第十一話:苦悩の果てに
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シュピィィィィィン、シュピィィィィィィン。
閃光が艦を覆っている中性子防御シールドに屈折されると、粒子となって消滅していく。
が、三発目の光砲は、その粒子によって飽和状態となった中性子防御シールドを貫いて特殊合金の外壁を突き破り、艦内で炸裂した。
瞬間、激しい振動に揺られ、あらゆるサブ・パネルに『非常事態』が表示されるとともに、警報が非常灯の赤々と点滅する艦橋に激しく鳴り響く。
正面の大型戦術ディスパネルには艦内損害箇所が次々と表示されていった。
「艦載機発進口、破損っ! 機関部中波、最大戦速二十パーセントダウン!」
「直撃を受けたF-5区画は破棄します。隔壁閉鎖、自動消火システム作動します」
「右舷後部光子魚雷発射管、大破っ!」
「右舷前部光子砲、使用不能っ!」
よく、艦がもってくれたというべきか、それとも運が良かったのか……。
とりあえず、致命傷に至らなかったのは不幸中の幸いだろう。
報告を聞いて、そんなことを考えながら、あたしは強かに打ち付けられた床から、のろのろと這いあがり周囲を見渡した。
見た感じ、上部スクリーンの一部が破損して放電している以外は基本的な管制機能には損害が無さそうだけど、第三層はもちろん、第二層、第一層にも部品の残骸やらガラスの破片やらが所狭しと散らかっている。
……こりゃ、負傷者が多そうね。
「トウノ少尉……」
背後から気の弱い声を聞いて振り返った。
「……トウノ少尉、ヒクマ提督が負傷された。至急、軍医を……。私も足と胸をやられて……」
「だ、大丈夫ですか!? トクノ参謀長! しっかりして下さいっ!」
半分、瓦礫に埋まっているトクノ参謀長を引きずり出し、ヒクマ提督の上に覆っている合金製の大きな破片を力いっぱい押して払いのける。
「提督っ! ヒクマ提督っ!」
あたしの叫び声にダーク・グレーの瞳を細め、気を失った。口元から流れた鮮血が見事に蓄えた白髭を染めていく。
……これは重症かもしれない。
「通信オペレーター、提督と参謀長が負傷されたっ! 軍医を艦橋へ、急いでっ!」
動揺を隠しきれない、あたしの命令が一瞬、通信オペレーターを硬直させた。
「早くっ!」
「あ……、はいっ」
端末に向かって、あたふたと操作盤をはじき始めた。
現実が悪夢なら、早く覚めてほしいもんだわ。嫌な予想ばかり的中する……。
あたしは正面を見据えたまま、唇を噛んだ。




