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初めての渋谷

 リーナは初めて外出というものをした。日常生活に必要な物の買い出しはシャロンにお願いしている。自由に使える携帯電話が支給されているが、リーナはシャロンとニーナとの情報伝達にしか使っていない。ニーナはこの携帯から様々な情報が得られると喜んで、よく使っているが、リーナには警戒するもの、という認識しかない。シャロンもよく使っている様子である。


 そして……渋谷に着いた。


「着いたね〜渋谷」


「早かった……」


 車窓から見える風景は、社会科の授業で見た光景と同じだった。多くの人が行き交い、車が走り、鉄道か通っている。人の多さにめまいがする。沢山のカラフルな看板、高いビル、人々の眩しい笑顔……。


「天国…………なのかな……」


「何いってんの、ここは渋谷、私達若者の街よ。たくさん案内するね!」


「じゃあ、最初はマルハチ行きましょ。そのあとお昼ね!」


 リーナはあおいや静、ニカに対しての警戒心は解いていない。ニーナは大丈夫だというが……。買い物の前にヤマトから黒いカードを渡された、そこには時分の名前が書いてある。これで買い物をするようだ。


 社会科で履修した通りの光景。まず洋服がたくさんあるビルに入る。男性陣は他の店に行くという、シャロンと静は生活雑貨を見にデパートに、リーナはニーナとあおい、3人で洋服を買いに行くことに。一旦バラバラに分かれて買い物をした後、お昼に合流する予定である。


「ニーナ、これあなたに似合うわよ! 着てみて!」


 あおいがニーナに洋服を勧めている。その服ときたら……廃墟の裏に立つ娼婦のような服だ。他にもいろいろな服がある、リーナも少しだけ興味を持った。


「あおい、この銃で蜂の巣にされたような服、買う人なんているの? あとこのGパン、破れているわよ」


「あー、これね、全部ファッションよ。好みは人それぞれ、好きな人が好きなものを買えばいいって感じかしら。リーナは気になる服はない?」


「姉さんは青系が好きだからこれなんかどう?」


 ニーナが持ってきたのはワンピース。丈が短いが動きやすそうである。


「常に敵に備えるには理想的ね」


 あおいが笑っている。何か変な発言をしたのだろうか……。リーナは店内を見渡す。あら、これ……可愛い


「リーナ、それ気に入ったの? 試着してみれば?」


 それは薄い空色のワンピース、胸のところのリボンが……可愛い。このリボン、防弾にもならないし武器も隠せない、無駄なリボン……美的な満足、それがファッションであるとリーナは理解する。


 そこからのリーナは早かった。気に入ったものを5着選んでさっと買ってしまう。まだ他の2人は上着を一着しか買っていない……。



△△△△△△△△△△△△△



「ではみんな集まったかな?」


「ヒロシ、何を予約しておいたの?」


「もちろん寿司だよ。だってヤマトの奢りだろ!」


「この中で魚貝類食べられない人いない?」


 全員大丈夫そうである。すしだらけ、というお店。回転寿司ではないのはナイスなチョイスと言っていい。特に三姉妹には楽しい体験になるだろう。


「シャロン、これはツナ、マグロだよ、美味しいから食べてみて!」


 シャロンと静は仲良くなっている。リーナは満足した顔でたくさんの買い物袋をニヤニヤ眺めている。ニーナはわさびに苦戦、それそれが楽しんでいる。笑顔が眩しい。



 午後はみんなでゲーセンに行く。


「静、私、あれやる!」


 シャロンがやりだしたのはゾンビのやつ。ガンさばきは本物なのですぐにハイスコアをマークした。


「シャロン、シューティングゲームが好きならそのスマホでもたくさんできるぞ。後でアプリ入れてあげるよ」


 こうして伝説のBPEXプレイヤーが誕生した。



 リーナとニーナはプリクラに入り浸り、ニカとあおいと4人で楽しんでいる。ヤマトとヒロシは拍子抜けしている。


「なあヤマト、リーナとニーナの笑顔見てくれよ……笑顔っていいよな……」


「なんだ泣くなよ、らしくない」


 ヒロシはいいヤツだ。三姉妹と遊ぼうと提案してくれたのも彼、だから昨夜、ヒロシには真実の動画を見せた。死体の山から三姉妹が監禁されていた鉄格子までの一部を。


「だって……」


「オレはヒロシが誇らしい。オレが最初に彼女達に必要だと思ったのは正しい教育だと思った。遊びが必要だとは2年間気付かなかったからな。ありがとう」


 ヒロシとの友情を醸成していたその時、如何にもガラの悪い6人組が入ってきた。そしてシャロンに声をかけ始めた。


「ヤマト……シャロンと静がナンパされてるぞ、オレ、助けてくるわ」


「やめておけ、オレ達ではあの人数相手に出来ない。怪我をするのはゴメンだからな」


「でも…………」


 シャロンと静は外に連れて行かれてしまった。


「ヤマトおれ…………」


「安心しろ、すぐに戻ってくるから」


 ヒロシの心配を余所に2人は帰ってきた。静は青ざめている。


「よし、みんなを集めて撤収しよう!」



 夕食はファミレスへ。これも3人の為である。食事をしたらシャロンが全員を自宅近くまで送る、そして解散という流れになっている。


「シャロンってヤバかったの……男の人6人もいたのに……シャロンに男の手が触れた瞬間あっという間にぶっ飛ばしちゃって……」


 当たり前である。各国の特殊部隊と互角に渡り合える格闘術を持っている。リーナもニーナも素人ならば喧嘩で遅れを取ることはない。シャロンの笑顔も弾けていた。

みなさんいつもありがとう


 楽しい買いものエピソードになりました。次回は、恒例? の夏休みミッションが…………。

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