第四話 二人の勇者
新たなラーメンの物語・・・いや、新たな仲間が入ります。
あぁ・・・ラーメンが食べたい。
宿の厨房から軽快な鼻歌が聞こえてくる。トントントンとリズムを刻む包丁の音と時折聞こえるチャッチャッ!と聞こえる麺を湯切りするような音、何より魚介とんこつの匂いが空腹のおなかを刺激する。
「でーきたー!!いっちょ上がり!」
「おぉ!これがラーメン!確かにファーメンと似ているがこの香ばしい焦がしにんにくの匂いしっかりとした魚介の匂い!そして白濁とした濃いスープ!う~ま~い~ぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
カッと目を見開き閃光を出す老人をふと思い出すような叫び声、ミスター味っ○を思い出すような美沙のへヘんといったポーズ、朝から何をしているのかと思ったら二人してラーメンの再現をしていたらしい。
先日ファーメンを食べた美沙がやっぱりラーメンと違う!とコックにいいだし、それならば個の厨房と異界より現れた聖書「ラーメン大好き!小○さん」を貸し出すと美沙に提案をしてきたのだった。
ラーメンが大好きな美沙にとってその挑戦受けてやる!といいながらコックと二人でラーメンを作り始めたのだった。
「ねーみさっちー!ラーメンはもういいからさー、一つ聞いていい?」
「んー?なにー?今火加減の一番大事なところだからさくっといってさくっと。」
「伝説の剣(笑)はさー簡単に抜けたの?ほんとにみさっちが選ばれたの?」
「あーあれー?引き抜いたよ力ずくで。」
「・・・は?」
「だーかーらー、おもいっきし力いっぱいこれでもかっていうくらいの力こめて台座ごとぶっ壊したの。」
「あんた、やっていいことと悪いことがあるの知ってる?」
「仕方ないじゃんあの状況で剣一本しかないんだし。そしたら目の前に伝説の剣(笑)があったんだから使うしかないでしょ?」
「でもさーあんなにぼろぼろにしちゃったら使えなくなっちゃうし・・・」
「しっ!ちょっと黙って!・・・コック長!今よ!」
「は、はい!うおりゃぁぁぁぁぁぁ!」ちゃっちゃっ!
「うん!その感じ!それが麺の湯切りの奥義よ!」
「ありがとうございます!先生!」
「あ、ごめんまり、なんだっけ?マリの昨日の寝言だっけ?厨二みたいな寝言?」
「ちょっとまてー!誰が厨二だ!いつどんなこと言ったんだ私はーーーーーー!」
「寝言で『わが前に現れ・・・・むにゃむにゃ・・・漆黒のわが力・・・むにゃむにゃ・・・』と言っていたのはあなたですが?」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
顔を真っ赤にして黒歴史を垣間見られたことを本気で恥ずかしがるマリ、この人こんなんですが偉い偉い賢者様なんです。と憐みの目線をここぞとばかりに送る美沙。本当に仲がいいと周りの人から暖かい目線を向けられる。恥ずかしさを克服して頑張って話を続けようとするマリ、面白がってからかう美沙であった。
「うぅ・・・それで、伝説の剣(笑)はもう使い物にならないってこと?」
「そうだよ、暗黒卿、今のところはね。」
「暗黒卿いうなや!っていうか、今のところはってどういうこと?」
「あの(笑)を鑑定したんだけどね。成長する剣なんだって。しかも使用者限定ついてたからあのままじゃ誰にも使えない只の駄剣ってこと。」
「みさっち普通に使ってたじゃん。」
「うん、使用者限定に入ってた限定者を私に書き換えちゃったから・・・私のスキルで。」
「ほんと何でもアリだよね。」
話しながらも二人とクーはラーメンを啜り、その隣でコックが額に鉢巻して湯切りにいそしんでいた。
とその時一組のパーティーが美沙たちの前に現れたのである。
「そこのお嬢さん!先日の活躍大変素晴らしかったです!僕の名前は勇者シオン!僕の仲間にならないか!?」
「今ラーメン食べているので結構です。」
「な!?そんな理由で!?勇者たる僕の誘いを断るのかい!?」
「ラーメンが伸びるので他をあたってください。」
「な、ならそのラーメンとやらを食べ終わるまでここで待つとしよう。」
「結構です。」
美沙のいった「結構です」は勇者にスルーされてしまったようだ。結果美沙たちがラーメンを食べ終わるまで本当に待っていたのだ。勇者のパーティーは3人でリーダーは痛い勇者、サブリーダーが眼鏡をかけたしっかり者の大人の女性で魔法使い。(格好は魔法少女風なので痛い。)最後におどおどした剣士君だ、たぶんこの中で一番まともなのは剣士君なのだろうと、一瞬で美沙たちは悟ったのである。
「で、私たちに何か用でしょうか?ユウシャサン?」
「え?今バカにしていなかったかい?え?あれ?」
「ですから、用件はなんでしょうか?ユウシャサン?」
「やっぱりバカにしてるよね?・・・ま、まぁいいよ。君たち僕のパーティーに入らないかい?」キラーン
「「結構です、お引き取りください。」」
「返答早すぎだよ!仮にも僕は勇者だよ!ほらその証にダンジョンの奥深くで見つけた聖剣エクスカリバーだ!これがで信じてくれたかい?」
カチン!という音がして聖剣エクスカリバーを見ると美沙が魔剣で真っ二つに割っていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!なんてことしてくれるんだい!僕の聖剣がぁぁぁぁぁ!」
「ごめん、聖剣っていうくらいだからどれ位すごいのかなってちょっと当てたら・・・」
「ぐぬぬぬぬぬぬ!おのれ!こっちが下手に出てればいい気になりやがって!ミポリン!ショウ!こいつらやるぞ!」
「OKよシオン!」
「え?ぼ、ぼくやだよ!」
そういって勇者パーティー(痛い二人)が決闘を挑んできた。しかし、勝負は一瞬で決まった。いわゆる同士討ちというやつだ。美沙とマリを挟んでシオンとミポリンが同時に攻撃を仕掛ける。その攻撃をよっといった感じで美沙とマリがよけたのである。よけられると思っていなかったシオンのオーガ戦断(ものすごい突進攻撃)とミポリンのウィンドソードがぶつかり合いシオンの攻撃が途中で止まることなくミポリンを吹き飛ばした。
「ぐ、きょ、今日のところは・・・がはぁ!」
完全に負け犬の遠吠えを上げてシオンはエクスカリバーを捨て、脱兎のごとく逃げ出した。それについていけなかったショウがあたふたとしていた。美沙はエクスカリバーを拾い小悪魔がような表情でエクスカリバーを魔改造し始めた。
「あっけないなぁ・・・さて、ショウ君だっけ?君はどうする?」
「ちょみさち・・ごにょごにょごにょ・・・ってどう?」ニヤリ
「おもしろそう!ってわけでショウ君には二つの選択肢を今ここで与えようと思います。」
「な、なんですか?!ぼ、ぼくなんて何もできない駆け出し剣士ですよ!」
「その駆け出し剣士のショウ君は①このまま勇者パーティーとして私たちに倒される。②勇者として私たちのパーティーに入ってしごかれる。さあどっち!?」
「えぇ!?ぼ、ぼくが!?しばかれるのもやだし・・・かといって僕が勇者だなんて・・・」
「もーどっちにするのー?私もマリも暇じゃないんだよね~」
「は、はい!よろしくお願いします!勇者だなんておこがましいですが剣士として頑張ってお二人の役に立たせていただきます!」
「じゃあ決定だね、ショウ君その人の持ってたエクスカリバー君が使いなよ。」
「え?だってさっきみさっちさんがおっちゃったじゃないですか・・・」
「うん、だからなおしたよ、はいこれ。あと、あんなんじゃ使い物にならないからいろいろとエンチャントつけてあるから・・・その、魔剣エクスカリバーになっちゃいましたが。」
「あんた何やってんのよ!聖剣が魔剣になるなんて聞いたことないんですけど!」
「こ、こんなもの僕に扱えるんでしょうか!?」
「大丈夫、大丈夫、この世界なんだってありだから。」
「なんでもありなのはみさっちだけだから!」
「キュイ~!」
こうして新たな勇者が仲間が加わった。この日弱すぎる剣士がまた別の異世界で大活躍するのは別のお話である。
何時もながら誤字脱字ありのつたない文章ですが読んでいただいてありがとうございます。
今後とも頑張りますのでよろしくお願いします。