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救出!

ネル王子をはじめとするカグァム・リィカ捜索勢は、光指す道の先、住宅街の片隅に来ていた。


光の取り囲む土地を見やるも、相変わらずここには何もないような気しかしないし、建物も認識できない。

だがそれは賊のまやかしなのだ。

アマリエの魔術解析スコープで土地を覗いてみれば、線を沢山張り巡らされた異様な姿の家が視えた。


結界は何重にもかけられている。

防音、認識阻害、攻撃防御…

高度で難しい魔法ばかり。

これぞ、かつての学友ラザリオンがこの事件に関わっていることの証拠ではないか?

ネル王子は、悔しそうに唇をギリリと噛みしめる。

唇と、切り捨てた小指の断面からは、じわっと淡く血が滲んでいた。





「ーーー攻撃開始!!」



アマリエが声を上げると、一斉に影と騎士たちが結界を攻撃し始める。

一枚、また一枚と、結界は剥がされ壊れていった。



ついに最後の一枚となるが、しかし、これがとんでもなく手強い!

攻撃を全て跳ね返して来るのだ。

魔法も、武術も、強ければ強いだけのダメージが自分へと返ってくる。

手も足も出なかった。


スコープで確認すると、「45,000」もの魔力を込められて構築されているようで、それ以上の魔法で攻撃するしか手は無さそうである。

皆、頭を悩ませる。



そんな魔力を持った人間などヴィレア国中を探してもいない。

兄王子でさえ、規格外の人ながら、保有魔力は全てで「40,000」なのだから。

どうしたら?

…またも女神救出を諦めなければならないとでも言うのか!そんな事は許されない!



焦った空気が漂う中、ネル王子は一人でスッと前に躍り出た。

その様子はいっそ異様なほど落ち着いていて、王族の風格すら感じられる。

トントン、と準備運動をするように靴のつま先を地面に叩き合わせ、まっすぐに結界の中心を見つめた。


攻撃反射で体に傷を負ったアマリエは、座りこみながら彼を見上げる。




「王子殿下……?

…がむしゃらに攻撃をしても、結界は破れませんよ?」



「分かっています。

勝算はありますので任せて下さい!」




王子は視線を彼女には向けず、前だけを見て言い放つ。

その自信ありげな様子には誰もが首を傾げた。

王子は稀に見るほどの低魔力のはずなのだが…?

この強力な結界をどう突破するというのか。



いかぶしげな視線を背中に受けているのが分かり、王子は苦笑しながらも、愛おしげに首元の鎖を撫でた。




「……また貴方に助けられてしまうんですね。

可愛い優しい、…素敵な女神リィカ。


どうか無事でいて下さい。

私に出来る全力で、今、お助けしに参ります!!!」




言った瞬間、王子は力強く地を踏みしめる。

長い脚を活かした全力の回し蹴りが、最後の結界に炸裂した。



もちろん結界はその蹴りを弾く。

しかし、それを『ネルに対する悪意ある攻撃』と捉えた"愛守りの結界石"によって、おおよそ5倍の威力でもって更に攻撃をはね返された。


魔力「50,000」ものトンデモ攻撃を受けた結界はついに壊される!




ーーー蹴りの勢いそのままに、王子は閉ざされた家の中に突っ込んで行った。





****************



ネル王子が壁をぶち破った家の中には、2人の賊と、傷付きぐったりした様子のレイカがいた。

「ネルシェリアス」と、か細い声で自分を呼ぶ鈴鳴りの声を聞いて、体がカッと熱くなる。


あんなに待ち望んでいた女神の声。

彼女が最初に呼んだのは、間違いなく自分の名前で…

喜びの感情で一気に脳中が塗りつぶされそうになり、慌てて頭を振って、冷静になろうと努めた。

そんな状況じゃないのに全く自分ときたら!



賊を何とかしなければならないのだ。

彼女をこんなに傷つけたやつらが憎くてたまらない!




「その手!離せ…ッ!!」


「……ッうっわ、よけろレイズ!」


「ひゃっ!?」


「誘拐なんてことを仕出かした悪党が、気安くリィカに触れるなんて許しませんッ!!」




身体強化もしていない自分の力のみで、誘拐犯へ殴りかかる王子。

とんでもない速さで駆け、拳に込められた力もシャレにならなさそうだ。


本能で怯えたレイズを庇い、ユキが壁まで吹っ飛ばされる。

受身魔法を使ったものの、思い切り叩きつけられていた。

即席建築の脆い壁の破片が、パラパラと彼に降り注いでいる。

主!と叫んだレイズが、あわてて駆け寄った。


レイカは青ざめた顔で、唖然とその光景を見ていることしか出来ない。

身体を起こそうとしたが、まだ力が入らないのだ。こてんとベッドに倒れこんでしまう。




誘拐犯らがとりあえず離れた事で、王子の荒ぶる気は多少は冷めたらしい。

鋭かった眼光をほんのりとだけ緩めて、ベッドに伏せるレイカの側に座り込んだ。

もちろん賊の事は警戒中である。


ヤケド跡のうっすら残る手を近くで眺めて、絶望した表情になる。




「貴方の美しい手がこんな事になってしまっているなんて…

身体の痛い所は、他にはありませんか!?

…ああリィカ、リィカ、怪我をする前に助けに来れなくて…本当にごめんなさいッ……!」




うるうると空色の瞳の表面が揺れて、唇からこぼれた言葉は謝罪だった。

…涙もようやく溢れたと言えようか、抑えていた昂ぶる感情がもう止まらない。ボロボロに泣いている。

あまりに追い詰められた彼の様子に、レイカも驚く。


ぶっ飛ばされたユキも心配ではあったのだが…とりあえず、王子を落ち着かせることにした。




泣く彼の首筋に腕をまわして、優しく抱きしめてやる。

泣いている子をあやすには、温かさが伝わるこの方法が一番だ。

サラサラの乳白の髪が顔に触れて心地良い…この感触もいつぶりだろうか。

1日も離れていないはずなのに、もう随分と久しぶりな気がした。




「……はあ、本当に本物のネルだよぉ。

迎えに来てくれたんだね。

ありがとう…!

貴方はまるで物語の英雄みたいね…」


「~~~~~ッ」




パチパチと何度も瞬きする王子。

想いが募りまくっていた所にこの問題発言、頬なんてもうリンゴより真っ赤だ。


英雄……!?

レイカの言葉はどこまでも、王子の耳に優しく響く。


想像していた"ネルのした事なら何でも許す"なんて言葉の比じゃない、ひたすら甘々な内容に、不安も後悔も、ズブズブに溶かされてしまいそう。




「どうか謝らないで。

大好きな貴方が泣いてると、私もとっても悲しくなるよ。

…この手の怪我は自分でやったし、攫われたのも私の責任。ネルは何も悪くないから!

心配かけてこちらこそごめんね…!

ーーー会いたかった……ッ!!」




抱きしめられている腕の力がきゅっと強くなる。

自分の肩がビクッと震えた。

柔らかくてあったかい、人形なんかじゃない生きてる本物のリィカ。



本能的に抱きしめ返そうとして、はたと躊躇う。

王宮に戻った後は自分は彼女を抱きしめられない約束を、思い出していた。

……なら、なおさらこの場で堪能しておくべきなのか!?

後後ツラさが増すのは分かってるから、ガマンすべき…!?


「リィカ……!」


結局、誘惑には勝てず抱きしめてしまった。完敗。


幸福感に、また別の意味での涙が溢れてくる。

温かくて小さな手で、それすらもすくい取られて……涙の意味は結局自分からは言えずに、硬く唇を結んだ。


下手したらこのままキスしてしまいそうな程甘ったるい雰囲気の中、空気を読まずに賊がタイミング悪く立ち上がる。





「……ったぁ!!」


「主…!」



「!」

許さん。

ここでまたリィカを盗られてはいけないと、目を一瞬で戦闘モードに切り替えた王子。

ギラッとラザリオンを睨む。


最後にと、掻き抱くようにレイカを抱きしめると、その耳元でありったけの愛を込めて囁いた。




「私が貴方をしぬほど愛してたって事、どうか忘れないでいてくれたら、嬉しいです」



「! ネル……ッ!?」




驚きで力の緩んだレイカを素早く離すと、ベッドに少々荒く寝かしつけてまた走りだした。


「待って…!」とかすれた声が聞こえて来たけど、振り返らずに賊へと攻撃を開始する。



立ち上がりかけて中腰のユキへ渾身の力で脚を振り下ろした。

妙に弱めの結界魔法で防がれたが、思い切り力を込めてやると「ぐあっ!?」と呻いて少しずつ結界を後退させる。

その黒い瞳が驚愕に見開かれている。

ほの暗い嫉妬の感情と、懐かしさからくる憧憬の念が見て取れた。

冷や汗を流しながら、かつての学友を睨みつけるユキ。



「おいおい、今のお前、何か混ざってないか…?

身体強化も使って無いのに筋力値おかしいぜー、懐かしの親友サンよッ!」



安い挑発だ。

ネル王子はチッと舌打ちして、再度蹴りを放つ。



「怒りが臨界点を突破しているんですよバカ野郎。

ヴィレア王国に手を出した賊が私の親友だったなどとは、頭が痛くて死にそうです。

何、ヴィレアの女神を傷付けてくれてるんですか?……殺しますよ」



「うわこれマジの奴声のトーン!ヘルプレイズッ!」

「えいやあああッ!!」



「甘い!」




ユキを助けようと獣人の重脚力で飛びかかってきたレイズを、身体をひねって王子は避ける。

細い足首を取り上げ、床に投げつけた。

バランスを崩したレイズが着地時に膝を着いてしまうと、首筋に手刀を落として一瞬で意識を刈り取る。

鮮やかすぎる手際。

普通、一王子が成せる技ではない。


ユキが倒れたレイズに焦って気を取られている隙に、蹴りで結界をぶち壊す。

その喉元に手を伸ばして、首をギリギリと締め上げた。

180cmを超える長身がぶらりと宙に浮かぶ。

腹を蹴ると、苦しそうに身体をくの字に折りまげ、また壁際まで吹っ飛ぶ。


「………」


つかつかとその男の前まで歩き、短剣を喉に押し当てた。

少し滑らし傷を付けると、首元に鮮やかな魔法陣が現れる。

魔力封じの、魔法剣。




「ーーーなにか弁解したい事はありますか?…ラズ」




ユキは嫌そうに首元を撫でた。

この魔法には、さんざんな思い出があるのだ。

…魔法さえ使えれば逃げる算段はしてあったんだけど、これまでか。

疲れたようなため息をつく。


最後の足掻きにと、ネル王子に凶暴に笑いかける。




「強いて言うなら、実行犯は俺だからそこの子ギツネは助けてやって欲しいけど?

ーーーそれ以外は、無いね!」



「…まだ子供だから考慮はします。

事情を聞いてそれによって罰を決めますよ。

…もう一度だけ聞きますが、貴方自身には、何も弁明は無いんですね…?」



信じたくない思いと、今親友が目の前にいる現実に、思わず突きつけた刃をブレさせてしまう王子。

リィカを傷付けられた憎い相手だというのに、なんてザマだ。

ハッとして、しっかりと柄を握り直す。

ユキが半眼でネル王子を睨めつけていた。




「やっぱりお前も甘いのか。ネル。

そんなんじゃまたレイカさん攫われちまうぞ、ビシッとしやがれ。

まあ、友達少ないお前にとって俺の存在が貴重だったのは分かるけどーぉ!


うん。

…幸せ浸りだったお前のそんな顔が見れたからさー、俺はそれで、もういいや。

どーぞ?」



「………ッ、肝に銘じますよ…!」




ギリリと歯を噛みしめた王子が、短剣をゆっくり振り上げた。

言うべきことがないなら、この男はもうここで殺すしかない。



ユキは言いたいことを言って満足したのか、穏やかな表情で目を閉じている。

…ああ、やっと終わるのか。

疲れたけど、まあいい結果になったのかもね。

ザルツェンは終わるし、レイカさんは…日本に帰せなかったけど、ネルが守れるって分かったし。後はレイズが無事だといいなぁ…。


脳内で歌っていたラザリオンが初めてこちらを向いて、「ごめんねユキヒト」と泣きながら謝ってきた。

意識下で頭を撫でておく。

お前も俺と一緒に逝ってしまうのかな。悪いね、助けてやれなくて…




銀色の刃がまっすぐに首に吸い込まれようとして…ーーー

部屋中を眩しい光が包み込み、王子の短剣は女神の結界に弾かれていた。





「…待ってって、言ってるでしょおーーー!!!」




叫んで、息も絶え絶えなレイカが、王子たちの間に割って入った。





****************





「ちょ!?

刃物扱ってて危ないですから、リィカ…!

下がってて下さい!」



ネル王子が慌ててその場から飛び退く。

退かないレイカを見て、とりあえず剣は諦め、ユキの腕を後ろから締め上げておく事にした。

長く痛い分、嫌なとばっちりだ。



「いったっ!?

…お前料理中の女子みたいな表現してんなよ、本当レイカさんにはダダ甘だな!

…死に際に見せられたのがラブコメなんてしんどいわー。

マジごめんだわぁーー」



「ええい2人ともうるさいですよ!?

今は私の話を聞いてくださーーいッげほっ、ゴホゴホ」


「リィカーーーーーッ!!?」




張り切って大声を出したら喉がやられてレイカが盛大にむせる。

ネル王子が大急ぎで背中をさすっていた。


介護かよ…とユキが突っ込む。


場の空気はなんとも微妙なものに変わっていた。

…こんなはずじゃなかった、あれ?(レイカ)



むせて涙目のまま、ぺちん!と2人の頬を叩くレイカ。

ネル王子の顔に「この威力の低さがまた可愛いたまらない!」とか書かれていたが割愛しよう。

更に上目遣いで見上げられて、王子の胸キュンゲージは振り切れまくった。

技あり!

あまりゆっくりしてる場面でも無いのですがが…この際、話でも何でも聞きましょう。

可愛すぎた。




「……ネル!

まだこの人いっぱい隠し事してるのよ、全部最後まで知ってあげて…!」



おおっと予想外のお願い!

だがしかし了解しました



「なんですって…!?

よし王宮で拷問にでもかけましょうか来なさい。

アマリエー、ミッチェラー!」



「うわあああああ待って、待って今話すからあああ!!」




言い方をうっかり間違えたようだレイカさん。てへぺろ


この場でさっくり殺されるより恐ろしい、2人のセコムが召喚され、ユキが悲鳴を上げる。

トラウマ再来!

一度カッコ良く覚悟を決めた後だから、余計にセコムが恐ろしく感じて、もはやなりふり構ってられない。


ミッチェラの鞭(日常用)で大人しくぐるぐる巻きにされた。

小さなトゲトゲが皮膚に刺さって地味に痛い仕様だ。



「事情も話さずこの場を終わらせようとした罰です」



ボソッとレイカが、ユキに聞こえる程度の声で呟く。意外と強かだった女神!

さんざん暗い過去話を聞かされ、罪悪感と同情心をこねくりまわされた恨みがこもっている。

聞かせるだけ聞かせといて、自分は墓場までだんまりって何それ!とのこと。


ふらふらと立ち、ユキを仁王立ちで見下ろす。




「まず、貴方がするべきことがありますよねー!?

…ネル様たち皆に謝って下さい!!」


「それはやだ」


「…謝ってってばー!」


「嫌ーー!」



しぶといユキ。

ここまで場を整えたのだから、後は自分が死ねば綺麗にまとまると愚かな勘違いをしているようだ…



「ご安心下さいませリィカ様、私めが何度でも謝りたくなるよう調教してご覧に入れますわぁーー」


「超ごめんなさいッ!!!」




そんなごねてると、ホラホラァ!


ネル王子が複雑そうな顔でユキを見る。

「なんだか微妙に、謝られた感じがしませんね…」

確かにおちゃらけた男だったが、こうまでノリ良く高速で謝られるとは…ふざけてる?

いや、セコムが怖いだけで本気で謝ってもいるのだろう。

気まずげに逸らされている視線が、そう物語っている。

今更素直になれないだけのようだ。



こうまで空気が緩んでいるのは、ユキの魔法が今封じられているからだろう。

彼は魔法さえ使え無ければ、初級の影でも捕まえられるほどの文系男子である。



謝ったら、次にやるべきことはまだまだある!レイカは真剣な顔でユキを見た。

優しく諭すように話しかける。




「…改めて、きちんと自己紹介しましょうよ?ユキヒトさん」


「嫌」


「あらあら」「まあまあ?」


真辺マナベ 雪人ユキヒトです日本人です!

魂の年齢は26歳よろしくね!」


「「「………」」」




プライドなにそれ美味しいの。


ネル王子は驚愕の表情でユキを見ていた。



「…ユークィト?

こっちが名前、なんですよね…?

日本人って一体どういうことですか」


「…話せば長くなるよ」



「はあ。

…この際ですから、もう最後まで聞きますよ。


貴方の事を教えて下さい、ユークィト。

この誘拐事件はどうして起こったんですか?

貴方が何を考えていたのか、私も知りたいです…」


「………」






~かくかく、しかじか~







「~~~~~はあッ…!」



がっつり過去話を聞いた、ネル王子のため息が重い。

それはそうだ。

気付かないうちにザルツェン政府が誘拐計画を立てていて、それをユキが壊すため追力してた?

…もう予想外すぎた。


ーーーそれに、レイカを日本に帰す方法があるなんて事も知らなかったし。

頭が痛くもなる。


目の前にちょこんと佇む婚約者を、複雑そうな目で見た。




「貴方を帰してあげられる方法を…私たちは知りませんでした。

日本に、帰りたいですか…?」



尋ねるには小さすぎる声でレイカに問う。

彼女の良いように、選択肢を選んで欲しい気持ちはある。

でも表情にさみしい気持ちがにじみ出てしまっていた。

まるで捨てられた猫のようだと、レイカは思う。



王子の手袋をはめた右手を、そっと取った。

ピクリ、と彼の肩が跳ねる。顔色が悪い…




「貴方のいるこの世界にいたいよ」


「ッ!」


「……ダメかな?」




嬉しかった。そして、どうしようもなく悲しくもあった。

まるで騎士がするような礼を、王子はレイカへと贈る。




「一生貴方を守らせて下さい。麗しの女神様」



その言葉を聞いてレイカは涙を流しながら、苦笑した。


また、美醜の価値観の話もしないとね?

それを聞いて、ネル様はどう思うだろうか。

自分の容姿にコンプレックスを持っているなら、貴方は美しいと本心から伝えてあげたい。

容姿が醜くて悩む辛さは、私もとても良く知っている。



たくさん彼と話していきたいな。

色んな事をお話する、そんな他愛もない事が楽しみで仕方ない。


帰らなければ、これから、どれだけだって時間があるという事実が嬉しい。

またネルといられるのね。

…………。





「…王宮に、一緒に帰りましょうか」



王子がどこか表情の読めない笑顔で、優しくレイカを抱き上げる。



「はい!」




幸せそうに彼女が抱きつき、朝もやに浮かぶ影は一つになったように見えた。

貴方が望むなら、ユークィト達の謝罪だって受け入れますよ、と王子は囁く。


従者たちは、なんともいえない顔で、幸せそうな2人の後に続いた。



途中でシリアスに耐えきれなくなった感はありますすみません



読んでくださってありがとうございました!

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