親離れ
兄が「愛恋、お前。誰か居ないのか?」と言った。
愛恋は⦅あぁ……またか……。⦆とうんざりした。
「居ないよ!」
「お前がもう少し小さくて可愛かったらなぁ……。」
「何よっ! お兄ちゃんの方が私より小さいから?」
「俺はお前より小さくても結婚出来たぞ。」
「愛恋ちゃん、可愛いわよ。」
「ありがと。」
「うぅ~~ん、そかな?」
「えっ! なんて?」
「身長何センチ?」
「176よ。」
「5センチ大きいな。」
「悪いかっ!」
「悪いぃ?」
「仲、いいじゃん。」
「そうよ。仲いいのよ。」
「うちの恒例行事のようなものなのよ。諦めてね。」
「そんなんじゃないよ。お母さん。」
「兄171センチ、妹176センチか……。
俺が一番高いな……。
俺、183センチだから。」
「俺も兄貴と同じくらいだよ。181センチ。」
「みんな高けぇな。」
「元気だったらいいんだ。」
「そうよね。おじいちゃん。」
「でも、いい加減、嫁いで貰わないと、孫娘の花嫁姿を見られないまま死ぬ事になる。」
「嫌だわ。縁起でもない。」
「縁起? 本当のことだぞ。そのうちお迎えが来る。」
「お父さん、まぁ愛恋は……元気だから良いということにして。」
「まぁ、そうだな。元気が一番。」
「でっ、これからもこの家で暮らすのか? 愛恋。」
「えっ?」
「そろそろ親離れしなさい。」
「ええ―――っ! 出て行けって?」
「そうだな。」
「上げ膳据え膳、光熱費のことも考えなくていい。
そんな生活を何時までも出来ないんだぞ。
出て行くようにしなさい。なるべく早く。」
「………………。」
「そりゃ、そうだ。出てけよ、愛恋。」
出て行けコールが沸き起こった瞬間だった。




