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プロローグ 01

「はぁっ、はぁっ…」


そこに立つのは一人の少年。


「これで…10万冊……!」


少年が手に持っているのはある魔導書の原典。


「これがあと約3000冊かよ…」


前途多難だな…と少年は思う。


「まあどうにかなるか。」

そして少年はどんよりと沈み込む6月の空を仰いだ。





時は2日前にまで遡る。


ある少年はその日16歳の誕生日を迎えていた。


とはいえ少年に肉親はおらず、誕生会なんてものをやるはずもなかった。


なので少年はいつもと変わらぬ一日をすごそうとしていたのだ。


「今日も雨か…」


はぁ…と少年はその年齢に似合わぬ大きな溜め息をついた。


この少年は雨が嫌いなのだ。


気分を暗くして、2年前のあの日のことを思い出させるこの忌々しい雨が。


2年前のこの日少年は今年と同じように気だるい雨の日の誕生日を迎えようとしていた。


ただこの時はまだ肉親である母と妹がいたので幾分かは楽しい1日が期待されていた。


だが彼が学校から帰ったとき、その期待は一瞬にして崩れ去った。


玄関の扉を開けると、そこには見覚えのあるスニーカーが脱ぎ捨てられていたのだ。


少年は全身に鳥肌がたつのを感じた。


そして妙な悪寒に襲われた。


足跡をたてぬように廊下を歩いていき、リビングの前までたどり着いた。

思い切ってリビングのドアを開ける。


そこに広がっていたのはなんとも凄惨な光景だった。


少年は白かった壁に飛び散りこびりつき、同じように床に溜まった大量の赤黒い液体を目の当たりにした。

鼻をつく鉄の臭い。


視覚と嗅覚、さらには知覚を同時に刺激された少年は堪えきれずその場に嘔吐した。





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