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81 そして、誰も居なくなった。

警備隊の隊長が公爵の宮殿に向かって走り、伯爵は家臣達に抱えられたまま警備隊に囲まれてどこかに連れて行かれた。

そして、誰も居なくなった。

ミステリーかよ。

俺?

路上にベロと一緒に放置されたまま。

誰も説明してくれないので、どうしたらいいのか判らない。

ひょっとして、これが放置プレイってやつか?

どうしろって言うんだ?

俺の灰色の脳細胞は既に仕事を止めている。

短時間しか働く気が無いらしい。

ピンク色の脳細胞は長時間でもやたらと良く働くのに。

判らん。



ギルドに戻ってズンさんに報告したら、ギルマス室に連れていかれた。

ズンさんは、先に戻っていた冒険者達から既に話を聞いていたらしい。

「ガハハハハハ、ショータに対する不敬罪で捕まっただと。」

熊が牙を光らせながら大笑いしている。

めっちゃ機嫌が良い時の笑い方。

「まだ確認は取れていませんが、目撃した冒険者達は皆、警備隊がゴーイン伯爵達をショータに対する不敬罪で連行して行った、と言ってました。」

ズンさんも笑いながら説明している。

「ゴーイン伯爵は以前から評判が悪かったから余罪も出るだろう。 ショータ、良くやった。」

「俺は結界を張って、その中に閉じ籠っていただけだよ。」

誰も居なくなってからは、放置プレイだったし。

暫くあの現場で待っていたけど、結局誰も来なかったので、とぼとぼとギルドに帰ったのだ。

俺は何もしていないんだから、誉められても嬉しくない。

ちょっと不貞腐れてしまった。



「それでいい。 手を出したら色々とややこしい事になりかねん。」

「警備隊長が言ってたんだけど、Aランクって侯爵待遇なの?」

ファンタジー小説ではSランクだと侯爵待遇になる事が多いが、Aランクでも侯爵待遇とは知らなかった。

「どの国も頂点は皇帝や国王だが、大抵の国は周辺の王国を併合して大きな国になった。 地方は各国4~5家ある公爵家の支配になっていて、公爵家というのは元の国王だから他の貴族とは別格の存在だ。 その下が侯爵家と伯爵家だが、伯爵家は各国に40~50家、大陸全体では数百家もある。 Aランク冒険者が伯爵待遇の時には、あちこちの国で伯爵家とのトラブルが頻発したんだ。 伯爵待遇よりも伯爵家の方が上だと勘違いする伯爵家が多かったからな。 あまりにもトラブルが多かったので60年程前からAランク冒険者は侯爵待遇になった。 侯爵家なら数が少ないので侯爵待遇は侯爵家と同格だという事を周知し易いという理由だ。」

「そうなんだ。」

「侯爵待遇になったから、Aランク昇進の基準が厳しくなった。 今ではAランク冒険者がいない国の方が多い。 帝国でもショータ以外は帝都に1人居るだけだ。」

Aランクがそんなに少ないとは思わなかった。

「Sランクはいないの?」

「80年前にワイバーンを倒した勇者が最後で、それ以来はいないな。 Sランク昇格候補の1番手はショータだ、ガハハハハ。」

「やだよ、そんなの。 俺はこっそりひっそり生きて行くんだから。」

「おう、こっそりひっそりドラゴンでも倒せ。 ギルド本部がこっそりひっそりSランクにしてくれるぞ。」

「・・・。」

目立たないように生きて来たつもりだったのに、Aランクってめっちゃ目立つじゃん。

やっぱりカッコカリを付けて欲しかった。

今回はAランクだったお陰で助かったけど。



いつもの日常は変わらない。

いつもの体操にいつもの運動。

素振りと魔法の練習。

週2回、午前中にレイの転移で荒野の訓練場に運んで貰って遠視や遠聴、チンの練習。

ベルンから出た時ついでにと、レイは昔使っていた希少な薬草や素材の採取場所が今でも使えるかを確認しに回っている。

歳月が経つと植生が変わったり、魔獣の生息場所が変わるらしい。

要するに研究に使う薬草や希少素材が不足して来たので補充しているそうだ。

ついでに大きな街の近くにある転移場所が、今でも使えるかを確認している。

万が1、俺がベルンを追い出された時に逃げる場所を確かめてくれているらしい。

図書館通いに治療室での回復、いつもの日常は変わらない。

運動はベロと一緒。

最近始めた反復横跳びが気に入ったらしく、いつも一緒にやっている。

柔軟運動でもベロが俺の背中を押してくれる。

魔法の練習ではレイが念話で指示を出してくれる。

専属コーチが居るので練習が捗る。



遠話や遠聴もかなり出来るようになった。

レイの見立てでは自白の魔法も発動出来ているらしいが、試す事が出来ないので実感が湧かない。

離れた所にいても連絡出来る“通信”の魔法も教えて貰っているが、念話との区別がつき難くて苦戦中。

いずれは通信の魔法陣を使った録音の魔道具作りをしたいと思ってはいるが、かなり先の事になりそう。

魔法陣の転写も頑張っているが、1瞬しか現れない魔法陣を写し取るにも練度が必要。

更に写そうとして発動している魔法の練度が変わると、現れる魔法陣の文字も変わるので思っていたよりも苦戦している。

レイに言わせると、何事でも簡単にひょいっと出来るようなものは無いそうだ。

今は灯りの魔法陣が漸く転写できた所で、文字の解析はまだまだ先の話。

写し取った魔法陣は、文字を解析しないと魔導具用の魔法陣にはならない。

今は魔法陣の転写と解析の練習中。



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