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紫式部と清少納言  作者: りな小説家の卵
1/2

紫という名の鷹

私が庭で遊んでいると、1匹の鷹が紛れ込んできた。

「まあ、かわいい。」

私は鷹をなでた。

「あなた、うちに来る?」

鷹は首を縦にふった。

私は鷹を鳥かごに入れ、むらさきと名付けた。

私は物語を書くのが大好きで、次に書こうと思っている物語に、紫の上という女性を登場させるつもりだ。

それにちなんで、紫と名付けた。

「あら、香り子。鷹を飼っているの?」

姉上が入って来た。

「ついさっき、庭で見つけたんです。」

「名前は?」

「紫です。次に書こうと思っている物語に、紫の上という女性を登場させるので、紫です。」

「あなたらしい、すばらしい名前ね。」

「ありがとうご・・・あっ。」

さっきまでいたはずの姉上の姿が消えていた。

姉上は、去年亡くなった。

1年たっても、その悲しみは忘れられない。

だから、時々姉上の幻が見える。

「香り子。」

「はい、父上。」

「宮中で評判の本を買ってきた。枕草子という随筆だ。」

父上はその枕草子を置いて去っていった。

私は枕草子を読んでみた。

「ふむふむ、なかなかおもしろいわね。特に、最初の『春はあけぼの』が独特。・・・なるほど、この人は変わった事が好きなのね。でも、周りに流されず、自分らしく生きているのは分かるけど、ちょっとこの人はやりすぎ。このまま変わったことを続けていくと、そのうち周りから差別的に扱われてしまう。そこは直して欲しいわね。」

「なるほど、香り子らしい感想だな。」

父上が、こっそりのぞいていた。

「もう、父上。」

「すまぬ。」

「ところで、この本の作者さんの名前は?」

「清少納言だ。定子様に仕えている。」

「そう。」

私は紫を見た。

「父上、ここから出て行ってくれます?」

「恋文でも書くのか?」

「ちがいます!」

「すまぬすまぬ。」

文を書くと、和紙を紫の足に結びつけた。

「いい?西に行くのよ?」

紫を空に放った。

文が届くことを信じて。

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