短編 拾い物
中学校の通学路にある小さな公園の茂みにあるエロ本は思春期真っ盛りな少年にとってお宝だった。
家に持って帰ってベッドの下に置くと学校行ってる間に親が部屋に入って掃除する際に見つけて面倒なことになるのは嫌だったので絶対見つからないだろうと僕は小さな公園の茂みの地面をシャベルで掘ってそこにエロ本を投げ込み土を被せて雑草を敷いて埋めた。
「これで大丈夫だろう」
次の日、学校からの家路に就く途中に小さな公園に寄って鞄からシャベルを取り出して昨日埋めた場所を掘った。しかし、エロ本はなかった。僕は戸惑い周囲を見渡す。誰かに見られていたのか?
どんよりした気分で家に着いた俺は洗面所で手を洗い、口を濯いだ。それから、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注いでお茶をしまいコップを持って二階にある自分の部屋に急いでコップに入ったお茶を飲み干してテーブルに置いてベッドにうつ伏せで倒れて布団を被ってエロ本が何処にいってしまったのか考えていた。
「まぁ、いいか」
僕は父親の部屋から勝手に借りていた難しい哲学書を返しに父親の書斎に入り、インテリな野郎達が読み耽っていそうな本達が棚にザッと並んでいる。棚の隙間に本を入れようとした瞬間、手を滑らせて床に本を落とす。
拾おうと小腰を屈めて本を手に取ろうとした時、棚の右側にある親父の書斎机の下に目がいった。
書斎机に近付いて下を覗くと俺が公園に隠したエロ本と全く同じだった。
「父さんもこういうのに興味があるんだな……」
難しい本ばっか読んでこういう系の本は読まないと思っていたが父親も人の子だ。エロ本を読んでいる自分に罪悪感を抱いてたが父親も読んでいると認識できて胸を撫で下ろす。
しかし、このエロ本どう見ても俺が埋めた本だよな……