2年前〜日本での生活
大統領との会談の4日後、三姉妹とヤマトは日本に帰国することになった。送迎はアメリカの軍用機である。沖縄の基地まで行ったあとに政府専用機で羽田に向かう。道中はとても快適である。
「ニーナ、目の傷跡はかなり良くなったね。日本についたらまず治療しよう」
「そうですね、こんな醜い姿ではヤマト様に申し訳が立ちません。身綺麗に致します。いつでもお世話が出来ますように……」
この三姉妹は何度話してもそんな話になる。今までの扱われ方がよく分かる。確かに3人とも美型であるが、その生い立ちを思うと、不憫でならない。香港生まれであるらしい。顔立ちが日本人にも似ているので暗殺部隊養成所では日本語も習っていた。だが、日本語を話す外国人、というレベルか。
「私はニーナに穏やかに暮らしてほしいと思ってるんだよ。日本って砲撃とか空爆とかないからね。もちろんボディガードの必要性もない」
「私はそれが信じられないのです。でもそれが本当なら……私の想いは……何でもないです(笑)」
ニーナは三姉妹の末っ子で一番明るい。最後まで希望を捨てずに兵士に抵抗した、が、そのために片目を失う羽目になった。だが、彼女が守りたかったもの、は失われずに済んだよう。双子の姉のリーナは人とはあまり話さない。特に男性に対しては警戒心が強い。シャロンも必要な事柄についてはよく話す。打ち解けるには時間がかかりそうである。
「日本に着いたらやりたいこと探すのがいいよ。当面3年間は日本の水準に上げるまで勉学に励んでもらうことになるけど。その後は……自由な人生が待っている」
「ヤマトのボディガードを一生することも自由だよな(笑)」
シャロンが笑いながら話しかける。7歳上と言ってもまだ20歳を少し過ぎたくらい。ちなみに三姉妹の中では最強という話だ。捕虜になった当初はとはまるで別人、ここ数日で、自分が政府に洗脳されていたことを理解している。前向きな発言も多くなってきた。
「シャロン、日本では夜間に女性が一人で歩いていても平気な街なんだよ。治安がいいんだ」
「何度聞いても信じられない。また洗脳されてるのかも、と考えてしまうよ」
羽田空港に到着した。そこには……ジャックがいた。サプライズでのお迎えをしてくれている。
「ジャック、わざわざありがとう」
ヤマトは固く握手をする。
「ヤマト。今日私が来たのはほかの用件もあったからなんだ。これから一緒に来てくれないか……」
ジャックからの用件、それはジャックやほかの隊員が日本滞在のときに使っていた別荘の譲渡の話であった。伊豆高原にあって目立たないらしい。三姉妹の教育を考えているヤマトにとっては有難い申し出である。学習についてはオンラインでのカリキュラムを組む予定である。
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「姉さん、私達どうなるのかしら……」
「あれ以上、最悪の事にはならないと思う」
シャロンとリーナが話をしている。2人はまだヤマトを警戒している。シャロンは凄い、警戒心を悟られないでヤマトと接している。対してリーナはそこまでの技量はない、自ずと口数が少なくなる。3人の時にはたくさん話をするのだけど……。
「2人ともそんな悲観的になっても仕方ないよ。前向きに行きましょ!」
「ニーナはいいよな明るくて。私達の希望の光だよ」
「だって心くらいは明るくていかないと! 私の目左目から光が失われてしまったんだし」
姉さん達は ハッと気づく。ニーナは敢えてそのことを伝えた。姉さん達がいつまでも後ろ向きでいてほしくないから……
「ごめん……ニーナ……」
大きな別荘に着いた。3人はここの警固をするらしい。警固というより別荘の管理、そんな話をしていた。そしてここで日本の教育水準まで引き上げるための勉強もすることになっている。姉さん達は新たな洗脳なのでは……と警戒心を持っているがニーナは違う。ヤマトの優しい目が忘れられない……。
「ではみんな、降りてくれ」
ジャックに促されバスを降りる。庭があるが花は咲いていない。今まで訓練していた建物とは趣が違う、素敵なドア、玄関を入る、広々した空間が広がる。3人の部屋は2階、4部屋あるがそれぞれが好きな部屋を使っていいらしい。勉強するのは1階にある会議室、ダイニングやキッチンも1階にある。
荷物を置くと会議室に招集がかかる。そこで明日からのことを説明されるらしい。
「ではこれから明日からみなさんが取り組むことをお話します。まず勉強してください、午前中と午後合わせて6時間オンラインにて勉強です。これが時間割とカリキュラムです」
ヤマトからスケジュールとテキストを渡された。
「次にこの別荘の管理の役割分担をお話します。シャロン、必要なものの買い出しや外部とのやり取りの担当を命じる! そしてリーナ、ハウスキープと料理、別荘内の管理を命じる」
「そしてニーナ……衣類のクリーニン並びに庭園の手入れ担当を命じる、その庭にたくさんの花を咲かせてくれ」
ニーナは首を傾げる。花を咲かせる? なぜだろう
「そして最後に……これがみんなの制服だ。まあなんだ……奴隷服のようなものた」
(かわいい! ヤマトは3人にフリフリついた白い服を配り始めた)
みなさんいつもありがとう
回顧録はこれで終わりです。次回は話の続きに戻ります。60話まで書き終えてます。ちょうど12月くらいかな割(笑)。1学年で100話到達しそうな勢いです。




