表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/77

第二話「無敵になっちゃった、てへ☆」

美沙の旅立ちまでを描きました。

第二話「無敵になっちゃった、てへ☆」


美沙の魔王の娘として第二の人生が始まってから17年の時が経過した。この17年で美沙も自分の異なりにミサーラとしての人生を頑張って生きていた、しかし、前の人生で培った知識などのお蔭で多少なりとも苦労したことは確かであった。


「ミサーラ、魔法のお勉強のお時間ですよ。」


「はーいママー!今いくー!」


バタバタ!バタンッ!ドタドタドタ!


「ほらー!あわてなくていいから先生の所にちゃんと行くのよ!」


「はーい!いってきまーす!」


そんな会話で魔王城を飛び出して目的の暗常の森にある、賢者のもとに向かうのである。魔王城から賢者の家まで暗常の森を抜けて凍炎の山を登り頂上までいかなければならない。暗常の森には沢山のモンスターがいて平均レベルはLv450だったりする。

人間の最大レベルはLv99で通常、暗常の森を抜けるためには4~5人パーティーでパーティー平均LVは70を超えないと全滅するような危険な場所である。しかし美沙は転生して人間ではなくなっているため、今現在のLvは800を超えていた。


「ん~第二の人生を歩み始めてもう17年たつのか~・・・」


すでに自分が魔王の娘として生まれたことに納得をして、額のちょい上からちょびっとそれはそれは申し訳ない程度に見える白銀の角が人間でないことを物語っていた。他にも背中に生えた純白の小さな羽(爬虫類系)、ふわっとした毛並みのプラチナの尻尾、どこをとっても人間にはないものだった。

父親の魔王はドラゴン族から生まれた希少種の更に希少種で、母親は狐族の希少種の更に希少種という珍しすぎる組み合わせなのである。この時点で美沙はこの世界で希少すぎる存在となっている。


「前の人生ではこんなファンタジーなことなかったしなぁ・・・かといって今更戻れるわけでもないし・・・はぁ・・・」


ぶつぶつといいながら賢者のいる山頂を目指しつつも、遅いくる魔物を軽くあしらいながらレベル上げをしつつも悩み事をしながら何時もの様にトテトテと歩いていく。ピンク色の花柄ワンピースに戦闘の折誰かにパン○を見られてはいけないのでショートパンツを必ず下にはいている。母親からもらったショートブーツは魔法効果がついており、どんなところを歩いても疲れないという代物だった。腰にはロングソードとショートソードの中間とでもう長さの剣を差していた。この剣にも魔法効果がついている、この剣は父親からの贈り物なのだが、無理やりというほど魔法効果を詰め込みすぎて世界最強の魔剣となってしまったのである。魔法効果は『限定装備・重力操作・熱操作・電撃操作・空間操作・時間操作・振動・常に切れ味上昇・帰還・などなど』である、ここに書いた以上の魔法効果がまだまだたくさんついているのである。ちなみに魔法効果の中に帰還とあるがこれは剣を装備したものの所に無くしたり落としたとしても、空間操作を使い戻ってくるというものである、ただしこの剣を装備できるのは美沙のみで限定装備で美沙専用にしてあるので誰かが装備をしようとしても、重力操作により剣ごと地面に手がめり込むという悲しい事故が起こってしまうのである。


「・・・くれ」


「あれ?今何か聞こえた気がする・・・・」


暗常の森をぬけて凍炎の山のふもとに来た時に何処からか声が聞こえた。


「た~~~~~すけ~~て~くれ~~~~~~~!!」


見知らぬ男(鎧装備の冒険者風)がドラゴンに追われている。


「そ!そこの君!逃げるんだ!もしくは助けてくれ!」


美沙に向かって叫んでいるような必死になっているような男を見て美沙が一言だけ言った。


「いやです。ごめんなさい。」


「えぇ?!この状況で!?っていうか、なんか知らないけど告白してないのにフラれた感じになってるんですけど!?」


「すみません、無理です。」


「だからなんで謝るのさ!?っていうか俺もう無理だからぁぁぁぁ!心も体もHP0になるからぁぁぁ!」


元気のいいその男が小脇に1.5ℓペットボトルぐらいの大きさの卵を抱えているのに美沙が気が付いた気が付いた。ドラゴンの卵なのだろうか?クリスタルの様に透明な見たこともない卵であった。たぶんその卵をとられた母ドラゴンが怒って冒険者を追い掛け回しているのだろういうのがわかったのである。

目の前まで来てはぁはぁ言っている男に「その卵おいていけば助かるんじゃない?」と助言したが男はぐぬぬぬっと渋い顔をしてドラゴンを一度睨みつけて卵を美沙に、なぜか美沙に手渡した。


「バカヤローーーーーーーー!覚えてやがれこのくそドラゴン!次に会ったらただじゃおかねぇからな!」


いかにも悪訳で三流が言いそうな捨て台詞を吐き一目散に逃げていく冒険者、呆れた顔して流し目で冒険者を見る美沙、その美沙のもとに冒険者を追っていたドラゴンが舞い降りて人型になった。


「卵を取り戻していただきまして誠にありがとうございます。高貴なるあなた様のような方に助けていただき、この子の母親もきっとよろこんでいることでしょう・・・。」


「え?あ?えぇ?!ドラゴンって人型になれるの!?」


「え?!今そこに食いつくんですか?!」


「え!?あなたこの子の母親じゃないの!?ってか人型になれるなら最初からあの人と話せばよかったじゃん!」


「・・・・ハッ!い、いえ、忘れてたわけじゃないのよ。そうだわ、この子の母親なんですけどね、傷ついたところをモンスターに襲われてしまって・・・これも何かの縁と思い、どうぞあなた様の手で育ててあげてください。それでは。・・・わすれてたわけじゃないんだからぁぁぁぁぁ!」


顔を真っ赤にしてとんでもないことを平然と言い放つ去っていく元ドラゴンの女・・・目を点にしてあっけにとられた卵を持つ美沙はハッ!と我に返り託された卵を亜空間収納倉庫を呼び出し中にしまう、とりあえず賢者に相談しようと心に誓うのであった。ちなみにこの時点での美沙のスペックは規格外のものになってる。


美沙 (ミサーラ)

==============================================

Lv865

HP99999/999999

MP99999/999999

職業:天竜妖狐

筋力:89000

耐性:100000(毒無効・麻痺無効・火傷無効・凍傷無効・他)

敏捷:250000

魔力:∞

魔法耐性:∞

物理防御:∞

スキル:唯一の存在(このスキルは現在存在しているスキル全てを使用すること許されたもののみに与えられる)魔術を生むもの(このスキルは現在存在している魔法全てを使用することを許されたもののみに与えられる)新世界(すべてのスキルとすべての魔法を使い新たにスキル、魔法を生むことを許されたものに与えられる)

==============================================

しかしこのような状況であってもまだ美沙はこの世界おいて17才であり、自分の現状を知ることはなかった。なんだかんだ時間を使い賢者のもとにつくと小屋の扉を開けた。


きぃぃぃぃ・・・


「せんせ~~~~~~~~~~~~~!!」


「来たわね、生意気娘!」


「なにさ~!!」


「なによ~~~!!」


にらみ合いが続くと思ったその時二人して大笑いをする。この賢者、実は美沙の生い立ちや前世のことを知っている。美沙が話したわけではなくなぜか知っていたのだ。そして美沙の親の前で私が先生としてこの子に勉強を教えると断言したのである。もちろん前世や転生のことは伏せてだが。5歳になり始めて賢者の元に母親と一緒に訪れた美沙は母親を部屋から追い出す賢者を見て少しゾクッとしたのを覚えている。


「みさっちさ~もう世界最強なんだから私の所にいちいち来なくてもよくね?」


「え~、誰が世界最強なのよ?っていうかさ、私のこと知ってるのマリだけなんだからいいじゃん!」


「そっか、あんた冒険者プレート持ってないだっけ?」


「そんなもんないよ、魔王城かここしか行かせてくれないし。」


「あーまーそうだよね。お姫様なんだもんね、ププッ」


「あ”ぁ”?!なめてる?ねぇなめてるでしょ?!」


「あ”?当たり前じゃんたかが17歳の小娘のくせして、ププッ」


二人ともこめかみにこれでもかっていうシワを作ってヤンキー顔になっている、一触即発とまではいかないがこの二人が喧嘩をするとふもとの村で伝説がいくつも作られる。前回ケンカしたときは山の形があり得ないほど変形してしまってそれを見た村人が「怪奇!凍れる山の怒りの炎!」として語り継いでいた。


「もういぃからそれ、ってかさ、冒険者プレートって私でも作れんの?」


「作れるけどみさっちの場合はなぁ・・・そだ!私が作ってあげるよ。」


「じゃぁおねがい!」


「はいこれ、このプレートに魂魄のほんの一部を入れ込んで。」


美沙は言われたとおり何も書かれていないプレートに集中した。ジワジワともじか浮き上がり美沙のステータスが表示されていく。


「・・・・何この規格外、ってかみさっちってなにもの?」


「これもうあれだね・・・無敵になっちゃった、テヘッ☆」


「私ですら全ての魔法使えないのに・・・賢者なのに・・・賢者様と呼ばれているのに・・・」


「まぁ、仕方ないよ、親が親だし・・・ってかこんなもんほかの誰にも見せられないんだけど!駆け出し冒険者です!って言っても誰も信じないんですけど!」


「はいはい、これをこうしてこうするとほら、これで表示が駆け出し冒険者程度になったよ。」


「すっごい!なにそれ!なにしたの!?」


「うっさい世界最強!こんな小手先の技なんか気にするな!どうせなら打倒魔王ぐらいやってこい!」


二人して『ん?』っと顔を見合わせる。これは面白いことになるんじゃないかとニヤニヤしながら悪事を企てる。そして・・・


「ただいま~!ママ~!」


「ミサーラおかえり!どうしたの?何か楽しそうだけど、あら?賢者さんも一緒なのね?」


「エミーラ(母親の名前)そろそろ、その賢者ってのをやめてくれないか?マリでいいよミサーラも私をマリって呼んでくれるし。」


「あらあら、もうそんなに仲良くなったの?私の時はもっと時間がかかったのにねぇ?マリ?ニヤニヤ」


「いいんだよ、それよりミサーラが話があるってさ。」


元気よく『はい』っと!手を挙げてエミーラに話を始めた。


「あのねママ!わたし冒険者になって、打倒魔王を目指そうと思うの!」


紅茶を飲んでいたエミーラが紅茶を口から噴き出した。

影からミサーラの発言をドキドキしながら聞いていた魔王が膝から崩れ落ちた。


「というわけで、明日から私は始まりの村に行き冒険者として世界を旅してこようと思うの!マリも一緒だから心配しなくて大丈夫だよ!」


「そ、そうね、でも打倒魔王は・・・面白そうね!」


この娘にしてこの母親あり、どこからともなく魔王の頭に声が響き渡る。とりあえず本気で倒しに来るのは勇者ぐらいだし、ここ何年も勇者は現れてないし・・・そもそも魔王といっても別に悪いことなんてしてないし。


「でも、ミサーラ?打倒魔王は勇者の仕事よ?」


「ふふっ、ママ、その辺は抜かりないわ、これ見て。」


すっと差し出した詐欺冒険者カード、そこにはこう書かれていた。


『職業:勇者』


これこそ詐欺のなせる業。


「あら!ミサーラは勇者だったのね!」


柱の陰からブハァ!っと血を吐いたような声が聞こえて、それを更に面白がる三人。


「私は勇者ミサーラ!賢者マリとともに打倒魔王を目指すのだ!」


その言葉を最後に魔王は白い灰となった。そして次の日。


「ママ!パパ!行ってきます!打倒魔王!頑張ってきまーす!」


元気に魔王城を後にする娘、温かく見守る母親、涙目で灰になりかけている父親、美沙の冒険はまだ始まったばかりである。

次回から本格的な美沙の冒険が始まります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ