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全10,000字ちょっとの習作です。

よかったら、1週間お付き合いくださいませ。

「そんな予感はしたけどよ!」


巨大なルフと三人が既に戦闘状態にあると遠目から分かり、クロウは嘆息した。

目立った傷も、動きを阻む罠も施していないところをみると、真正面からぶつかったに違いない。


クロウが狩るならば、馬鹿正直に突撃したりはしない。

獲物を仕留めるまでの工程を詰めなければ、とてもじゃないがルフなど相手にしたくなかった。

実際、


- この状況じゃ、罠の起動はむしろ危ねえか・・・。


彼は昨日、この周辺の地形確認方々、機械式拘束鉤爪罠ワイヤー・クローを三つばかりも地中に仕込んでいたのだ。


仮に罠を駆使したとて魔鳥は嘴だけで人一人分ほどもある。

少しの釦の掛け違いで事故が起きようというものなのに、眼前の光景は完全に慮外だった。


「クソ、とんでもねえ連中だ」


思わず愚痴が口を衝きつつも、クロウはバルクに借りた魔導浮揚艇マギア・フローターを音も無く滑空させた。

オーラ・ライフルの有効射程まで近付かなければ援護も何もない。


オーラ・ライフルは、その名の通り生命力を吸い出して瞬間的に放射する魔導具だ。だが、生命力を弾丸として射出するというよりは、穂先にして伸ばすイメージのため、実態は小銃ではなく剣槍だ。

したがって、射程距離も火薬式小銃というより空圧式のそれに近く、しかも使用者の錬氣能力によって威力が大きく左右される。


とはいえ、単なる火薬式小銃程度では、強力な魔物が生来有する魔法的な護りを破ることができず、有効打を与えられない。

そのため、いつしか旅人が担ぐライフルといえば専らオーラ・ライフルを指すようになったのだ。


援護射撃の狙撃点に目星をつけると、クロウは戦闘を観察し始めた。


魔法士が空中でルフと相対しつつ、牽制に熱水の魔法弾を幾つも放ち、斧女が大鎧を踏み台に跳び上がって攻撃というのが、一連の流れだ。

熱水弾はかなり強力な魔法が込められているらしく蒸気が噴き上がるほどの威力だが、ルフの風の護りにいなされて突破するには至らない。

それでもルフとて無視出来るような軽さではなく、魔法士の的確な位置取りと相俟って行動を大きく制限されている。

結果、斧女の一撃を寸でのところで回避するよう、立ち回らざるを得なくなっていた。


一方でルフから斧女への反撃は、大鎧がすかさず盾を構えることで上手くカバーしている。

魔鳥の意気軒昂な様子から決定打にはまだ遠そうだが、はっきり言って決着するのは時間の問題だ。見事な連携だった。


- そうは言っても、仕事だからな。


左眼で照準を合わせると、彼は、ルフが魔法士への対応を取った直後に右指で引き金を引いた。

即座に、ドシュウというやや迫力に欠ける音とともに、薄緑の光跡が魔鳥の頭部を掠めて灼いた。すると、


「ッッ?!くるるるらるるッ!!」


想定外の痛撃だったらしく、想定通りにルフが彼の方に向き直った。

その瞬間、


「ッ!ひゃハッ!もらッだァラァアア!!」


すかさず飛び上がった斧女が、汗と涎を撒き散らしながら、猿叫とともにルフの首元に斧を叩き付けた。


「っぎゃっぴぅうっ?!」


ぐらり、と空中で傾ぐルフ。そこに、


「そォォオら、も゛ウいッぢょォらおァァァ!」


と、一本目に重なるように二本目の斧が叩き付けられる。


すると次の瞬間、斧二本の交叉点から連鎖的に爆発が発生し、ルフは首から上を吹き飛ばされて絶命した。


どぉぉおんと地響きを上げて墜落した胴が、反射運動で羽根をバタバタさせて暴れ回る。


「なんだよあれ・・・。めちゃくちゃじゃねえか」


空中の爆風からは、爆発に巻き込まれた女が斧とともになぜかピンピンして飛び出すのが見えた。

煙に紛れてまともに見えないが、コックコートが吹き飛びあられもない格好だ。


そうなることを見越していたように、落下点では、パワーアーマーがマントの用意を済ませていた。

面白かったら、高評価、感想などいただけると大変嬉しいです!(言うだけタダですものね!笑)


いつの間にか、評価といいねもいただけていてありがとうございます!とても、非常に嬉しいです!!(7/29追記)

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