カトレア祭に向けての話し合い
今日は朝から学校に向かう。今年のカトレア祭の概要について生徒会で話し合うためである。夕方には理事長が参加する予定。しっかり決めていきたい。
「おはようございます」
「おはよう」「おはようございます」
集まったメンバーは前生徒会長の疋田あまねさん、現生徒会副会長の今中みのりさん。生徒会の頭脳が集まった。静は来ていない。
「ではまず、みんながまとめた企画を検討しよう!」
あまねさんが仕切る。ヤマトは3人分の企画書をまとめて配る。3人はそれぞれの企画書に目を通した。
「ヤマト、あなたの企画してきたビューティーコンテスト、面白そうね」
早速あまねさんが食いついてきた。
「以前はミスカトレアコンテストだったみたいですけど、時代の変化を踏まえて作ってみました。どうでしょう?」
「うーん、ブレザーの部、は人数が集まるかしら?」
みのりさんが指摘する。ここが一番のネックなところ。果たして湊まるのか……。今や男女平等の時代、ミスコンを改めビューティーコンテストにした。部門は2つ、セーラー服部門とブレザー部門。セーラー服部門は男性の参加OK、ブレザー部門は男性の参加は不可。セーラー服やブレザーは持っていなければ生徒会で貸与することになっている、ここは生徒会から卒業生に向けて貸与を打診することで調達可能である。
「男性のセーラー服部門参加って必要かな?」
「そこは必須です。男性が完全排除されてしまいますから。ここにはありませんけど、生徒会や芸能事務所に所属している人も参加を認めないのはどうでしょう?」
「それはいいね。あとは目玉になる審査員かな……誰かいる?」
「審査員かぁ……少し考えてみよう。あとは……優勝した時の副賞とかですね」
「美人と言えば……審査員は武田百合さんにお願いしてみない? スケジュール空いてたら来てくれるかも……」
あまねさんの提案である。これは大きく出た、映画やドラマで大人気なカトレア出身の大女優。番宣やバラエティには一切出演しないが、それでも大人気。これまた昭和の銀幕スターのような伝説的存在。そして……伊集院姫さんのアイドル時代の相方。
「わかりました。私がアプローチしてみます。あと、サッカーの日本代表の足立舞さんなら連絡先知ってるのでこちらも当たってみます。特別審査員は何人いてもいいですから!」
ヤマトが名乗り出た。丁度いい、武田百合さんは伊集院さんの親しい関係者なのでいつかアプローチする予定であった。コネはいくつかある、どれを使えば効果的か……それを今考えている。
他の審査員は藤川校長、先生方の代表、地元柳商店街の関係者、その他は特別審査員の人数に合わせて昨年度卒業した元生徒会長や在校生にお願いすることに。審査員は全員カトレア関係者に決定した。
「あとは副賞よね……」
「海外旅行とか派手なやつがいいよね〜」
「あまねさん、それ、個人の協賛っていいんですか? それなら僕が用意しますけど」
ここで話し合っても決まる気配がない。丸投げしてもらうに限るとヤマトは考えた。資産は……チート級である。庶民の生活をしていたら使い切れないので、ここで減らいておきたい。
「校長の許可は必要かな。あとはカトレアに相応しい副賞かどうか、金額ではなくて……」
「別荘とかはどうですか? 車とか和牛1頭とか」
「何バカな事言ってるんだ。面白いし盛り上がるかもしれんが、そんなの協賛できないだろ」
普通に出来る。
「校長の許可が必要なら校長と2人で考えてみます。僕が協賛出来るもので、貰って嬉しいもの」
「ここでは決まらなそうだからお願いする」
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夕方には藤川校長が合流し、ビューティーコンテストの概要を話し合った。どうにか説得をして、ついでに審査員も引き受けてもらった。副賞の話は後日ヤマトと話し合うことに。ヤマトはミーティングの後、生徒会室の片付けをしている。
「あまねさん、僕いつも思うんですけど、この鍵ってなんの鍵なんでしょう?」
「あー、それかぁ。全く検討がつかない。一応学校内全ての鍵穴に差してみたけど違ったよ」
「あまねさん、生徒会ってそんなに暇なんですか(笑)」
「なわけあるものか! 権力で生徒にやらせたんだ」
つくづく面白い学校である。この権力、法に触れなければ何をしてもいいらしい。生徒会には財力もある、TSホールディングスとRホールディングス、という2つの上場企業が生徒会のスポンサーになっている。
「これ、誰が残したか分かってるんですか?」
「この前事故に遭った伊集院さんらしいんだ」
飛行機事故から5ヶ月経過している。事故から3ヶ月までは行方不明、その後死亡扱いになった。
「あまねさんは伊集院さんにお会いしたことあるんですか?」
「もちろんある。毎年カトレア祭の2日目に来ていた。だが、お忍びで来てたので生徒会でアテンドしてた。私も去年アテンドしたよ。卒業式も来るが顔を出して話すことなく帰っていく感じだったな」
「その鍵のこと聞いたことないんですか?」
「ある。お宝の鍵だって言ってた。探した人に進呈したいとか言ってたよ……」
伊集院さんの宝の鍵、また解明すべき謎が増えた。
みなさんいつもありがとう
今日の投稿はこれで終わりです。明日からあと3日、2話ずつ頑張ります。
そして、いよいよカトレア祭(文化祭)に突入していきます。ここは書いてても面白いです。




