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66 俺は貴族(仮)だぞ

お星様を頂けました。

本当に嬉しいです。

評価を糧にしてこれからも頑張ります。

これからの展開をお伝えする為に、内容紹介を少しだけ書き替えました。

タイトルをクリックして読んで頂ければ幸いです。

頼運

「しかし、ショータは仮にもAランク冒険者だ。 もっと贅沢をして良いんだぞ。」

「仮だから今のままで良い。 ランクはAだけど、攻撃力が無いから実力はFランクだもん。 出来ればギルドカードのランクの横に“カッコカリ”と書いて欲しい位なんだ。」

「“カッコカリ“とは何だ?」

熊は“(仮)”を知らないらしい。

「今だけの仮のランクという意味。」

「それは、単独でワイバーン12頭を倒し、700年に渡って誰も手を出せなかった悪霊や、枢機卿達ですら勝てなかった悪霊を単独で退治したから、実力はSランクだが、まだ11才だから仮と言う事か?」

何でそうなるんだ?

俺は未だにEランクの冒険者でも倒せる、鼠の魔獣すら倒せないんだぞ。



「違うよ。 本来は弱い魔獣すら倒せないFランクだけど、偶々ワイバーンを落としちゃったから、名目だけAランクになったと言う意味、カッコFでもいいよ。」

「その自己評価の低さは、謙遜というよりも嫌味と思われるぞ。」

「そうなの?」

「特に武力を認められて婿に取り立てられた貴族にはな。 俺より弱いくせに偉そうにするな。 爵位の後にカッコカリを付けろと言っているようなもんだ。」

頭にピンっと閃いた。

そうか、実力が無いのに爵位だけで偉そうにしている奴は、カッコカリを付けるのも良いかも。

「それって、いい考えだと思う。 得意な事の試験をして、何にも出来ないアホ貴族には爵位の後にカッコカリを付けるとかはどう?」

”俺は貴族(仮)だぞ“、なんて威張っている貴族を想像したら笑ってしまった。

「・・・、確かに俺も良い考えだとは思う。 だが、絶対に外では言うな。 間違い無く殺されるぞ。 貴族は体面を何よりも気にするからな。」

良い考えだと思ったけど、ダメらしい。



「家の件だが、本当に家は要らないんだな。」

「うん、今のままで充分。 あっ、図書館の利用料は払って欲しいかな。」

レイが図書館に行けと煩いので、利用料のおねだりをして見た。

貰える物は何でも貰う。

今こそ光属性の勿体ないスキル発動の時だ。

「そうだな、もう教会が暗殺者を送って来ることも無いから、図書館に行くのも大丈夫だろう。 ズンに言えば利用料を貰えるようにしておく。」

「ありがとう。」

うん、言っては見るもんだ。



久々の図書館。

通いなれた安全な道だけど、ベロが一緒だからいつも以上に安心。

俺には全く攻撃力が無いけど、ベロは可愛くなっても”地獄の番犬“。

剣が当たっても傷1つ付かないし、闇魔法も使える。

体当たりだけで屈強な騎士を軽々と弾き飛ばせるまさに”地獄の番犬“。

これ以上頼りになる護衛などいない。

ベロも探知が出来るので、暗殺者が来ても大丈夫。

俺と一緒に街を歩くのが好きみたいなので、一緒に図書館に出掛けた。

ベロが居るなら、魔法袋を持ち歩いても良いとズンさんに言われた。

身の回り品は収納に入っているけど、剣や鉄の棒を人前でも出せるから魔法袋は便利。

ベロはギルドで貰った従魔札を首に掛けて、俺の横をトテトテと可愛らしく歩いている。

図書館には入れないので図書館前で送還して、図書館から出る時に召喚する。

召喚獣って、めっちゃ便利。



レイはめっちゃ煩い。

“古代帝国の魔法陣についての本じゃ”

「古代帝国の魔法陣について書かれている本をお願いします。」

司書さんがリストを持って来てくれる。

“上から3つ目と7つ目。次のページを捲れ。上から2つ目と一番下。 次のページじゃ。上から二つ目と、・”

”一度に5冊までだからこれで終わりだよ。 読み終わったら次が借りられるからね“

“そうか、ではその5冊を頼む”

俺が本を読む速さはめっちゃ早くなったと思っていたが、レイはもっと早かった。

魔法陣については俺も興味があったので、レイの選んだ本を俺も読んでみる。

俺が1冊読む間にレイは2冊読み終えていた。

3冊読み終えた時点で、司書さんに次の3冊をお願いする。

今日はギルドからのお迎えが無かったので、閉館時間まで図書館で過ごせた。

とは言っても、何度も何度も司書さんの所にお使いに行かされるのでのんびりと本を読むことは出来ない。

殆どレイのパシリで終わった1日のような気がした。

魔法を教えてくれるし、荒野の練習場所へも転移で連れて行ってくれるから文句は言えないけど。



朝はいつもの基礎運動と剣の素振りに、剣先1mでの“チン”。

その後は、図書館で本を読みながら魔力循環と探知に結界・拘束の反復練習。

夕方ギルドに戻って、治療室で回復魔法を掛けながら、レイと念話で魔法談義。

ベロはファンが多くなりすぎたので、ギルドの入り口横にある従魔の待機スペースで冒険者のお姉さんやおっちゃん達、近所の子供達にモフモフされながら干し肉やお菓子を貰っている。



週に2回、午前中を休診にしてレイの転移で荒野に行って魔法の訓練をしている。

午前中に怪我人が来たことは1度も無いので問題は無い。

ギルドの訓練場ではギロチン風魔法剣となった”チン“を長く伸ばした練習が出来ないから。

一応表向きは、部屋に閉じこもって魔法の研究をしている事になっている。

広い荒野なので、思い切ってチンの刃を100m先に出すイメージを固めてみた。

ミスリルの剣を構え、精神を研ぎ澄ませて一気に振り下ろす。

“チン”

パリン! 

ミスリルの剣を構えて、振り下ろし。

“チン” 

パリン! 

あれ?

10mの時は旨く振れたのに、100mにしたら振り下ろしの途中でチンの刃が砕け散った。

高速になり過ぎて空気抵抗に負けた?

意識を集中して振り下ろしてみる。

“チン” パリン! 

“チン” パリン!

“チン” パリン!

やはり空中でチンが砕けてしまうが、よく観察していたらバリアの砕ける位置が毎回微妙に違う。

地表すれすれまでバリアが維持出来ている場合もある。

“チン” パリン! 

“チン” パリン!

“チン” ガン!

地表の岩に当たってからチンが砕けた。

岩を調べて見ると、岩が少し欠けている。

チンの刃が砕けずに岩まで届いた事が判った。

旨く行った感覚が残っているうちに、練習を重ねる。

“チン” ガン!

“チン” ガン!

“チン” パリン! 

“チン” パリン!

“チン” パリン! 

“チン” ガン!

“チン” パリン!

上手く岩まで振り下ろせる時と、空中で砕けてしまう時がある。

違いが良く判らない。

俺はまだ11歳、違いが判る男への道は遠そうだ。


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