14 大森林①
短いです。
<アズール>の大通りをのんびりと歩き、門が開く時間まで暇を潰すため散策する。
昨夜は到着が遅かったため、ボロい最底辺の宿しか空いていなかった。
食事も不味く傭兵組合での出来事もあり、不機嫌だったので早々に不貞寝したのだ。
そのため、かなり早くに目が覚めてしまった。
宿で時間を潰すのも限界があるので、宿の主人が起きたと同時に鍵を返して外に出た。
魔物といえど睡眠は必要だが、人間の様に6~8時間も寝る必要はない。
疲れや肉体のダメージにもよるが、せいぜい3時間ほどでいいのだ。
まあ、ドラゴンの様に暇を持て余して眠り続ける者もいるけどね。
適当に朝市で時間を潰し門が開く時間になったので、<ウォーレル大森林>に向かうため門へ向かい歩いて行く。
10分ほどでたどり着いたが、もっと遅くこればよかったと後悔した。
まだ早い時間なのに門の前には、商人や傭兵達が数組いて門が開くのを待っている。
その中に昨日蹴りつけた、セクハラ傭兵がいるのだ。
別に蹴ったことは何とも思ってない。
ただ、また絡まれるのはめんどくさい。
しかも私に気付いたようで、今にも斬りかかりそうな目を向けてくる。
今は衛兵の目があるため、なんとか堪えているようだ。
ここで引き返すと逃げたみたいで嫌なので、近くの壁にもたれかかり視界に入れないように目をつぶる。
まったく、昨日からついてない。
20分ほどするとようやく門が開き、ぞろぞろと待っていた人たちが手続きをして出ていく。
私も列に並び手続きを終えて街の外に出る。
商人らしき人達は別の街の方に向かい散って行き、傭兵達は全員<ウォーレル大森林>に向かう様だ。
セクハラ野郎は私の後ろを仲間と歩いている。
わざわざ私が出て来るまで門の脇で待っていたのだ。
髪に隠れる首の後ろに目を作り観察すると、セクハラ野郎は仲間と一緒にニヤニヤとした視線を私に向けていた。
おそらく人目が無くなれば、何かしらの行動を起こすだろう。
<ウォーレル大森林>に着くまでの1時間は、非常に鬱陶しい視線に耐えることになった。
ストレスがすごいので、元凶を撒くために早速<ウォーレル大森林>に足を踏み入れる。
奴らが追いかけようとするのを首の目で捉えたので、木々で姿を隠してから全速力で移動する。
低ランクの傭兵なら深追いは出来ないだろうから、<ウォーレル大森林>奥へと向かう。
走ること20分ほど、とりあえずこのぐらいでいいだろう。
しばらく<ウォーレル大森林>で過ごす予定なので、今日は拠点になりそうな場所を探す予定だ。
グウゥゥゥゥゥー
腹の虫が自己主張を始めたので、拠点探しの前にご飯にしよう。
セクハラ野郎共のせいで溜まったストレス解消のため、加減は無しで獲物を見つけ次第食いまくってやる。
その時、丁度よく風上から漂う魔物の臭いを私の鼻が捕えた。
隠れて臭いのもとに向かうと、全身からウネウネする触手を生やした魔物がいた。