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12 男の尻が光っても幻滅するだけ

寮の食堂は朝と晩しかやっていない。

お昼はギルドの酒場で食べる。

俺が無料で食べられるのは銅貨8枚の日替わり定食だけ。

他の料理を食べる時は全額俺が払わなければならない。

当然、俺が食べるのは日替わり定食。

今日は謎肉と謎野菜の炒め物?

片端から鑑定を掛ける俺だけど、今日の料理は鑑定しない事にした。

何となく、鑑定すると食欲がなくなりそうな気がしたから。



職員寮の日替わり定食は普通だったけど、酒場の日替わり定食は見た目からして凄い。

うん、鑑定結果が恐ろしく思える程、見るからに怪しいお肉。

緑や青い肉って、本当に肉なのか?

真っ黒な葉っぱとか赤地に黄色の斑点が付いた葉っぱって食えるの?

どう見ても毒草っぽいんだけど。

周りを見ると、殆どの人が違う料理を食べている。



良く探してみたら、少し離れた所で、低ランクらしい若い冒険者2人が日替わり定食を食べていた。

暫く見ていたが、苦しがっている様子は無い。

どうやら毒物では無いらしい。

満員の酒場で日替わり定食を食べているのは、たった2人。

少し怯えながら、日替わり定食を口に運ぶ。

見かけは酷かったが、意外に上品で優しい味。

お肉にしてはくどく無なく、後味もさっぱりしていたし、葉っぱも美味しかった。

何の肉だったかは食べた後でも知りたくはならなかったけど。



午後からはポチポチと怪我人が来た。

「ショータ、怪我人よ。」

訓練場で剣を振っていたら、ズンさんに呼ばれた。

治療室に行くと、尻が血に染まった兄ちゃんと、パーティーメンバーらしい4人がいた。

治療するにはズボンも下着も脱がさなくてはならない。

男の生尻なんて見たく無い。

「イーシャさんは居ないの?」

男を診たくなかったので聞いてみた。

「イーシャさんはギルドの解体職人よ。 回復師が居ない時や骨折者が出た時だけ治療室に来て貰っているの。」

ヤブ医者はギルドの職員だった。

解体職人だけあって骨の事には詳しいから骨接ぎをしていたそうだ。

治療台の上に寝た兄ちゃんの尻に巻かれた布を外し、ズボンと下着を脱がす。

男の尻を見る趣味は無いが仕方が無い。

出来れば男の尻肉より、女性の尻肉の方が美味しいと、魔獣達に宣伝して欲しい。

女性のお尻なら残業してでも診るぞ。



男の尻を見ると右の尻肉を大きく食いちぎられ、骨が見えている。

昨夜考えたのは傷が治る順序や治癒後の形を明確にイメージする事。

傷が不要な物を押し出しながら奥から表面に向かって治って行く過程をイメージする。

傷の無い左側の尻を見ながら、右の尻の治療後の形や大きさをイメージする。

ふたつのイメージを統合して、傷の奥から順に肉が盛り上がり、左の尻と同じようになるイメージを作る。

「回復。」

男の尻がボワッと光る。


蛍の尻が光ると幻想的だが、男の尻が光っても幻滅するだけだと知った。

いつもより光っている時間が長い。

俺の体から何かが流れる感じがするので魔力を多く使っているのだろう。

光が消えた。

「「「おお~っ!」」」

付き添っていたパーティーメンバーから声が上がる。

左の尻は薄汚れて汚いが、右の尻はツルツルプルプル。

どちらも男の尻だから興味はないけど。

「凄いな、噂以上だ。」

「ああ、教会の大神官でもこうはならないぞ。」

「俺は右の尻だけ揉みたくなった。」

メンバーが勝手な事を言っていた。



回復師が常駐しているという噂が流れたらしく、夕方からはパーティーメンバーに付き添われた軽傷者が多かった。

銀貨2枚ならお試しで掛けて貰い、いざという時の為に回復師の腕前を確認しておこうという冒険者パーティーならではの考え方らしい。

回復師の腕が未熟と判断したら、重傷を負った時はすぐに教会へ運ぶ心づもり。

高い料金を取る神殿に行かなければならない怪我かどうかを判断する為と言っていた。



ギルドの治療室は、無料体験を開かなくともお客さんが来てくれるのが有り難い。

俺が持っているのは昨日貰った銀貨8枚だけ。

取りあえず替えの下着くらいは買いたいと思っている。

今日はパンツを前後ろ反対に履いている。

明日は裏表反対にすれば湿っぽさもマシな筈。

今日の治療は18人。

色々なイメージを試せたので良い練習にもなった。

重傷者が1人いたので、給金は銀貨39枚。

食費も宿泊費も無料なので全額貯めておける。

老後に備えてお金を貯めるのは大切。

無駄遣いはダメ、絶対。


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