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第001話 想起

「失礼します。先生、いまいいですか?」

 俺は採点の手を止めて顔を上げる。

「どうした?」

「どうしてもわからない用語があって……」

「見せてみて」

 生徒が楽譜を手に職員室に入ってくる。

「ここです。聞いたことなくて」

「あぁ、Appassionatoか……これは……」

 そう呟くと同時に窓からふと懐かしい匂いが入ってきた。そうか、もうそんな季節か。

「先生?」

「あ、ごめんごめん。これはな……」


「ありがとうございました!」

「あ、そうだ。合奏は4時からって伝えておいて。採点終わったら行くから」

「はい!」

 生徒は大きな声で返事をして扉を閉めて出て行った。静かになった職員室。ふぅ、とため息を漏らす。

 あれからもう5年も経つ。あの時入ろうかどうしようか迷った楽団で俺は今、あの人の帰りを待ちながら今も奏者として活動を続けている。

「どうしてるのかな……」

 懐かしさと切なさでちょっと胸が苦しくなる。本当に、どうしているんだろう。


 フワッと風に乗って窓のすぐそばにある桜の木から、花びらが舞ってきた。


「奏太さん……」

 5年前。俺は――。




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