ジョージからの依頼
ヤマトは三姉妹のエピソードをジャックに報告した。その数日後、ジャックから連絡がありジョージがホットラインで話したいという。これ、毎年夏休みに起こる定番イベントみたいなものである。2年前は地域紛争解決に奔走した、でもこれはヤマト自身も絡んでのことであった。そして昨年は……思い出したくもない。ヤマトは合衆国のスパイでもなければ、特殊工作員でもない。普通の日本の高校生なのだ。だがホットラインを使ってくる案件は……重いに決まっている。
時間になった。
「やあ、我が友よ!」
「ジョージ、そっちはおはよう、の時間かな?」
「そうだな。と言いたいところだが、こんばんわなのだ。今極秘に横須賀に来ているサラの代理として」
サラ、とは現在の合衆国大統領、サラ・ライマン。女性大統領である。40代半ばで大統領になった彼女には特技がある、それは仕事をすること。ライマンの別名をつけると……ヤマトは密かに社畜と呼んでいる。
「何だよ、社畜からの依頼?」
「ヤマト……これサラにも繋がってるよ…………」
「ヤマトくん、なにそのシャチクって? 日本語で美しいとか偉大だってことを表すスラング?」
「いや、あのー、働き者という褒め言葉です……」
このホットラインは秀逸である。自国語を話すと勝手に変換される。しかし、スラングは変換されない。世の中便利になったが、AIはいつまで経っても空気が読めない。
「それでね、ヤマトくん。調べてほしいことがあるの」
「サラのお願いを断れる高校生は世の中に居ないよ。法に抵触する事なら断りますけどね」
「それは大丈夫。ある人の安否を確認してほしいの」
「誰ですか?」
「㈱ミライテクノロジーって知ってる? そこの主任研究員の相川華さん。3ヶ月前から生存確認が取れてないの。これは会社ぐるみなのか、日本政府がやってるのか、それとも武器屋に葬られたか……その情報がほしい」
「人探しですか……で報酬は? もうお金は要りませんよ。私の喜ぶことにしてください」
「ヤマトよ喜べ、きっと満足する報酬を用意する。今回のミッションはジャックとシャロンの3名で行ってくれ、もちろん、君がオフィサーだ」
「分からなかったという報告でもいいのですか?」
「それでもいい。ヤマトが探せないということは葬られた確率が上がるから、その方向で物事を進めていくから」
「分かりました。安否確認だけですね。他に制約は?」
「後で詳細をおくるが、日本政府とミライテクノロジーには知られないようにしてくれ」
「サラ、私は我が母国を裏切るような仕事なら断りますよ、そこは大丈夫なんでしょうね……」
「神に誓って!」
「オーケー プレジデント」
㈱ミライ関連、伊集院姫さんの安否情報も同時に調べられる、そんな打算もあり引き受けることにした。
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「ミッション F」と命名された指令が遂行された。情報収集はヤマト、周辺警固はシャロン、何でも係がジャック。これは強力な布陣である。だが、ヤマトには時間が限られている……ヤマトはカトレアの生徒会長である、秋に開催されるカトレア祭の準備をお盆休み明けあたりから進めないとならない。
必要な基本情報をまとめるのはジャックに任せる。シャロンはまだ出番はない。ヤマトは……丸投げして学校に向かう。
「校長先生、おはようございます、桜井です」
「おはよう、桜井。実は私に急用が出来てしまってね、後で渡邉先生が私の代わりにカトレア最初は準備の話を進めるから……ではよろ」
校長先生はそう言うと居なくなってしまった。暫くすると渡邉先生が生徒会室に来る。今日は渡邉先生と2人で打ち合わせ、お盆明け副会長と前生徒会長の3人で本格始動する。
「渡邉先生、おはようございます」
「ヤマトくん。おはよう」
「では始めましょう。で、先生……何から決めればいいんですか?」
「うーん、わからないっ(笑)」
ヤマトは頭を抱えた……だが、渡邉先生の笑顔は……超絶可愛い。こりゃ資料を頭から確認する必要がある。読んで理解できない箇所はないので読めば終わる。
渡邉先生は凄い! ヤマトが資料を確認してるのをニコニコ見ているだけ。またその笑顔が男泣かせ、力が漲る気がする。集中して読んでいると、渡邉先生の携帯が鳴る…………
「あれ、知らない番号……ゴメンね、ヤマトくん。ちょっと出るね……もしもし、あれ? 華? 久しぶりね。携帯変えたの? 誰かと思った」
「ごめん、ちょっと長くなりそう……外すね」
あれ? 確か……伊集院さんと足立舞さんは同級生、そして足立舞さんの友人の香菜、と呼ばれる人物が渡邉先生。渡邉先生は今、携帯を変えた華さんから会話をしている。もしや……これはジャックの権限で調べてもらおう……。
みなさんいつもありがとう
頑張ってGWに2話ずつ投稿してますが……ブックマークが一つも増えません(笑) 7のまま……本当に投稿されているのてしょうか……。
でも2話ずつ投稿します!