契約書を見てサインをする。


「あとでりんちゃんが挨拶くるからね、2人は1年生だからりんちゃんとは学校が被ってないかぁ。気が強いタイプだけど、言ってるだけだから安心して」


 そしてここからが本題である。あおいの移籍…………


「あおいちゃん、って呼んでもいいかな? 話はアカサンの会長から聞いてるから。会長からはあおいちゃんの意向を優先するって」


「社長、私の是非移籍したいです」


「なんで? アカサンは業界でも最大手の芸能事務所だから夢を叶えようと思ったらそっちが早いよ?」


「あの…………私…………ヒメリンの大ファンなんです」


「……なるほどね。それで芸能界に?」


「はい。学校もです。ここには何回かオーディション来てて……落ちてます」


「そうかぁ…………だって香菜ちゃん」


「清水さん、あまりみんなに言ってないけど、私と舞は姫と仲良しだったの。キスしたこともあるわ(笑)」


 渡邉先生はどこか遠い目をしている、だが涙は流れていない……。


 10年前に施行された情報統制法と個人情報消去法によって、ネットでは容易に個人に関する情報が取り出せない。こんな近くに伊集院さんの関係者がいるとは……ヤマトは舞さんや渡邉先生が伊集院さんと同級生だとは思ったが、まさか伝説の4人組の1人であるとは予想してなかった。


 気まずい沈黙が続いたが口を開いたのは渡邉先生であった。


「清水さん、姫に憧れて芸能界で姫を目指すなら……周囲の人を大切にしなさい。姫は自分よりも周囲の人を大切にしてたわ」


「そうだった。自分がどんなに忙しくてもファン対応は神って言われてた。ファンへの向き合い方がウチの方針とピッタリだったよね」


「私達の心の中とか色んなところで姫は生き続けているの。だからあまり悲しいとか思わない」


 話が伊集院さんのことになってしまった。足立社長が念を押すようにあおいに話しかける。


「ファンを含む周囲の人のために芸能活動していくって、ここで誓えますか? あおいちゃん…………」


「はい! お安い御用てす。私はヒメリンにはなれませんけど想いは継承していきたいです!」




「失礼します 社長?」


 中井りんさんが挨拶に来た。小柄で華奢、ショートカットで目が印象的、テレビ等で観るより大人しい雰囲気がある。役柄のせいであろうか……


「香菜先生、ご無沙汰してます。で、こちらは? 見ない顔ね……」


「はじめまして、生徒会長の桜井ヤマトと申します。今回のカトレア祭の司会、受けていただいてありがとうございます!」


「あれ? 生徒会長って、みのりじゃないの?」


「みのりさんは副会長で自分の後見人みたいな事をされています」


「あの子のやりそうなことね(笑)。で、こちらは?」


「清水あおいです。これからこちらでお世話になります」


 りんさんの目つきが変わった。ライバル視をしたのだろうか……。


「あらよろしく。私、忙しいので失礼するわ。香菜先生、いつもお綺麗ですね、ではカトレア祭の日にお会いしましょう!」


 とっとと居なくなってしまった。気が強い……か。

みなさんいつもありがとう


 少しずつカトレア祭に近づいてます。そして三姉妹の物語も……。

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