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夏の終わり

 カトレア祭の準備は着々と進んでいる。夏休みに恒例化したジョージからの依頼、1つのミッションをこなして以降追加もなかった。この時期は、どうしてもセンシティブになる、夏の終わり……最愛の人との別れ……。


(うーん、毎回これでは駄目だ。気晴らしに行きたいが……ミクは仕事でいないのかぁ)


 携帯に連絡が来る。あおい……昨日まで仕事でやっと今日から短い夏休みになったみたいである。直接電話をしてみる。


「もしもし、あおい?」


「ヤマト、電話くれるなんて珍しいね」


「お仕事お疲れ様。8月はずっと仕事だったようだね」


「うん、結局夏休みのお出掛けは伊豆高原だけだったよ。あー、もうすぐ学校かぁ」


「オレも同じようなものだよ。母さんと富士山行ったくらい、あとはカトレア祭の準備。そうだ、これからどこか行かない? ヒロシとかも呼んでさ」


「え…………行きたいけど……大勢で行くのは……嫌かも」


「わかった。あおいが仕事頑張ったご褒美にオレがどこか連れて行ってやるよ どこがいい?」


 あおいは黙り込んでしまった。少しの沈黙……


「あの……あのね、私、一応アイドルだから……男の人と2人で歩くとか、なんか怖くて……迷惑かけちゃったりしないかって」


「オレは別に気にしないよ。同級生なんだし、普通の事だよ。そうだ! 今日の午後から舞さんのサッカーの試合あるから観に行かない? 同級生と先輩の試合を観に行く、それなら問題ないでしょ」


「…………うん! わかった。今から支度するね!」


「では12時半に横浜でいいかな? 昼は中途半端だから、たくさん応援して夕方一緒に食べようよ」


「りよーかい!」


 あおいと2人で女子サッカーの試合を観戦することに。夕食は最寄り駅にある、洒落たレストランを予約した、これはあおいへのサプライズだ。


 気晴らしには丁度いい。



△△△△△△△△△△△△△△



 あおいは嬉しい。ヤマトが誘ってくれた。事務所からは特定の男性との交際は禁じられている……ファンに見つかってしまえば騒ぎになるのは分かっているが、断る選択肢はあおいにはなかった。心の中でたくさん言い訳を考えている自分がいる……それでも。


「あおいー、どこか行くの?」


「ママ、ちょっと友達とサッカー観てくる。カトレアの卒業生が出る試合が横浜であるの」


「気を付けてね。最近は変な輩も多いから……」


「ママ、フラグみたいなこと言わないでよ(笑)」




 8月も後半、涼しくはないが風が強い。白いワンピースにサングラス、帽子も白い。本当はもっとお洒落をしたがったが、やり過ぎはトラブルの元になる。


 待ち合わせ時間の30分以上前に待ち合わせ場所である横浜駅の東口改札、コンコース横の売店に着いた。


「あれ? 早いね……」


「ヤマトこそどうして……まだ30分あるのに……」


「オレもそれだけ暇なんだよ……それに淑女を待たせるなんて性に合わないから」


「相変わらず、オクチは上手ね(笑)」


「では少しだけデパート寄ってから行こうよ」


 ヤマトはハーブティーやアロマを買いたいらしい。リラックスするためのグッズ……どこかのセレブなオバさんみたい……。


「いつも通販で同じメーカーのしか買わないけど、たまに来ると良さ気なやつ多いかも……」


 水出しのハーブティーや入浴剤を見繕って購入していく。本当に早い、まとめて配送の手続き。


「オレはもう買いたいものないけど、あおいは見たいものないの?」


「うーん、ネックレスが欲しいかな……」


 ヤマトとネックレスを見た。可愛い花があしらわれたペンダントヘッド、買いたかったが……23万かぁ、流石に高い……でも2人でショッピングなんて、恋人同士のようで楽しい。一度化粧室に寄って、いざ、サッカー観戦デートの再開である。




△△△△△△△△△△△△△△△△




 サッカー観戦なんて何十年ぶりだろう。試合は舞さんの所属する東京が横浜を圧倒、スコアは4対0であった。舞さんは来シーズン海外移籍の話が出ているようで、ユニフォームなどは売り切れてしまっている。ファンにとってグッズはとても人気のあるもの……副賞でこの考え方を使えそうだ。


「知人が出てると興奮するもんだね!」


「うん、舞さん凄かった。ボール取られたりしないし」


「応援して疲れたし、昼から何も口にしてないから腹ペコ、これからあおいのお疲れ様会やろう! 2人で!」


 予約したのはALICEという名前のフレンチ。割とシンプルでカジュアルなお店でおる。


「ヤマト、こんな高そうなお店……ご馳走してくれるなんて、悪いよ……」


「気にしない! 別荘のとき話したでしょ、オレは規格外なの! この程度で恐縮しない。それよりもあおいに楽しんでほしいんだ」


「ホントにありがとう。なんかとても良い思い出になりそう……これ夏休みで一番かも(笑)」


「あおいも笑顔が可愛いな。そうだ、これ……欲しそうにしてたから……」


 あおいがずっと眺めていたネックレスを渡した。あおいが化粧室に行っている間に購入しておいた。確かに素敵な逸品、あおいにはとても似合いそうだと思った。


「え? …………ありがとう…………」


「あおい、着けてみたら? きっとあおいに似合うと思ったんだよ。これは……日頃あおいが頑張ってるご褒美」


 あおいは戸惑うもネックレスを着ける……よく似合う。


「やっぱ美人だと逸品も映えるな! 大丈夫、体で払えとか冗談でも言わないから(笑) 貰ってくれ」


「うん、ホント、素敵」

みなさんいつもありがとう


 あまりにブクマも評価も少ないのでもしよろしければお願いします。

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