3 あー、あー、本日は変態なり
お星様頂きました。
ありがとうございます。
これからも頑張りますので宜しくお願いします。
頼運
「回復!」「鑑定!」「回復!」「鑑定!」「回復!」「鑑定!」「回復!」「鑑定!」
魔法の練度を上げる為に、何度も魔法を使う。
ゲームでも開始直後が一番死に易い。
冒険開始直後はレベル上げが最優先事項なのはファンタジーのお約束。
頑張って魔法を連発したが、魔法名を叫びすぎて喉が痛い。
「回復。」
喉が痛いので弱弱しい声で魔法名を声に出した。
俺の体がボワッと光る。
叫ばずに、普通に発声しても魔法が発動した。
なんじゃ、それ。
さっきまで気合を入れて叫びまくったのは何だったんだ?
「あー、あー、本日は変態なり。」
声を出して見ると、喉の痛みは無くなっていた。
ふと思いつく。
”鑑定“
声を出さず、心の中だけで魔法名を唱えてみる。
“薬草”
発動した、って薬草?
何に効くのかは判らないけど、初めての薬草ゲット。
やった~!
いや、心の中で考えただけで魔法が発動した事の方が大事だろ。
この世界では詠唱無しでも魔法が使えると判った。
”回復“
スライムが消えて小さな魔石が残る。
“回復”も声に出す必要は無いらしい。
ふと思いついた。
離れた所のスライムも倒せるんじゃね?
”回復“
”回復“
”回復“
スライムを見つけては距離を変えて回復を発動する。
結論を言えば、有効射程距離は約1m。
有り体に言えば、ほぼ足元だけ。
動物型の魔獣なら即座に飛び掛かられて、食い殺される距離。
ダメじゃん。
これでは動きの遅いスライムにしか使えない。
何とかして”回復“の有効射程距離を伸ばしたい。
ひょっとしたら名前を変えたら飛ぶ?
“回復球”
“回復丸”
”回復弾“
”回復ボール“
色々と名前を変えて試してみたが、回復魔法は飛んで行かなかった。
はぁ。
名前を考えるだけで疲れた。
ふと、子供の時に母さんが言っていたおまじないを思いだした。
傷みがぴょ~んと飛んで行くおまじない。
“痛いの痛いの飛んでけぇ~”
回復の小さな球がスライムに向かって飛んだ。
2m先にいたスライムが光って消えた。
何でやねん。
じっと考えてみる。
前世で読んだファンタジー小説や、山盛り見たアニメを思い出す。
判った!
ファンタジーの定番であるご都合主義、“魔法はイメージが大事“。
回復の球が飛んで行くところをイメージする。
今飛んで行ったのを見たばかりだから、はっきりとイメージ出来る。
“えい!”
小さな光る球が飛んでスライムが消えた。
イメージさえ作れば心の中の気合だけでも発動出来る事が判った。
透明な壁が目の前にある事をイメージする。
「バリア。」
ササヤカお神が与えると言っていたから出来る筈。
何となく体の中から何かが出た感じはするものの、何も起こっていない。
ひょっとして漏らした?
股間を触ってみるが、ちびった様子は無い。
あれ?
手を伸ばすと壁のようなものに触れた。
これがバリア?
ツルツルした板。
ササヤカお神の胸よりもまっ平ら。
そう思った瞬間に背筋がゾワッとする。
ササヤカお神が何処からか見ていたらしい。
「すみません、すみません。私はドジでマヌケなすけべぇです。」
2回頭を下げ、柏手を2回打って、もう一度頭を下げる。
「申し訳ありませんでした。」
きちんと謝った。
もっとも2礼2拍手1礼の作法は前世の作法だし、平成になってから浸透したそうだからササヤカお神に通じるかは判らないけど。
天網恢恢、粗相をして漏らす。
ササヤカお神の怒りに触れてちびった経験はまだ体に染み付いている。
怒らせてはいけないのが神様という事を理解した。
両手でペタペタと見えない壁を触って大きさを確かめる。
パントマイムかい!
取りあえず2m四方くらいの壁が出来たらしい事が判った。
石ころを拾って叩いてみる。
ゴン、ゴン、ゴン、パリン!
割れた。
それでも強化ガラス並み?
そこそこの強度もあるらしい。
魔獣の攻撃を防げるかは疑問だけど。
発動さえできたら後は練習あるのみ。
練度が上がれば強度も上がる、たぶん。
“えい“、”やぁ”、“とぅ”、“えい“、”やぁ”、“とぅ”。
鑑定、回復、バリアを発動しながら草原を歩く。
少しでも早く発動する為に、魔法ごとに違う短い掛け声にした。
“えい“、”やぁ”、“とぅ”、“えい“、”やぁ”、“とぅ”。
「ぃてっ!」
草に足を取られて転んだ。
歩きながら魔法をイメージすると足元の注意が疎かになる事が判った。
”やぁ”、擦りむいた膝に回復を掛ける。
膝がボワッと光って傷が治った。
注意1秒、怪我一瞬。




