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受験

作者: mizunomasayuki

 家内が孫より若い娘さんを連れてきた。この人は今日からあんたに英語を教える家庭教師の先生だという。のんびり将棋がさしたいから放っておいてくれ、と言ったはずなのに聞く耳を持たない。家内はわたしをいい大学に入れようと必死なのである。

 それから週に二度、先生から英語を教わっている。知り合いが喜寿米寿の年寄りばかりだったので、花盛りの娘さんと話しながらの勉強はすこぶる面白く、はかどる。しかし出された宿題は、つい老人会の雑務や将棋にかまけて忘れがちである。わたしはボケたふりをして済まそうとするが、先生はお見通しのようである。


 あっという間に志望校を絞る時期になった。家内と先生は大学のパンフレットを読み比べて、偏差値がどうの、就職率がどうのというようなことを言い合っている。わたしは上着の裾で老眼鏡を拭きながら、隣の安岡さんと将棋がさしたいなあ、とぼんやり考えている。久しく顔を合わせていない。何しろ安岡さんはわたしより多忙な、週に三度の塾通いなのである。


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