前へ目次 次へ 3/6 森は呼んでいる 桐箪笥のひきだしの奥にミセスロイド 色褪せて粉を吹いたグリーンガム 口にふくめばメンソレータム 都会の森は総天然のプロパガンダだ 雨上がり、山雀(ヤマガラ)の囀りは忙しない 満員電車に彩りは見えない セピア色した水玉の髪切虫もいない 公園のメタセコイアは嘘つきだ 東京の森はよく働きよく喋る ぼくは腐葉土にもぐって空想にふける ニンフと骨まで戯れようと けれども喉は優勝杯を欲している 聖杯のある深い森をしらないから それでも森は呼んでいる