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VIBES LOGIC - 生命の螺旋Ⅱ JUSTICE or FRIEND ー正義の檻を抜けて  作者: 御園しれどし


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第一章:Justice's Dress - 正義という名の正装

Justice or friend


(Intro)

(重厚なベース音と、刻むハイハットのビート)


Yo,

誰かが言った 「悪は消せ」って

「正義」を盾に 指を指し合って


笑えねぇジョーク 耳を貸すなよ

真実の場所 そこじゃねぇから


(Verse 1)

悪を叩くのが正義のゴール?

牙を隠した、自称パトロール


他人のミスを 見つけては告発

賢く立派な フリして喝采かっさい


でも考えな もし悪が消えたら

アンタの正義は どこへ行くんだ?


ターゲットを失い困り果てるつら

悪を作らなきゃ 立てない土俵か?


(Chorus)

我が物顔でのさばる その「正しさ」

無責任な奴が 着る「正しき」正装


わかったふりして 裁くその前に

わからない場所で 問い直す精神スピリット



 1. 牙を剥く正義


「エデン事件」から一年。聖華市セイカ・シティから、感情最適化AI『バイオス』の強制的な統治は消えた。しかし、街に訪れたのは安寧ではなかった。


 かつてAIが「ノイズ」として処理していた市民たちの怒りや不満は、今やSNSという巨大な拡声器を通じて、特定の標的へと向けられる「正義の鉄槌」と化していた。


「――殺せ! 嘘つきの政治家に報いを受けさせろ!」 怒号は個々の意思を失い、巨大な一つの質量となって事務所の窓ガラスを震わせていた。


 若手政治家、瀬戸の事務所前は、怒号を上げる群衆に包囲されていた。


 きっかけは、一週間前にネット上に投稿された匿名告発だ。十年前、彼が学生時代に起こしたとされる軽微な金銭トラブル. それはすでに解決済みの事案であったが、今の市民たちにとって「事実かどうか」は重要ではない。「叩いてもいい悪」を見つけることこそが、彼らの空虚な日常を満たす唯一の娯楽(ドレス)となっていた。


「正義を盾に、指を指し合って……笑えねぇジョークだ」


 事務所の向かいにあるビルの屋上から、その光景を冷ややかに見下ろす男がいた。


 久世カイ。喉の傷跡を隠すスカーフはもう巻いていない。彼の喉からは、時折、調律の狂った楽器が軋むような、掠れた生身の声が漏れるようになっていた。


 カイの端末に、瀬戸の秘書からのメッセージが届く。


『瀬戸を救ってください。これは単なる炎上ではない。誰かが意図的に、この「正義の暴走」を仕掛けているんです』



 2. 正装の裏側


 カイは群衆の声を音響解析した。


 ヘッドホンから流れる怒号は、一見バラバラに見えて、背後に数学的な整列を感じさせる周期性を持っていた。特定のキーワードが、集団催眠を誘発する一定のBPMで繰り返され、人々の脳幹を直接叩いている。


「無責任な奴が着る、正しき正装か……」


 カイが呟いたその時、背後で硬いハイハットのビートが刻まれた。


 振り返ると、そこには見慣れない男が柵に腰掛けていた。派手なグラフィティが描かれたジャケットを羽織り、指先でリズムを取っている。


「誰だ」


「名乗るほどのビートも持ってねぇよ。それよりアンタ、あの中のノイズに真実が混じってると本気で思ってるのか?」


 男はシンと名乗った。彼はカイが手にしている波形モニターを鼻で笑うと、ポケットから古びたカセットテープを取り出し、カイの前に放り投げた。


「アンタの理詰めの捜査じゃ、あいつらの『精神スピリット』は読めないぜ。眠ってた目を開けな。この街は今、一年前よりずっと深い檻の中にいる」


 シンはそれだけ言うと、軽やかな足取りで屋上の縁を歩き、闇の中に消えた。

 残されたテープには、手書きでこう記されていた。


『justice or friend / for KAI』


 再生ボタンを押すと、重厚なベース音とともに、かつての親友・レンが最後に残したバイブスに酷似した、しかしより鋭利なメロディが流れ出した。


「わからない場所から、始めていきたい……か」


 カイはシンの消えた闇を見つめ、掠れた声でリリックをなぞった。正義というロジックか、友というバイブスか。二択バイナリの檻を打ち破る、新しい事件のイントロが鳴り響いた。

Justice or friend


(Intro)

(重厚なベース音と、刻むハイハットのビート)


Yo,

誰かが言った 「悪は消せ」って

「正義」を盾に 指を指し合って

笑えねぇジョーク 耳を貸すなよ

真実の場所 そこじゃねぇから


(Verse 1)

悪を叩くのが正義のゴール?

牙を隠した、自称パトロール」


他人のミスを 見つけては告発

賢く立派な フリして喝采かっさい


でも考えな もし悪が消えたら

アンタの正義は どこへ行くんだ?

ターゲットを失い

困り果てるつら 悪を作らなきゃ 

立てない土俵か?


(Chorus)

我が物顔でのさばる その「正しさ」

無責任な奴が 着る「正しき」正装

わかったふりして 裁くその前に

わからない場所で 問い直す精神スピリット


(Verse 2)

ストリートで出会う

それは「もう一人の俺」

鏡みたいな友が 語る俺の夢

自分じゃ気づかない 心のブラインド

新しく 詳しく 解くそのマインド


眠ってた目を開く シャープな視点

深く広く 響くこの次元ディメンション

独りで立つより 誰かと育つ

その楽しさが アイスを溶かす


(Bridge)

生かされ 育てられ 繋がる連鎖

正しさの檻から 抜けるための検査

友の言葉で アップデートされる俺

孤独な正義より 温かいこの声


(Outro)

悪か正義か 二択バイナリじゃない

「わからない」場所から 始めていきたい

友よ、お前が 俺を新しくする

眠ってた目を 今、さます

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