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全10,000字ちょっとの習作です。

よかったら、1週間お付き合いくださいませ。

明くる朝、指定の時間より少し前にクロウが完全装備で酒場にやって来ると、そこにはバルクとエヴリンが既に待っていた。

エヴリンは、夜のような露出の多い服ではなく、丈が長く薄手の黄色いワンピースを身に着けている。


「おはよう。まさかエヴリンも行くのかい?」

「おはよう、クロウ。ううん、まさかね。見送りだけしようと思って。昔馴染みとあなたの組み合わせだし」


「それに、わたしの家はココだしね?」とエヴリンがふわりと笑った。


- 化粧が違うせいか、なんとなく印象も違うよな。女の雰囲気てのはよく分からんぜ。


とガスマスクの奥でクロウは思う。ただ、そのことを口にするでもなく「それもそうか」と曖昧に頷くと、


「で、バルク。俺は本当に牽制程度しか出来ないからな?」


オーラ・ ライフルを担ぎ直しながら念押しした。大事なことだった。


「ったく、分かっておるて。お、来たようだな」


クロウの不安などどこ吹く風のバルクの視線を追うと、ドルルルッという重低音とともに大型の蒸気二輪スチーム・バイクがやって来て、ギュルギュリとドリフトしながら彼らの目の前で停車した。


「おいおい、派手な登場だな・・・」

「げほっがっはっは!勢いがあって良かろう?」

「ごほっごほっ・・・もう、相変わらず乱暴ね!」


三者三様の反応を他所に、黒い煙を吐くバイクからは二人が降り立った。


運転していたのは、大きな遮光ゴーグルを掛けた、赤髪をポニーテールにした細身の女だ。

彼女は、戦闘用とは思えないコックコートに身を包み、鎖で繋がれた二本一対の大斧を担いでいる。


後部に居たもう一人は、空色の強化外骨格パワーアーマーを着込んでいて、縦も横も巨大だ。パワーアーマーと同じ誂の甲羅のような大盾を背負っている。

バイクもまた、パワーアーマーに合わせたサイズで、それを操る女の剛腕ぶりが覗えた。


「で、もう一人は?」とクロウが呟くや「ここにいるぞぉ!」という威勢の良い声とともに、地中から男が現れた。

パンクな虹色のモヒカンに、道化師のような化粧を施しているということを除けば、如何にも魔法士といった出で立ちだ。


「・・・」


三人のアクの強さにクロウが絶句していると、


「「師匠、おはようございまァすッ!!」」

「よく来た!先だって伝えたとおり、今日、貴様らにはルフを狩ってもらう!」

「「ハッ!!」」

「十分な鍛錬は積んだはずだ、成果を見せぃ!」

「「サー、イエッサー!!」」

「うむ、意気やよし!さぁ、ゆけぃ!」

「「やるぞやるぞやるぞ!ゥオーッッ!!」」


と彼とエヴリンを置いてけぼりにして盛り上がり、なんと三人はそのまま出発してしまった。


「どうした、お前さんも早く行かんか!」とバルクが肩を叩いた。

だが、クロウは、彼らと行くのが俄然億劫になっていた。


「・・・」


エヴリンが気の毒そうに「・・・あの・・・ねえ、頑張ってね?」と呟くのをどこか遠くに聞きながら、彼は暫し呆然と立ち尽くしたのであった。

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