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失敗は出逢いのもと  作者: みたらし風花
第一章
19/25

《16》お風呂に浸かりたい!日本人だもの

あけましておめでとうございます!

年明け最初の投稿となります。

ある日の午後。



「セシルさん!!!」


「な、なんだ急に」



遅めの昼食を終わらせた私とセシルさんはまだテーブルに席をついていた。そして今、私はずっと言いたかったことを口にした。



「私、魔法陣結構できるようになったでしょ」


「そ、そうだな」


「お風呂改造したい」


「は?」


「お風呂~!改造したいのー!」


「今のままじゃダメなのか」


「毎日浸かりたい!しかももっと気軽に!」


そう。この家、お風呂はあるのだが、一般家庭においてお風呂に浸かる文化がないせいで、結果不便にである。魔法陣によって生活水準は高めとも言えるのだが……

ここ、水は使えてもお湯が使えないんだよね……!だから、水を出す→温めるなんだよ!!しかも温めるといっても、一気に温めるというわけじゃないから、水をためる→温めるまでに一時間くらいかかるわけですよ。この一時間って結構大きくないですか。せめて半分くらい縮められたら…と。



やっぱり、日本に比べたら全然不便なところが多いので、いろいろやると時間が取られる。ご飯作るのにも、洗濯をするにも、お風呂入るにも。昔の日本人はすべて手作業だったのだから、尊敬。そしてだからこそ主婦という存在が大きかったのかを知った。



ちなみにセシルさんはシャワー派。というか、あれはシャワーというか小さな滝みたいな…頭上から水がぶしゃー!と。え、よくよく考えたら水だよね!?行水じゃん…



「…で、具体的には?」


「まずお湯を出せるように。てかセシルさん水で済ませてたの!?」


「そうだな。まあ、水で済ませるなんてこと、昔じゃよくあったからな」



あれですか。騎士団時代ですか。訓練中とかだったらそりゃ…



魔法陣で生活を豊かに~という発想がつい最近だから、こういったものの改善ってまだされてないなだと思う。だからとりあえず、水汲むの不便だよね→じゃあ水を出せるようにしよう。火おこすの大変だよね→火使えるよにしよう。くらいの感覚でやってるみたいだから。



魔法でやれば楽勝~!なんだけど。

魔法で水をだせたり火をだせたりするのって魔力が強くないと出来ないのよ。しかも平民にはまず無理だからね。多分私も、お風呂の水くらいなら自分で出せるはずだし、自分で出した方が断然早いのだが……やはりそこは普通にやりたいというか、うん。



「いいんじゃないか?俺は別に今のままでも構わないが、お前が不便だと思うならやっても」


「やった!!ありがとう!!」



というわけで、私は早速取りかかることにした。実はもう魔法陣は作ってある。ただ、私もっと簡単だと思ったのだけれど、実際に家庭に組み込む時って調整が必要なんだよね。



例えば水でも使いたい量があるわけで、滝みたいにどばぁって出てきたら大変でしょ。火だってやり過ぎたら火事になるし、適度な火加減があるわけで。

そういった調整をするのも魔法陣で、なんだよね。



魔法陣と威力は陣の大きさにほぼ比例する。ただ、小さすぎても大きすぎても家庭製品に組み込めないので、そこは複合魔術に「強化」や「弱化」といった陣を組み込むことで陣の大きさや威力を調整していくのだ。



そしてこの調整が思ったより難しい。これ!というのを作り出すまでに何度魔法陣を作り直すか…



「よ~し。まっずっは~、お湯を出したいから~」



あらかじめいくつか用意した魔法陣の紙を風呂場に持っていく。この紙は特別で簡単に濡れたり燃えたりすることがない。



「まずは1つ目~!ほいっ…あっっづ!?!?」



浴槽にお湯を入れられるように、浴槽の中で陣を発動させる。ちなみに、まだ浴槽に組み込んでないので魔法石での稼働はできない。しかもこれ実験だから貴重な魔法石は使わず、自分の魔力で発動させる。これ、確かに魔力強くないと難しいよね。



ちなみに1つめは失敗した。

出てきたのは熱湯だった。糞熱い。



組合せは一番簡単なやつで、「水」と「加熱」……組合せの順番や、比率も大切だが…どうやら「加熱」のほうが強いらしい。あと「水」は、水でも水温があるので調べたら、多少誤差はあるがいわゆる常温だった。だから常温からの加熱を考えたのだが、どうやら失敗だった、



そうしていくつか試しているうちに、お風呂に浸かるうえで適温だと思う陣に遭遇した。



「これだ…!この温かさ!!ぬるくもなく、熱すぎることもなく!じんわり体を癒してくれるこの温もり……キタコレ」



感動のあまり私はそのまま浴槽いっぱいになるまで陣に魔力を注ぎ込んだ。私はそのままセシルさんに報告した。

あとは、今使っている水を出すようのパイプの陣を取り替えるか、それとも新しいパイプを新たに取り付けるかを相談した。出来れば両方使えれば便利だと思ったからだ。



「なら、同じパイプに取り付ければいい」


「え?でもそんなことしたら、水の魔法陣も発動しちゃうんじゃないの?」


「そもそも魔法陣を使うときに魔法石を使うと思うが、あの組み込まれた魔法石の真下に魔法陣が組み込まれているんだよ。だから隣に新しく魔法陣組み込んで、新しい魔法石をつければいい」


「あ~なるほど」



つまり、新しいボタンを追加すればいいじゃない、ということらしい。確かに稼働させるときは魔法石を使う。それは、1つの物に対して1つだと思っていたからだった。1つの物に、いくつも追加できるなら…なんでもいけんじゃね?



「あ、でも魔法石がその分必要になるよね」


「ああ。1つの陣に組み込むことも可能だが、魔法石はただ陣を稼働させるだけであって、それで別々の魔術を使い分けるのは不可能だ」



自分で発動させるなら別だが、ということらしい。



「あと、魔法石だがある程度なら簡単に作り出せるだろ。自分で使う分にはいいんじゃないのか」


「お~」



確かに、その分魔力必要になるけど、私は魔力余ってるしね!!!



「じゃあ、二つ貰ってもいい?」


「ああ」



問題が解決したところで、私は必要な魔法石を二つ貰った。ひとつは浴槽用、もう1つはシャワー?用。



この白の魔法石は、ビー玉のように加工されたものである。いろんなものに使用されるので形を統一しているらしい。規格の統一って大切。加工された白の魔法石が売っているところが限られる。白の魔法石自体はたくさん売ってたりする。これで魔力を入れて買い取ってもらえば儲けものだが。何度も言ったがそれを安易にやれば目をつけられる。魔法石に魔力を簡単に込められるのは魔力が強い人だけだから。しかも今、生活にはなくてはならない魔法石だから、魔力が強い人というのは財源なのだ。

だから白の魔法石を何度も購入してたら目をつけられることもある…んだとか。特に、見た目でも珍しいから目立つんだとか。日本人では目立たないタイプなのに。



生活に必要な魔法石って、誰が作ってるの~?は、やっぱり魔力が強い人なのだが、そういう人が作るのは下位の魔法石ばかり。これなら作りやすいし、一番需要がある。



需要が高まれば生産性の低い魔力石の価値は高くなるのだが…

この家みたいにあちこち魔法石を使ってる平民の家はほぼない。あっても豪商あたり。下位の魔法石はいくら平民向けだといっても、平民がぽんぽん買えるほどではない。平民の家庭では、必要なものだけに魔法石を買うらしい。一番はやっぱ水かな。水は生活で一番使うし、使うのにも労力がかかるから。

魔力に頼らない生活が出きるようになればいいんだけど…わたしにそこまで動かす力や能力はないし、それをするために自分の存在を公に出そうとは思わない。



「んー。家で使うんだし、別に上位の魔法石でもいいよね?その方が長持ちするし。」



さっそく、貰った魔法石に魔力をこめていく。魔法石を作るときは気を付けろと言われていたが、それはあくまで人前に出すものだからだった。でも家で使うものなら、しかも限られた人しか使わないお風呂でなら!多少いい魔法石を作っても問題ないはず。そう思いながら上位の魔法石である、藍色の中、くらいの魔法を二つ作った。そしてせっせと魔法陣の設置、魔法石の組み込みを行った。なんか水道工事の業者みたいな作業だった。



この天井から伸びてるパイプからシャワーというか滝?、ただ水が真下に落ちてくるだけのやつには、ただお湯が出てくるだけではなく、「分散」してシャワーみたいに使える陣を作ったのだった。「分散」だけだといまいちだったから「霧」の超~弱めのやつを組み込んだ。「霧」だけやったら、本当に霧だった。当然失敗だったのだが、ツボにはいり爆笑した。

そう、細かい水を出すのに苦労した…これの調整がお湯を出すより苦労した!!!!

シャワーの方は、新しくお湯がでるように組み込んだのと、もともとの水がだけがでる魔法陣を少し作り直した。だってそうしないと、水の方だけ行水になるから。

しかしシャワーはこの調整に苦労し、完成は次の日になった。



「気軽にお風呂が入れる…最高……」



その日の夜、私はお風呂に入った。やはり時間は通常の半分に短縮された。



「………あ、ドライヤー欲しい」



私のこの長い髪の毛を維持するのに必要なドライヤー。せっかくエリオット様からいろいろ貰ったのに、ドライヤーがなければ傷むのは抑えられない。温かいお風呂に浸かりながら、次の目標はドライヤーとなった。



ドライヤーはどうやら存在しないらしく、これは一からの製作となった。一からの製作はかなりの時間を費やすこととなったが、完成したのは半月後のことだった。



私が改造したシャワーだが、セシルさんはお気に召したらしく、毎日のようにシャワーを利用している。

私が全力でドヤ顔したら、なぜだか笑われた。



褒めていいよ!!!!

今年もよろしくお願いいたします!


あと、ブクマありがとうございます!

気づくのが遅くなってしまいました。

更新頑張ります。


今日中に更新二つできるかと思ったのですが、ちょっと無理でした。

代わりに次の更新は3時間後の2日0時に更新いたします。

よろしくお願いいたします。

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