乳児編 6. 魔女?
小屋は、ポツンとそこに立っていた。その異様さは改めて見ると、際立ったものだった。そのまま小屋へと入っていく。
「********」
戸口を開け、中へ入って行く。周りを見回してみると、ものすごく散らかっていた。所狭しとある何かの機材。机の上には危なげにビーカーが置いてある。そしてそれ以外の場所に、紙や皮で出来た書物が所狭しとある。
この世界の紙は、現代のような薄い紙ではなく少し厚みがあるものである。そのせいで余計散らかって見える。ここは何かの研究室なのかな? 獣達を外で待機をさせていく。
しばらく中にいると、奥から人影が見えてきた。それはローブを羽織り、杖を持った魔女のような老婆であった。老婆はこちらをちらりと見ると、驚くような速さで近づいてきた。
正直、すごくビックリした。
俺を持ち上げ、ニヤリと笑ったかと思うと俺を撫で回して来る。グワングワン。赤子をなんという扱い方するんだ。最初はおっかない魔女かと思ったが、この老婆は俺の祖母か何かなのかだと気付き始めた。
「***」
そう母に語りかけ、その後、母と老婆の会話がしばらく続いた。その後、何分か経った頃に老婆の顔が、急に険しくなり部屋の奥へと引き返して行った。
少しして戻ってきた老婆の左腕には、綺麗なペンダントの付いたネックレスがあった。とても綺麗だ。それを俺に近づきつけようとする。付けられた途端に、ほんわかとする何かに包まれたような気持ちになった。
これは魔法の道具か何かなのだろう。それも防御系。それか、魔力を暴発などを防ぐなどと言ったものかのどちらかだろう。今日の出来事を聞いて、俺を守るために持って来てくれたのだろう。
祖母と言うとは間違いなさそうだ。このアクセサリーの価値は正確にはわからないが、貴重なものだろう。こんなにも、綺麗なのだから。それをすぐさま渡すということは、そういうことだろう。
渡した後、祖母は俺の体の至るところを調べるように見て、一通り見終わった後満足したように頷きまた会話を再開した。
ある時は外の獣達を見て、祖母がビックリしたりという出来事があったが順調に時間は過ぎ夕暮れが近くなった。
その間、俺は時々いじられたり寝たりもしながら、基本的には暇だったので部屋の中を見ていたのだが、まさに研究室だった。弄りたくなるほどに、様々なものがある。祖母は研究者なのだろう。果たしてこんな草原で何の研究をしているのだろうか?
暗くなるまえに俺たちは帰ることとなった。この世界の昼から夜への移り変わりは早い。そう常々感じている。日の長さはほとんど変わらないのに昼から夜への移り変わりが早いということは、この惑星は地球よりも大きいか。それとも大気の層が薄いだけか。
そんなことやここに来てからのことを考えていると、家に着いていた。今日、色々なことがあった。その最たるものである、二匹の獣の親子とネックレスを見つめ、次はどんなことがあるのだろうと思いを馳せながら、母の背で眠りについた。