乳児編 7. 魔法
始めて外に出て、数日が経った。
二匹の獣の親子は、とても大人しかったので家で飼うことになった。というよりも、俺が家に帰ってから子狼と引っ付いて飼いたいアピールをしたからである。
今考えたら、少し危なげだったかもしれん。
そういうわけで、ここ数日でこいつらと遊ぶことが多くなった。基本的には子の方がワイワイ戯れ、親が片隅から見ているという形だったが。
運動を飽きずにできるので、成長のためにもいい。
それと、見たて通りこいつらの毛並みはなかなかのものだった。このモフモフ感は至高である。
一番最初に家に上がった時には、母に体をこれでもかというくらい洗われたため毛の艶が増している。
という今も、俺は親子の獣に挟まれてくつろいでいる。こいつらはかなり懐いてくれている。ただ、魔法の操作訓練をしている時は少し距離があるような気がするのは気のせいだろうか。
そういえば、こいつらに名前をつけてなかったな。ここまで親しくなったのだ。名前をやろう。
親の方は格好良さげな風貌なのでライガ。子の方は可愛げなのでポチ。よし、これで行こう。
ポチとライガよ、私が君たちの主人である。さあ、そのモフモフを差し出したまえ。
モフモフを継続していると、母が入ってきた。今日も読書をしてもらおうとモフモフしながら思っていると後ろから、普段は基本的に家にいない父と謎の人物が現れた。
二人のゲストは、こちらを見るとかなり驚いた表情を浮かべた。赤子と愛玩動物が戯れることはこの世界ではあまり無いことなのか?
もともといた世界では、某動画投稿サイトなどで赤子と愛玩動物の戯れは多く投稿されている。しかも、その多くが高再生数を打ち出しているというのに。
ああ、なるほど。俺とポチとライガの戯れている楽園のような景色を直で見てしまったため、あまりの可愛さに言葉を失っているのだな。
赦す、存分にこの可愛さを堪能するが良い。
てなことを考えていると、二人はやっと思考を取り戻したようで、こちらに向かって来た。いや、正確にいうと、謎の人物が先に思考を取り戻し、固まり続けている父を起こしたのが正しいか。
そして、それを横で微笑んでいる見ている母。
近付いて、ジロジロとこちら見回すように見始めた二人。
この行動を見ると先日の老婆を思い出す。そういえば、老婆は何かを聞いた途端に俺の体を調べ始めた。
その直前に母が話したことは、俺が魔力を放出したことだろう。
ということは、この二人も母からそのことを聞いてここにやって来たのか。
二人は、一通り俺の体を見た後何かを話し始めた。
ポチ達と遭遇した時、俺の体に異常があったり、緊張か何かで魔力が暴走したとでも考えているのだろう。
まさか、赤子がここまではっきりとした思考をするとは思わないだろうからな。
話が終わったかと思うと、急に謎の人物の方が俺に対して手を向けた。
おいおい! 異端児は焼却処分とかやめてくれよ??
彼は魔法を練ったかと思うと光の文様が出来て来て、それが段々と動きながらある形になると止まった。
そのまま彼は、その光を形成している魔力をより濃く練っていく。ある程度経った時、俺の体から少量の魔力が魔法陣のようなものの中に引っ張られていった。
光の魔法陣は、またその形を変えながらあるところで揺らぎ壊れた。
すると、謎の彼は最初に会った時よりも驚きの表情を浮かべ始める。一体なんだというのだ。そこまで俺の魔力が驚きかね。
本当に驚いたようで、全く動かない。
父が何かを尋ねると、再び動きだし話し始めた。彼は両親に何かをいって、区切りが付いたらしく帰って行った。全く何なんだ。
魔法で調べた俺の魔法のことについて、会話が終わったのが夕暮れ過ぎ。彼が家に来たのが昼前だから、どれだけ長く話したのかがわかるだろう。
まあ今の俺にできることは何も無いし、両親がなんとかしてくれるだろう。そう楽観的に考えて、俺はモフモフの中眠りについた。
試行錯誤中なので読みにくかったら、言ってください。
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