表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

やっと届いた想い

文化祭が終わり、校内は静けさを取り戻しつつあった。すっかり片付いた教室で、俺とゆうなは二人きりで椅子に座っていた。周りの喧騒とは裏腹に、俺たちの間には穏やかな空気が流れている。


「奏汰、今日は…本当にありがとう」


ゆうなが少し照れくさそうに言った。その言葉に、俺は思わず微笑んだ。


「いや、こちらこそ。俺、ずっとゆうなに伝えたかったことがあったんだ」


ゆうなの顔が少し赤くなる。どうやら、俺の気持ちをずっと待っていたのだろうか。


「でも、俺も…まだ伝えられなかったことがあってさ」


「え? 何?」


「今日、文化祭の片付けのとき、陽翔と話してた時のこと。あのとき、少しだけ迷ってたんだ」


ゆうなは静かに聞いてくれる。


「迷ってたって?」


「俺は、ゆうなが陽翔のことを気にしてるんじゃないかって心配だった。陽翔がいい奴だから、ゆうなが彼を好きだって言われても、全然おかしくないって思ってたんだ。でも…ゆうなが俺を選んでくれたって、確信できて、今はすごく安心してる」


その言葉に、ゆうなの表情が柔らかくなる。


「奏汰、私、陽翔のことは本当に友達だよ。それ以上でも、それ以下でもない。あなたと一緒にいることで、私が一番幸せだって思ってる」


その言葉を聞いて、俺の胸の中にじんわりと温かい気持ちが広がった。ゆうなの瞳は、まっすぐに俺を見ていて、もう何も不安に感じることはなかった。


「俺も…ずっとゆうなが好きだった。何度も言おうと思ってたけど、なかなか言えなかった。でも、今なら言える。俺は、ゆうなをずっと愛してる」


その瞬間、ゆうなの顔がぱっと明るくなった。


「奏汰…私も…」


その言葉が出る前に、ゆうなは僕に近づいてきて、突然顔を寄せた。俺は驚きつつも、そのまま目を閉じると、ゆうなの柔らかな唇が自分の頬に触れた。


「ありがとう、奏汰。私もあなたが好き」


その言葉に、俺の心は完全に打たれてしまった。今まで、言葉にできなかった気持ちが、こうして繋がったんだと、実感できた。


「これからも、一緒にいてくれるか?」


「うん、ずっと…」


ゆうなは、微笑みながら答えてくれた。その笑顔を見た瞬間、俺の中で何かがはじけたような気がした。


====


夕暮れの校舎の窓から差し込む柔らかな光が、二人の周りを包み込む。もう、何も怖くはない。どんな困難が訪れても、俺たちは一緒に乗り越えていけると信じている。


「そういえば、まひるにはちゃんと報告しなきゃな」


俺がふとそんなことを口にすると、ゆうなはクスクスと笑いながら答えた。


「うん、まひるはきっとすごく喜ぶよ」


「まひる、あの調子だからな。でも、いつも助けてくれてありがとうな」


「まひる、きっといろいろ考えてくれてたんだろうね」


ゆうなが真剣にそう言うと、俺も思わず頷いた。確かに、まひるは物事の本質を見抜くのが得意で、俺たちが迷っている時も、いつも上手く導いてくれていた。


「まひる、どうしてもお前のことが気になるって言ってたけど、今となっては…本当にありがとうって思ってる」


俺がそう言うと、ゆうなは頷きながら「まひるも、ちゃんと幸せにならないとね」と微笑んだ。


====


放課後、校庭にはほかの生徒たちがちらほらと帰り支度をしている。その中で、まひるが俺たちの元に歩いてきた。


「おお! お前ら、ちゃんと報告する気になったか!」


まひるは腕を組みながら、ニヤリと笑っている。その顔を見た瞬間、俺はまた少し恥ずかしくなったが、同時に嬉しさがこみ上げてきた。


「まひる、ありがとうな。おかげで気持ちを伝えることができたよ」


「それは良かった! 私もやりがいがあったってもんだな!」


まひるは、少し照れた様子で俺たちに向けて親指を立てる。


「でも、これはまだ始まりだぞ。私たち、これからもっと素敵な思い出を作っていこうな!」


その言葉に、俺たちは思わず顔を見合わせて笑った。


「うん、これからもよろしくな、まひる」


「もちろん! 俺も、二人の幸せを見守ってるから!」


その後、三人でしばらく話していると、夕日の光が校舎をオレンジ色に染めていた。その温かな光の中で、俺たちはまだまだ続く高校生活の一歩を踏み出したのだ。


====


そして、数日後。俺たちはお互いの気持ちを確かめ合い、さらに絆を深めていった。陽翔とのことも解決し、まひるが言った通り、僕たちにはまだ多くの冒険が待っていた。


これから先、どんな困難があっても、俺は絶対にゆうなを守りたい。二人で一緒に乗り越えていけると、今なら確信している。


「ねえ、奏汰」


「何?」


「これから、ずっと一緒にいてくれる?」


「うん、もちろん」


俺たちは手を繋いで歩きながら、未来を一緒に描いていくのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ