第十五話:過去との邂逅
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一通り紹介を済ませた後方作戦本部長である、ナガス本部長閣下は本来の目的を果たすために、あたしに辞令書を手渡す。
そして、端末を操作して壁面の大型ディスプレーに投影させた。
「これが現在、我が軍と敵軍の勢力図だ。もっとも敵の内情に詳しくない我らにとって何処まで有益なのか皆目見当もつかないが……」
本部長の端末操作により大型ディスプレーの表示が太陽系を中心とした銀河系外縁部へと変わる。
さらにその中のシリウス星系がズームアップされ、第三惑星の衛星であるグリューン・エルデが画面に表示された。
「ここに要塞を建設してるようだが実に巧妙だ。護衛艦隊の配置に付け入る隙がない」
さらに銀河系射手腕の切れ目から銀河系外縁部、つまりペルセウス腕にかけての星図が表示された。
「あと、敵の大輸送船団らしき集団がグリューン・エルデに向かってる情報も入手しておる。これに基づいて新たなる作戦が立案された」
ナガス閣下の言葉を受けてクルスヤマ提督が口を開いた。
「中尉。敵輸送船団の殲滅を図るべく、外周方面軍第九独立分遣艦隊である、艦隊司令官副官兼艦隊情報参謀の転属を命ずる」
「謹んで拝命します」
あたしは、厳かな気持ちで敬礼した。
「それと……もう一つ極秘任務があるのだが……」
急にナガス本部長閣下が落ち着きを失う。視線をあたしから外し、言葉を確かめるように言う。
「たしか、中尉は大学で宇宙考古学を専攻していたとか……。で、古代ソティス文明が専門だったとか」
「……はあ、父が提唱した学問でしたし、それに小官も幼少より父の助手じみたこともしていて興味もありましたから。それが何か?」
古代ソティス文明。
あたしはそれを聞いたとき、古傷に触られたような、何とも言えぬ嫌悪感を覚えた。
しかし、ナガス本部長閣下は、そんなあたしなんかお構いなしに説明を続ける。
「うむ。ウォルク星系五番惑星の基地建設現場から、遺跡らしきものが出てきたらしい。そこで非公式に軍からは中尉を、民間からはエゼリン博士を調査員として派遣することになったのだ。やってくれるな?」
「しかし……、小官は宇宙軍に入って以来、研究は断念してますし……」
真っ直ぐに、あたしを見る、本部長の視線が痛い。少しばかりたじろいだ。
でも……。
かつての忌まわしき思い出が、あたしの脳裏に甦ってくる。




