表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

8自分の才能がわかりゃ苦労はしない

「僕に二つ名は無い」

「…………なに?」

 セインはまっすぐこちらを見据えながら言い放った。あきらかに嘘を吐いているというのに、悪びれる様子がない。迷いのない目で戯言をのたまうセインに対して、イーギルは怒りを爆発させる。

「馬鹿言ってんじゃねぇぞガキィッ!国から能力を認められることが『勇者』になるための条件だろうがっ!!」

 勇者の装備が選んだ勇者候補たちは、全寮制の国の訓練施設に入れられる。そこで剣技や魔法を学んでいくうちに、どこかしら突出した、勇者としての能力を見出されることになる。それがわからぬうちは、どんなに優秀であろうとも『勇者』として認められることはない。ネックレスを貰って旅をしている以上、こいつは自分の能力を知っているはずだった。

「嘘じゃない。少なくとも僕は、二つ名を貰わないまま旅に出されたんだ」

 10歳のときに候補生になってから丸5年、僕の訓練評価はいつも平均以下だった。勇者の装備に選ばれたものの、才能が見いだされずに勇者になれない人も多い。成長が見込めないと判断されれば追い出される。セインは自分もその一人なのではないかと、不安に思っていた。

 寮に居られるのは18歳までだ。セインは16になる前に、何故か勇者の証を与えられ、旅に出された。追い出されたわけではなさそうだが、なんで勇者になれたのかは、未だにわからない。

「だけど勇者に選ばれたからには、僕には人々を守る義務がある!」

「ああそうかい、じゃあこいつらの代わりに死ね」

 イーギルがセインに向かって手の平を向けた。高熱を帯びた炎の塊が、セインに向かって発射される。無詠唱によるファイヤーボール。本来であれば、木の桶を壊せる程度の初期魔法であるが、勇者の能力『火片かへん』によって強化されている。壁を易々とぶち抜く威力のファイヤーボールが、唸りをあげて爆発した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ