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(結)

1週間、お付き合いいただきありがとうございました!

「・・・」


静寂を取り戻した荒野で、周囲に他の脅威が無いことを確認すると、クロウは三人と合流すべく再びフローターに跨った。


使い損ねた罠だけ回収したら街に戻るつもりだったのだが、落下途中の女が「こっちに来い」と斧を振り回していたからだ。


「よォ。コッチだ、コッチ!さっきは、アリガトォな?」

「・・・あ、ああ。あんたも、すげえ戦いぶりだったな」


何を言われるのかと少しばかり危惧したが、のっけから礼を言われると、逆になんとなく肩透かしを食ったような気分になる。


戦場跡では、パワーアーマーが鋸歯の大剣でルフを解体し、魔法士が肉にしたそれをフォージに向けて飛ばす準備で大わらわだ。

女は、二人をよそに一人バイクの上で傷の手当をしていた。流石に無傷では済まなかったらしい。


「でゃハハハ!それほどだろう??そうそう、あーしはサラ。アンタは??」


包帯をギザギザの歯で噛み千切りながら、テンション高く女がそう名乗った。


遠目の煙越しでは分からなかったが、その肌はところどころが竜鱗で覆われている。瞳の虹彩も独特だ。

その特徴から、彼女が竜人族ドラゴニュートの血を引くことが伺えた。どおりで頑丈なはずだった。


「・・・クロウだ。ええと、よろしく?」

「なんでギモン形なんだヨォ?!ドーモンだろ?仲良くヤろうゼ、ヨロシクぅ!」


バンバンと、サラがクロウの肩といい背中といい闇雲に叩く。

豪快なのは、戦いぶりだけではないらしい。

ただ、


「いてっ!ちょ、ちょっと待ってくれ!ドーモン・・・同門だって?」と思わずクロウは訊き返した。


「あん?師匠のデシならそーだろうヨォ??」


サラがぽかんとして浮かべたはてなという表情に、


「あ・・・いや。うん。まあ。そうだ!弟子のようなもんだ、うん!」

「ヤッッパリ!そおうだよなァ!!」


クロウは一瞬だけ説明を考えて、すぐに諦めた。


バルクも、もしかしたら説明に窮したのかもしれない。今朝の様子からすると、ノリでそう伝えた可能性も大いに考えられるが・・・。


ともあれ、サラは満足した様子で、笑いながら何やら盛んに話し掛けてくる。

興味を持ってくれているのは分かるが、答えにくいことが多い。

よく知らない相手に、安易に手札を晒すことは避けたかった。旅人の倣いだ。


「それじゃ・・・姉弟子に挨拶も出来たことだし、俺は先に戻るよ。あっちの二人にもよろしく」


そのため返事もそこそこに、そそくさとクロウはその場を離れようと暇を告げた。


「えーー!肉パーティは、参加しないのかァ?!」

「に、肉パーティ?!」


信じられないという顔で、サラに肩を揺さぶられ、クロウはその勢いに呑みこまれた。


彼女がいうには、大きな狩りを終えるとそれを行うのだという。

結局、やいのやいのと半ば押し切られるような形で、気付いたときには、彼は肉パーティとやらに参加することに決まっていた。


空が夕闇に変わる頃、いよいよ肉パーティは始まった。


どうも何らかの儀式めいていたが、他人と同じ火を囲んで食う飯は、控えめに言って美味い。旅の空では孤独な食事を摂ることがほとんどだったから尚更だ。


その席でクロウは、魔法士であるバーティとパワーアーマーのルントとも知己を得る。

また、サラの人となりも把握でき、自身の技能や魔導具などの手の内もある程度まで明かす気になった。


炎に照らされながら、輪になって互いの話をするというのは、彼にとって初めての経験だった。


やがて宴も酣になり、


「なら今度は、ハナから四人でヤってみようゼェエ?!」


とサラが気炎を上げた。

近い内に狩猟なり遺跡探索なりに行こうという話だ。


トリッキーではあるが、ルフ相手に正面切って大立ち回りが出来るほど腕が立ち、しかも気さくで気の良い連中だ。

それもバルクとエヴリンの肝入り。断る理由はない。


「もちろんだ、よろしく」


むしろ願ってもない話だった。

二人にも、改めて礼を言わねばなるまい。


こうしてクロウは、機工都市フォージでの生活の一歩を踏み出したのであった。

面白かったら、高評価、感想などいただけると大変嬉しいです!(言うだけタダですものね!笑)


一旦、ここで完結です!

重ね重ね、ここまでお読みいただき、また評価やいいね等してくださり、ありがとうございました!

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