プロローグ
少し昔話をしよう。君が生まれるよりもずっと昔の事だ。あの頃、私には何が起こったのか、何でこんな事になっていたのかが理解できなかった。
あの日の事は忘れもしない。いや、忘れたくても忘れられない記憶と言った方が正しいか。今も脳裏をあの光景で焼き尽くされる時がある。あの悪魔のような日々を戦い、多くの戦友を失った。血と汗と涙が渦巻いていたあの戦場での日々を、私は忘れたことは無い。
生きているうちに様々な体験をするのが人間だが、私の生きていた時代の出来事はどうも不可解に思える。
無先例な技術力に形、そして格好。今では当たり前のように思えるだろうか、当時の人類にはまだ、全てが早すぎたようだった。
あの時ほど、死という概念が身近に迫った時期はないだろう。ましてや、今のように平和な世の中ならば尚更、想像することは不可能に近いだろうな。
煽るな、今想像してるんだから?ははは、無理に想像はしなくていい。
折角来てくれたんだ、話そう。前置きが長くなってしまったな。
あの戦いを掻い潜って、この国は平和になった。──ただ、ひとつ言えることがあるとするならば、あの時は敵味方問わず、誰もが必死に戦っていたということだ。