番外編:サユリちゃんメモ①
有史以来、数千万年。
西暦が廃され、宇宙歴となって数百年。
未だ戦争とは絶対悪なのか、必要悪なのか、賛否両論である。
また、その中でも色々分派があって、戦争とは人類の汚点であり恥ずべき行為である。だからどんなことがあっても戦ってはいけない、という殆ど宗教にしちゃってる学派もあれば、人類の歴史とは戦いの歴史でもある。また人間にはもって生まれた信念や正義があり、それは神聖不可侵である。
もし、それを侵害するものがあれば、武力をもって阻止することもやむ得ぬ行為である。
よって戦争とは人類になくてならない防衛手段である、というテロリスト半歩手前の学派もある。
いずれにしろ、あたしたち軍人にとって大事なのは、戦争をどう認識するのかではなく、どう対応していくか、
つまり有事の際に、どう防衛し、どう反撃し、どう兵を配置するか、ということなのである。
言い換えると起きてしまった戦争を如何にして負けないように軍全体を効率よく運営し、尚且つ政府が有利に外交交渉しやすいように体裁を整える。
ただ、それだけのことなのだ。
とどのつまり、軍人にとって戦争とは仕事以外何ものでもないのだ。
そりゃ、ぶっちゃけた話、人殺しを生業にしているわけだから世間様からいい顔はされないし、あたしたち軍人だって大なり小なり懺悔な気持ちがあるわけよ。
それでも、軍人を見るなり、不当に犯罪者扱いしてくるヤツには腹が立っていたもんだった。
でも、今は戦時。
こっちが殺らなきゃ殺られる、そういう御時勢。
だから、打って変わって世間様は軍人に、より大きな功績を要求する。
誰のことだったか忘れたけれど、大昔に『乱世の英雄、治世の佞臣』って呼ばれた人がいたらしいが……まあ、軍人も似たようなものね。
別にどーでもいいんだけど……。




