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61 所変われば品川巻

「1族の中に、光属性を持つ子供が2人とか3人生れたらどうするの?」

「知らん。 儂の知っている限り、同じ時期に1族の中に複数人の光属性保持者が生れたと言うのは聞いた事が無い。 光属性は、それ程希少な属性という訳だ。」

「そうなんだ。」

「元々が稀な属性だから、光属性の魔法陣が描かれた本も無いし、魔導具も無い。 ショータは自分の特異性を生かして光属性の魔導具を作るべきじゃ。」

「そう言われれば、そうかも知れないね。」

レイのアドバイスは俺にも納得出来た。

レイと一緒に、光属性の魔導具を考える事にした。



この世界は女性社会。

女性社会になっているのは血筋を受け継ぐ為と、女性は魔法適性が高いからと本で読んだ。しかし、何故女性の方が男性よりも魔法適性が高いのかはどの本にも書いてなかった。

「どうして女性は魔法適性が高いの?」

レイなら知っているかもしれないと思って聞いてみた。

「属性にもよるぞ。 確かに4大属性においてなら女性は圧倒的に魔法適性が高い。 しかし、聖属性では人数も適性も男の方が圧倒的に上じゃ。 闇属性では人数も適性も男女の差は無い。」

聖属性に関しては圧倒的に男性の保有者が多く、適性も高いらしい。

だから教会は男が多いのか。

「そうなんだ。」

ササヤカお神の事だから、お気に入りの美少年達に聖属性を与えるようにしたのかも知れないって思った。



「この大陸では、8歳になると皆が教会に行って属性判定をして貰う。」

「そうなの?」

俺は転生した時に10歳だったから教会には行っていない。

「だから教会は、街だけでなく、国の隅々にまで大きな影響力を持っておる。」

「田舎の村にも教会があるの?」

「教会はどこにでもある。 但し、田舎の村には属性判定を行う魔導具は無い。 年に1度近くの街から神官が判定の魔導具を持って村まで属性判定に行く事になっておる。」

「属性判定って魔導具でするんだ。」

「神が与えた魔導具と教会は説明しておるが、実は属性やスキルの鑑定に特化した魔導具じゃ。 希少素材を使っておるから普通の魔導具師には作れないが、儂は造った事がある。」

「レイは魔導具作りも凄いんだ。」

得意と聞いては居たが、属性判定の魔道具迄作れるとは思わなかった。

「恐らくは聖属性を持つ少年をいち早く見つけて教会に所属させようと、奉仕活動の一環として属性判定を行っているのであろう。」

「奉仕活動なの?」

「属性が判らねば、どの属性魔法を学べば良いかが判らぬから、誰しもが自分の属性やスキルを知りたがる。 無償の奉仕活動なので、皆が教会に感謝しておる。」

「スキルも判るの?」

「スキルは魔法と違って練習をしなくとも発動されるから、その辺に有る物を片端から握ってみたり、色々な仕事を手伝う事で8歳未満でも見つかる事が多い。」

「そうなんだ。」

そう言えば、俺はササヤカお神から剣のスキルを貰ったが、確かに剣を握った瞬間、手に馴染んだ気がした。



「聖属性だったら必ず教会に入るの?」

「男だけじゃ。 女性は神官には成れぬ。」

そう言えば神官も騎士団もみんな男だった。

「教会に入らない男の子もいるの?」

「教会の権威が大きいからまず無理じゃな。 息子を教会に入れなかったと民衆に知られて領主への暴動がおこった街も有る。」

「神官の息子は皆聖属性なの?」

「女犯は神官最大の禁忌じゃ。 女性と同衾した神官は公開処刑となる。 息子がおる筈が無い。」

神官って無茶苦茶だと思っていたが、結構厳しい所もあるんだと少し見直した。

「その分、男同士での交際は認められている。 年配の神官が太っているのは、ガリガリの年寄りは男に嫌われるからじゃ。」

前言撤回。

全然厳しい世界じゃ無かった。

「男にモテるのは、若いかマッチョかぽっちゃりじゃ。 年配になった神官は、少しでも男に好かれようと、ぽっちゃりを目指して食っちゃ寝を繰り返すから皆太っている。 魔法を使うと痩せてしまうから、高位の神官になればなるほど魔法を使う事が殆ど無くなる。」

それで枢機卿達はあんなに弱かったんだ。

ちょっと納得したけど、それって神官としてはどうなんだ?

思わず首を傾げてしまった。



「あれ?」

ふと思い出した。

治療所で一緒に働いた治療師のみんなは神官じゃ無かった。

「治療師って、聖属性なのに神官じゃ無かったよ。」

「神官は若さが失われる25歳前後で引退する者が多い。 昔は治療院を増やし、民衆の暮らしを支えることが教会の役目であるとして、治療院を開ける程度の退職金を渡して民間の治療所を作らせた。」

「今は違うの?」

「退職金の資金となる治療費の積立金を高位の神官達が着服しているから、退職金は僅かしか貰えなくなった。 退職金が少なければ、実家が裕福な神官で無いと治療院を開く資金が無い。 腕の良い治癒師は商業ギルドや鍛冶師ギルドに雇って貰えるが、腕が悪ければ教会に残る事になる。」

教会にいる下位の神官は、若手か腕の悪い年配の神官だけらしい。

大規模討伐に来ていたのは年配の神官ばかりだったので、腕の悪い神官達だったのだろう。

レイの話を聞いて、大規模討伐の時に、神官達が途中で帰ったのも頷けた。

「そうなんだ。」

レイといると、今迄知らなかった事を沢山教えて貰えるので有難い。



「聖属性の女性はどんな仕事をするの?」

「大抵は浄化による排泄後の処理じゃ。」

「お尻の浄化?」

「そうじゃ。 貴族家は数人の浄化師を雇うから、引く手あまたじゃ。 聖属性の男は神官になるし、女性の浄化師は数が少ないからな。 高位貴族家に雇われれば、結構な給金を貰える。 浄化の練度上げを頑張れば、治癒を使えるようになる事もある。 ただ女性の場合は聖属性魔法の練度が上がり難いから、上位魔法である治癒を使えるようになるのは極々稀じゃ。 女性で治癒を使えるようになれば、”便所上がり“として尊敬される。」

「”便所上がり“って見下した言葉じゃないの?」

「余程の才能と凄まじい努力無しには、女性が上位魔法である治癒を発動出来るようにはならぬ。 才能と努力への賛辞を込めた称号じゃ。」

「そ、そうなんだ。」

“便所上り”が賛辞を込めた尊称と聞いて、びっくりした。

前世に”便所コオロギ“がいたのを思い出した。

カマドウマが本当の名前で、ゴキブリの幼虫などを食べる益虫なのに、便所コオロギの名前で呼ばれ、気持ち悪い昆虫として嫌われていた。

この世界なら喜んで貰える名前なのかもしれない。

所変われば品川巻。

そう言えば最近品川巻を見ていない。

海苔が高くなったせいなのか、関西に引っ越したせいなのかは判らないけど。

あれ、俺って関東出身で関西在住なの?

判らん。

また少しだけ“俺”を取り戻したらしい。

急に海苔せんべいが食べたくなった。



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