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2つの事故

 隕石落下事故による人生の再スタート、アディショナルライフ……二人目の再スタートは桜井ヤマト氏、彼の高校時代にスポットを当てた作品です。


 第一話に本作品の最大のキーマン、伊集院姫さんが出てきます。主人公が通う予定のカトレア高校の卒業生で生徒会長、高校生から声優として活動し、アイドル声優として一世を風靡。アイドル声優活動は高校を卒業と同時に引退。大学3年生までアニメの大作である、ドラゴンと魔法使いの主役、ソラ姫を完結まで担当。その後は株式会社ミライに就職し、世界平和のために尽力していた人物です。


 前作をご覧にならなくてもストーリーは展開されますのでご安心ください。



「ミク、予定日過ぎてるのに歩かせてごめんな」


「恭一、気にしないで。妊娠は病気じゃないんだから! 全然平気よ」


「名前はヤマトにしような! せっかく日本に生まれてくるんだから」


「私はヤマトって、嫌だな……無駄に大きくて沈没しちゃいそうだし(笑) 優しい子になって欲しいから、優弥とかがいいよぉ……」


「生まれて顔を見てから決めればいいな! ちゃんと立ち会うから」


 川崎にあるシンフォニーホール、今日はここでマタニティコンサートがあった。ミクは夫の恭一と共にコンサートに来ていた。臨月だというのに……


 コンサートは1時間ほど前に終了、食事を済ませて帰るところ、シンフォニーホールの裏にあるスクランブル交差点に差し掛かる……


「なんか明るくないか?」


「え?」


 一瞬であった。何かが落ちてきた……その衝撃で車が横転しているのが微かに見えた。気がついたら、恭一がミクを庇っていた……クラクションや悲鳴が鳴り響く。ミクは呆然としている、恭一は……動かない……。


 駅の近くでもある、救急車はすぐに駆けつけた。ミクは救急車に乗せられた……その時であった……


「産まれる……」


 事故の衝撃のためか……産気付いてしまった。ミクは……生きている力を振り絞って……救急車の中で赤ちゃんを産んだ。


「あれ、泣かない……」


 救急隊員がそんな話をしていた……赤ちゃんまでもしや……動かないのか……。


「お母さん、しっかりしてください。お子さんは無事に生まれました。泣かないけど、何か喋っているみたいで……このまま病院へ行きましょう」



 次の日、ミクには最悪の知らせが届いた……夫恭一の死。覚悟はしていた。だが赤ちゃんはどこも問題がなさそう……ミクの唯一の希望……そして赤ちゃんと対面した。


「ヤマトあなたはヤマトよ。あなたを一生愛し続けるわ。私の宝物……」



★☆★☆★☆★☆★☆★☆15年後★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 


「速報です。元大人気声優で株式会社ミライのCOである伊集院姫さんの乗った飛行機が墜落した模様です」


 3月11日、衝撃的なニュースが飛び込んだ。活動期間わずか6年で不動の人気を誇り、社会現象まで引き起こした伊集院姫さんの事故、彼女が最近書いた回顧録には祖父母と親戚の飛行機事故の事も触れてある。プライベートジェットの事故という共通点もある、信じられない。


(何ということだ……彼女と出会うため高校を決めたというのに)


 桜井大和さくらいやまと15才、ちょうどその日はヤマトの誕生日、各方面から続々とお祝いのメッセージやプレゼントが届いていた。


 東京国立大学付属幼稚舎に入園して付属の中学校まで常に成績トップ、飛び級制度を使って東京国立大学〜東国大〜にも入学できたのだが、伊集院姫と接点を持つために県立横浜カトレア高校に入学を決めたのだ。


〜県立横浜カトレア高等学校 16年前は私立の名門女子高であったが、共学に変わった。そして5年前、国家の教育指導要綱の改定に賛同し私立から県立になった。校風は極めて自由、生徒の自主性が重視される、新教育指導要綱のモデル校に指定されている〜


「ヤマト、ヒメリン、悲しいね……」


「ミク、泣くなよ。直接知り合いって訳でもないだろ」


「あなたも覚えてるでしょ、2歳のときカトレア祭で一緒に写真撮ってくれたじゃない、抱っこもしてもらったでしょ、あなた失礼にも胸揉んだりしてたよね」


 ヤマトは伊集院姫とはその時に一度会っている。2歳の時の記憶が蘇る。印象は……イイ女だった。抱っこされたときにドサクサに紛れて胸を揉んだりしたが全く動じない。むしろ「あなた大物になるわね! アナタは帝王になるかもね」みたいなことを言われた記憶がある。それはまだ2歳半のときの記憶……ヤマトは生まれた時からの記憶を持つ、そしてその前の記憶も……。


「オレも伊集院さんと会うのを楽しみにしていたんだ、残念この上ない。カトレア卒業したら結婚の約束もくれたのにな。その為にカトレアに入学するのに……」


 伊集院さんは毎年入学式と卒業式、そしてカトレア祭の2日目には必ずカトレアに来ていた。それだけ、この高校を大切にしていたのだ。


 母であるミクは名門女子高時代のカトレア生だった。伊集院さんの10年先輩にあたる。自宅が近いこともあり、ヤマトも毎回カトレア祭には連れて行ってもらった。


「アヤメ先生も飛行機事故だったなぁ。弔問したときに見た小さな女の子、今思えばあれがヒメリンだったんだよね。ずっと泣いてたのを覚えてる、なんかもう……」


 カトレアの先生はカトレア卒業生が大半、親娘でカトレア生というのも多い。入試のとき、保護者がカトレア生だと面接に関しては優遇される。そんな事もあり、入学してみたら同級生通しの保護者が同級生だった言うことも少なくない。


 伊集院姫、ヤマトが興味を持ったのは……たまたま見つけた小説サイト、そこで隕石落下事件を題材にした、つまらない小説を見つけたからだ。その作者をヤマトが得意なハッキングで筆者を突き止めたが、それが紛れもなく伊集院姫だった。カトレアに入れば直接会える機会も出来るだろう、そこで直接質問をしたかった。


「1年前にはご両親が失踪したんだよね。そんな不幸ばかりの人生ってあるのかな」


 考えてみれば不幸な人生。幼い時に数多くの親族を亡くした。つい一年前には両親が行方不明になり大きなニュースになった。そして今回の事故……何かある、としか思えない。


「意外にフェイクニュースで生きてたりするかもね」

 

「そう思いたいわ……」



 話が終わると自室へ戻る。8畳ほどある自室、ハイテク機器が多く稼働している。まるで航空機のコックピットのようだ。傍らのパソコンには株の自動売買のプログラムが施されていて、勝手に利益を生み出している。メインのパソコンに向かい、早速伊集院姫について検索してみる。様々な噂がある。衛生からの動画もあったので、念の為様々な側面から解析してみた。


「ん? 墜落の軌道がおかしい。 回避行動ゼロ? 回避行動しない確率……0.0001% 可能性は全ての操縦関連の機器が破壊された、又は、無人飛行。撃墜の可能性はゼロ」


 思わず呟いてしまった……人為的に墜落したことは明らかだ。これでブラックボックスが回収されなければ陰謀確定になる。続報が気になるところである。




 次の日、ヤマトはカトレアの校長に呼び出されていた。入学式で新入生代表として挨拶を頼まれたが、その打合せである。入試以来久しぶりにカトレアに向かった。白い校舎、右手には体育館と多目的ホール。左手にはサッカー専用のグラウンド、観客席も付いている。その横には運動部の部室棟、ちょうどその奥に校庭がある。正門から入って事務所に行くと、ヤマトは校長室に通された。


「失礼します」


「桜井ヤマトくんかな? 校長の藤川です。今日は宜しくお願いする」


 上品な雰囲気で気の強そうな目をした校長先生がヤマトを出迎えた。

 みなさんありがとうございます


 アディショナルライフ本編の主人公、桜井ヤマトくんの高校時代の物語りがスタートしました。この作品の中で、少しずつ過去を出して本編とするか、過去を違うシリーズとしてまとめるか、それはまだ決まってません(笑)


 コロナでの規制も少なくなり、作品に向き合う時間がかなり減ってしまってます。1日1話目標で投稿したいと考えてます。ではよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前作は見ていませんが、このサスペンスチックなのがたまりませんね。 ブクマしました。(自分も細々と投稿しているので、見てもらえると嬉しいです)
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