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ZEROミッシングリンクⅦ【7】ZERO MISSING LINK 7  作者: タイニ
第五十五章 聖獣は目覚める
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4 東の狼は青龍を呼び起こす


この話の図解が後書きに紹介されています。





「でもおじさん、先の話だけど、ならなんでアンタレスは青いんだろ?

政治の中枢フォーマルハウトが青なら、対する経済都市アンタレスは赤じゃないの?」


楽しくなってきたファクトは、おじさんに何でも聞いてみる。これは、話を東アジア規模にまで持って来た時の場合だ。



だいたい経済が発展するのは自由都市だ。

あまりよく分かっていない人が多いが、プロテスタントである新教思想が自由民主主義国家を築いたのだ。彼らが居なければ、おそらく世界は支配主義の域を出ることはなかったであろう。彼らが初めて真の平等と真の人間の価値を提唱したのだ。帝国主義は残るがそれでも天道の民主主義が立つ。


天において、人の価値は皆同じだと。



そして自由主義には向かったが、それは所々に神を置き忘れた人間主義となった。


ただの自由主義は左に傾向する可能性を秘め、攻撃や暴力に移行し本当の自由はない。けれど新教の自由はまさに自由なので、リベラルもその袖振りの幅が広い中で自由に振舞い発展するのだ。

ゆえにアンタレスは左傾向も強い。



東アジアの政治中枢は東方にあるフォーマルハウト。

北西に経済都市アンタレス、エンタメ都市は東方南のデイスターズになる。他にも経済都市が数ヶ所あるが有名なのが三都市だ。正確にはここに、工業都市のサイザースを入れて四都市が最も大きな東アジアを象徴する都市だ。そして、次点の都市がいくつか続く。


「柱は4点以上ないとダメなんだ。机も家も4点以上で支えるだろ。」

「……。」

三本柱の机を思い浮かばれば、不安になるのも分かる。


「西洋の最端が青だと、東洋の最端が赤になる。だから西洋は霊性において一神教の霊性主義で、東洋は人間を物質より下げる神頼みの赤だろ。

でも、なぜか万象や物質の実際的価値観おいては西洋は『物質主義の赤』で、東洋は『精神主義の青』になるんだ。これは聖典信仰の神観を理解していないと分からない話なんだけどね。要点を得ているのは実は『天』の西洋なんだが、『地』における感性は東が持っているんだ。」


「それは分かる!おもしろいよね。」



かつて東洋文明がたどり着けなかったもの。それは『唯一なる神』『親なる愛の神』であった。


全てを司る神を見付けられず、資本にまみれた西洋を反面教師のにするように、肉の全てを削ぎ落したのだ。


しかし、落とし処に『神』を見付けられない。



肉身を手放すほどの修練をしても、仏に行き着いても、『愛』を見付けられない。神聖なるものは全て奉る、敬う、敬拝するものであって、自分を抱きしめてくれる『絶対的な親』ではなかった。


歴史に託された『天国の鍵』を握ったままの、西と一つにならなければならなかったからだ。

お互いの過不足を覆い合いながら。




「じゃあ、デイスターズが赤で…アンタレス中枢はどうにか保守を保ってるだろ?でも東アジアの中枢フォーマルハウトが青だとしたら…アンタレスはリベラルも強いから……。あー分からない!」

いろいろ考えているファクトの話をおじさんはじっと聞く。


「…あ!だから双竜がアンタレスで出会ったのか!」

「…!」

「アンタレスって『赤星』だし。」


またすごい結論だな……とおじさんは思うが、無法地帯だったアンタレスのスラム河漢に赤龍が入ったのだ。まさにその通りだ。

「まあそうだろうね。それに、左に寄り過ぎた場所は、右左の観点からは赤になるんだ。」

「…なんかスッキリした。」


さらにまた考える。

「それで、大房と河漢で、双方の龍が交差したのかな?」

「ここで大房が出てくるの?」

「ここしかないっしょ!」

ファクトはホログラムに出された地図のな中の、アンタレスと河漢をねじって二つを融合させる。


「サルガスのひーじいちゃんの世代に。さらにそんで、その後に今度は大房が左傾の赤になってしまったから、寝ていた龍が起き出して、今、また双竜が交わる……。」

「寝ていた龍?」

「もともと大房は大企業はないけれど商売人も多かったから、サルガス曽じいちゃんの時代は青だろ?その龍が起きたんだよ。」

基本、企業家は自由経済を望むので青になる。

「なんで起きたんだろ……。」


大房の街はサルガスの曽じいさんの代を一代目と考えて、息子と孫の代を赤に取られたから、功績を残したその上の世代の霊性が黙々と二代分の準備をして曽孫に落とし込めたのではないかと思う。霊世界も地下活動をするのだ。


つまり、政治も経済も国民感情も、赤が青の中を混乱させかき混ぜる運動を何代もしてきたので、今度は青が霊性界から全てをひっくり返しに来たのだ。



「ロマンスもあるし……」

ウエスト・何とか・ストーリーが展開されてしまったし……。それは何か起きるしかない。

生まれ変わっても~、とはいかないが、ある意味転生や生まれ変わった子孫たちである。でも他にもある気がする。何だろうとファクトは考える。



そして、どこかで走っていた、雪山の狼を思い出す。



「あ、……そうか!!東から青い狼が、青龍を起こしに来たんだよ!」

「青い狼?」

「銀の狼とも言うけれど、青とも言う。」

「それ誰?」


狼を何度も見た気がする。


「………知らない。誰だろうね?」

思い出せない。



「ファクト君、おもしろいね。ウチの姪っ子とか姪甥の子供と結婚する?」

「……しません。30くらいまでは自由に生きたいです…。」

「まあ、人生思い通りにはいかないからね~。ポラリス博士にも毎回いい子がいるんだと言っているんだよ~。」

「………。」

フォーチュンズはニューロス研究や義体使用者の研究や施術に多額に投資や寄付などしている。そのため、年数人被験も含めて、グループに関わる人間の施術などを提携している病院と共にSR社が受け持ってくれるのだ。フォーチュンズからはここ数年大型の施術はなかったので、各経営陣からもOKが出てロディアにそのチャンスが回ってきたのだ。しかも、ファクトの親友たちもカーティンさんにお世話になっているからと、ロディアの義体はポラリスが担当をしてくれた。



「ふふふ。お父様とも仲良くなったし…。」

うれしそうな婚活おじさん。

「おじさん。でさ、西アジアはここが赤で蛍惑が青?蛍惑はすごく青っぽかったけど。」

蛍惑は響の故郷だ。

「まあ、蛍惑は保守の保守地盤だから……青だろうな……。東邦の仏教が流れているし。蛍惑では精神性が表れて青になる。けれど、あそこは男の国だ。」

かつて僧兵たちが活躍した国だ。

「……難しいね。」


「視点で変わるからね。

大陸の端は女が支配するんだ。だから西洋の島国には女王が生まれて、東洋の島国の神も女性だっただろ?古典の神ってだいたいその当時の権力者なんだけどね。」


「おお!それは分かる!」

「それで、蛍惑はちょっと男尊文化があるが、それでも女性は守られてきただろ。女性が満たされた場所から、突出した女性が表れるんだ。」


「へ?それはよく分かりません。」

「努力や苦労からも技は生まれるが、満たされたところからは感謝が産まれるんだ。曇りのない、澄んだ力。一気に神の精神性を透過できる心や力。」

「………」

何かが思い浮かぶが、思い出せないファクト。



女性が満たされたところからは、突出した力が生まれる………。

ただし、それは何千年や、何代もの積み重ねだ。奇跡は見えない積み重ねの結果だ。



「貯めた物をそこに出力できる」という言い方もできる。どんなに素晴らしいものがあっても、外に出せなければそこはPCの中の絵に過ぎない。


そこに、天の理想を出力できるケーブルとプリンターとインクと出力先ができたのだ。




「でも、おもしろいな。

西アジア内陸の守り神は赤なんだよ。中間も女性が仕切っている。」

「守り神?」


「実際は人なんだけどね。そうも言われていて、残念ながら遊牧や商行をしている者たちのうちでも、一部しか知らないんだ。朱と書いて『(あか)』という女性が、アジアラインのあちこちを連結していたらしい。名前が赤なんだな。」


「らしいって、おじさんでも知らないの?」

「……いやいや。裏の世界は祖母の代で洗っているから…。」

「でも、その人はフォーチュンズクラスでも話が入らないんだ…。富豪ってそういうの網羅しているのかと……。」

「北メンカルのタイイー議長でも連絡が付かないくらいだからな……。」

実際、カーティンおじさんの元にはいろいろ情報は入る。『朱』の情報も入ってはいるが、正体まではつかめていない。


「ふーん。」

まあ、本当に知っている重要事項など、自分には教えないだろうと思いながらファクトは聞いている。『赤』という人は、幻みたいな話だから自分にも話してくれるのだろう。



「でも、内陸で赤なら男じゃないの?」

「それは大きな枠組みの話だよ。どこに観点を置くかで位置が変わるって言っただろ。だいたい全てのものに両性があるからね。それに、


男が戦いの時代で平和に終結させられないと時代が待ちきれなくて、女性が台頭する時代になるんだ。」



これもどこかで聞いた話だとファクトは思う。ベガスに来た初期………

「女を青と考えれば、内陸に女性がいるなら赤でなく青になるはずだけど………。セイガ大陸全体で考えると、両端が青になるために中央に赤が来たのかな…。」

「ファクト君、どういうこと?」


「一時期東洋は端から端まで真っ赤になりそうでしたよね。大きな戦争があって…。でもどうにか青になったから、………真ん中に赤を持ってきたとか………。そうしたら安定します。」

「…なるほど…。」

おじさん、少し混乱するが、熱中して地図を出して見ながら話を進めるので、なんとなくは分かる。

「まあ、全体が女性の時代になるから、良くも悪くも女が台頭する時代になるんだな。男もそうだっただろ?悪くても男が台頭する時代があったように。」


「……あ、『朱』の話は内緒ね。なんかファクト君には話しちゃった。」

「…はい。」




そして少し気分を変える。


「あの辺危ないんだけど、私も子供の頃よく探検に行ってね。」

また夜景を見ながら一か所を指しおじさんが話し出した。


「…それで知らないおじさんたちに掴まって殺されるんじゃないって思ったこともあったけれど、なぜか饅頭の詰め合わせを貰って大通りまで帰してもらったよ。そういうことが10回くらいあったかな。

で、大人になって覚えている人がいて、そこにも店を出して商売始めたら想像以上に儲かったから、お水のお姉さんが足を洗えたんだよね。クセでやめられない人もいたんだけど、こっちの方が儲かるから楽しくてやめれたって。」


「………」

危ないのに懲りないおじさんだな…とファクトは思った。





イラストデイズより図解

▼「ZEROミッシングリンク設定集」イラストデイズより

https://illust.daysneo.com/works/58e24d1b02f33c9223b34f9771ddf1f4.html

曼荼羅を描くの詳細ページ。

https://img-illust.daysneo.com/work/i_24039a9debcb4ab0c801049858dad04d25b7.jpg



NOVELDAYSさん掲載

▼『聖書からも読み解く、ZEROミッシングリンクの世界観解説チャット』

第7コマ まず聖書って何さ。大陸の対称性

https://novel.daysneo.com/works/episode/8eea77471b0cf3e46c7c7caec9843efd.html



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