四天王
私たちは、ゆっくりと空を流れる雲を見ていました。
雲一つない快晴です。
穏やかに過ごすにはとてもいい日だと思います。
魔王城の目の前じゃなければ。
そもそも雲一つない快晴なのはなぜなのでしょうか。
本来空を覆っているはずの、魔法障壁がないのはなぜなのでしょうか。
なぜなのでしょう……。
はい。私がソニックブームというよくわからない力をまとって激突したからです。
でもなぜ魔王城の前でゆったり継名はしているのでしょうか。
てっきり速攻乗り込んでいくものだと思っていました。
「継名、まだ魔王城入らないんですか」
私は疑問を口にします。
「アポなしできたから、準備とかあるだろう」
意外な答えでした。
「そういうのは、気にするんですね」
感性がずれすぎていて、何考えているのかさっぱりです。
継名はゆっくりそびえ立つ魔王城を眺めています。
「それにしても音沙汰ないな」
「そうですね」
「魔法障壁破ったのきづいてないのか」
「さすがにそれはないと思います」
魔王軍の総力をあげて展開している魔法障壁です。
たぶん城壁付近の軍隊は混乱していることでしょう。
「準備に時間かかるからお待ちくださいぐらい、言いに来てもいいと思うが。もう待てないし、入るか」
継名はゆったりと立ち上がると扉に手をかける。
ガチンと音がして扉が開きます。
「なにしたんですか」
「風で内側の錠を外した。壊すわけにはいかないだろ」
風の扱いが自由自在すぎて、念動力とかわりません。
扉があくと、なにもない空間をシュパンと刀を一振りして入っていきます。
「邪魔するぞ」
「え、もう来た!?」
驚きの声が聞こえてきました。
「なんだ、ちゃんといるじゃないか」
入ってすぐのところに、緑色の髪をした女の子がいました。
私たちが入ってくると動揺しています。
「想定よりは、早い。だけど、城の守りを破るのに、一時間は手間取ったようね」
「手間どった?」
一時間ぼんやり空を眺めて暇つぶししてただけです。
継名は、あけるのに一秒もかかりませんでした。
「門にも魔法障壁があったでしょう」
魔族が聞いてきます。
「門にか?」
継名が聞き返します。
あんまり覚えていないようです。
多分無意識に切ってましたね。
普通の人が、鍵を開けたり閉めたりしたかどうか、あんまり覚えていないとかそんな感じです。
「そんなことより、魔王はどこだ?」
「そう簡単に魔王様に会えると思わないことね」
「いや、魔王のところに連れていけ言ってるんだが」
二人の会話は、まるでかみ合いません。
はあ。
とりあえずステータスでも見ていましょう。
ネメイア レベル552
種族 アルラウネ
属性 木
スキル 溶解毒液
レベル552!?
かなりの高レベルです。
よく考えれば、魔王城にいる女の子が普通の女の子のはずありません。
「目の前の女の子は毒液を使いますよ」
「お前はステータスじゃないとわからないのか? 相手をよく見ろ。どう見ても植物系だし、汗腺の形状が普通の奴と違うだろう」
汗腺の形状? よく見ろと言われてもそんなのどうやって見ればいいのでしょうか。
私は継名のスキルを確認してみる。
スキル詳細
・顕微千里眼(どんな小さいものでも見通せる瞳、元素まで見ることができる)
また変なスキルに変化してるじゃないですか。
「元素って何ですか?」
「物を構成する極小の単位だろ。なんで今そんなこと聞いてくるんだ?」
ステータス見なくても異様に分析能力高いのはそのスキルのおかげですか。
そういえば、継名は空気の組成がどうとか言っていました。
あの時列挙していたのは、元素の名前だったのでしょう。
「ちょっとあたしを無視してはなししないでよ」
魔王軍の幹部だと思われる女の子は怒りが頂点に達しそうです。
「私は、魔王軍四天王のネメイアよ」
「なんだ自己紹介できるのか、俺は神にして妖怪天狗の天満継名。よろしくな」
継名は自己紹介されて少し気をよくしたが、どう見てもそんなフレンドリーな関係を築こうとしているわけではなさそうです。
「自己紹介がしたいんじゃなくて、四天王よ、怖れおののきなさいよ。というか神!? 神は下界には降りてこないんじゃなかったの。無能の腰抜けだって聞いてたのに」
その神は私のことですよね。
ひどい言われようです。
「イミュー四天王って、恐れなきゃいかんのか?」
「魔王軍でも数少ないレベル500越えの猛者です」
「またレベルか。マックスはいくつなんだ?」
「1000ですね」
「じゃあ、半人前ってことだな」
何ですかその計算。
レベルマックスで一人前って意味じゃないです。
「馬鹿にしやがって、殺すわよ」
わかりやすくネメイアは憤慨しています。
「おい。小娘。だいたい戦う気なら、敵に戦力教えてどうするんだ。馬鹿なのか。お前みたいな、アホがあと3人もいるのか。」
「小娘ってなによ! これでも50年生きてるのに」
「50年がなんだってんだ。俺の隣には千年時間無駄にしたやつがいるのに」
あのー相手をディスりながら、ついでに私もディスるのやめてもらいたいです。
「おい。こっちは丸一日に人の氏子を誘拐して、勝手に奴隷になって、突然あほみたいに食いまくって太ってダイエットできずに泣きわめいて、あほなことばっかり言ってるやつの相手させられて疲れてるんだぞ。勘弁してほしい」
本当ですよ。
そんな馬鹿なことばっかりやってるやつは。
相手するの疲れるに決まっています……。
……。
はい。私のことですね。
継名の主観が多分に入っていますが、
誘拐して、勝手に奴隷になって突然食いまくって太ってダイエットできずに泣きわめいたのは事実です。
私はどれだけ恥さらしてるんでしょうか。
穴があったら入りたいです。
「私は、鑑定眼だって使えるんだから、あんたがレベル1なのは、お見通しなんだから」
……。
私だって、それなりに学んでいってるんです。
魔王城に乗り込んできている時点でレベルが1なわけないです。
ということは、相手が見た目より弱いのではなく、疑うべきはステータス表示が誤作動しているのではないかということ。
今まで一度もステータス表示が狂ったことがないからといって、今後もそうだとは限らないということです。
ここは、継名の被害者の先輩として、神として、しっかりアドバイスをしておきましょう。
「ほら、そこのあなた、継名に攻撃するのはやめた方がいいとおもいます」
私はちらりと継名を見ました。
継名はもう腕を組んでいて、説教モード。
私の時のように刀を抜いているわけではありません。
私の時は明確に敵だと認識していましたが、今はまだネメイアのことを子供が泣きわめいているぐらいにとらえているのではないでしょうか。
継名に殺意がないのは、私と違い、恨みとかはなにもないからだと思います。
まだ誠心誠意こころを込めて謝れば間に合います。
「どこの誰だか知らないけど、あなたもあたしをバカにするのね」
どこの誰かって、この世界を作った神なのですが。
私のことはステータス表示されているのですから、ちゃんと見てほしいです。
鑑定眼は同時に二人見れないので、どうみても強い継名から見ているのだと思いますが……。
「ふたりとも仲良く死になさい。私の最強の毒を浴びてね!」
巨大な紫の液体がネメイアの全身からあふれ出て、水風船のようにネメイアの上空に膨れ上がります。
そんな量の毒液かわせるはずありません。
津波のように押し寄せてきます。
「風属性に対して、そんな全然制御できていない液体で攻めるとか、なに考えているんだ」
継名の手にはいつの間にか羽団扇が握られておりました。
団扇で一振りすると毒の液体を風でからめ取ります。
「濃縮」
継名は団扇を持っていない方の手を握りしめます。
綿飴状になった毒液から、きれいな水が流れ出ます。
「返すぞ」
継名が団扇をふるとさらに禍々しい色に変色した毒液は渦潮のように魔族をとり囲み。
縄のように締め上げます。
「きゃあああ」
ネメイアは悲鳴をあげます。
悶絶していますが、逃げ場がありません。
完全に拷問です。
「さあ、いくか」
「え、あれ、そのままでいいの」
「十倍濃縮とはいえ、自分の毒なんだから、死にはしないだろ」
継名的には手加減しているのでしょう。
実際死んだりはしていません。
継名がネメイアを放置したまま進もうとすると、次は巨体の魔族の男が現れました。
上半身は服を着ておらず、筋骨隆々の赤黒い肌がむきだしです。
「よし今度こそ魔王のところに連れていけ」
継名は命令しました。
ネメイアのときより威圧的です。
「そう簡単に魔王様のところに行けると思わないことだな」
デジャブを感じました。
継名もイライラしてきています。
「はっ? お前は、あそこで苦しんでいる自分の仲間を見て何とも思わないのか?」
継名はネメイアを指さします。肌は変色し、目もうつろです。
かわいそうなほど、衰弱しています。
「奴は四天王のなかで最弱」
今は確実にそうでしょう。
「いや、どう見てもお前の方が弱そうだぞ。なにも能力なさそうじゃないか、イミュー、ステータスみてみろ」
「継名もステータス使うんですね」
「魔力測定器としては優秀だしな。俺も目の前の奴何も解析できなかったから一応な」
スキル
・なし
わかりやすくなにもありませんでした。
「はい。何もありません」
目の前の魔族は、ふっふっふと笑います。
「そう、この俺にはスキルがない。だがこの鍛え上げた体がある。そしてこの巨体でありながら恐ろしいほどのスピードが出せるのだ。単純なフィジカルこそが最強の証。わがスピードについてこれるかな。スピード勝負だ!」
自信満々に言い放ちますが、スピード勝負?
トラウマの再来です。
やめてください。
継名にスピード勝負なんて挑まないでください。
また私投げつけられてしまいます。
「お前、こんなところでスピード勝負するのか? 大丈夫なのか」
「怖気づいたようだな」
「何言ってんだお前は」
継名はスピード勝負するとソニックブームとかが発生して、この魔王城が崩壊するのを心配しています。
多分、目の前の魔族はそんなスピードまで想定していないと思われます。
つまり継名より遅いということです。
ここは神として、しっかりアドバイスをしておくべきでしょう。
「あなたのスピードでは継名に敵いません。諦めた方がいいと思います」
ストレートに事実を言ってみました。
女魔族のときのように、オブラートに包んで言っても伝わらないと思ったからです。
そんな私の配慮を無視して、魔族は私をにらみました。
「どこの誰だか知らないが、お前も俺ををバカにするのか」
どこの誰かって、この世界を作った神なのですが。
なんかついさっきも聞いたようなセリフですね。
かぶしボケやめてもらってもいいですか。
私の扱いがあんまりで、もう泣きそうです。
「いくぞ。俺のスピードについてこられるかな?」
魔族が声を上げても、継名は腕を組んだままです。
今度は団扇すらだしません。
魔族の姿がかき消えます。
私にはとらえることができませんでした。
次の瞬間
ドグシャ
目の前に全身を強打した魔族が現れました。
顔もつぶれてますし、手足が変な方向に向いています。
ものすごく痛そうです。
継名は呆れて見下ろしています。
「なにが起きたのでしょうか?」
「相手の進行方向に空気の壁をおいただけ、あんな速度で突っ込めばかなり痛いぞ。衝撃波だせるぐらいの速度なら話は違うがな」
「スピード勝負とかじゃないんですね」
自分の土俵ですら戦ってもらえないのですか。
こんなのただの自損事故じゃないですか。
自滅するなんて馬鹿ですね。
継名に対して自分の力を過信して、使用するとか、まぬけがやることですね。
……。
私は自分のバッドステータスを思い出します。
あああ、それはもう私がやりました。
やめてください。
二番せんじはよくないと思います。
継名が戦うとなぜか私にも精神ダメージが入ります。
ただ、二連続でボロ負けしたのですから、魔族もそろそろ諦めてくれるのではないでしょうか。
そう思っていると継名が恐ろしい形相でにらんできます。
「動くな。殺すぞ」
突然、継名に刀を突きつけられました。
トラウマ再来です。
その刀本当に怖いんですよ。
「私、なにか失言しましたか?」
知らないうちに、なにかまたやってしまったのでしょうか。
冷や汗がだらだら流れます。
今は本当に心当たりがありません。
「お前じゃねぇよ。後ろのやつだ」
振り向いてもそこには通路があるばかりで誰もいません。
ですが、継名は刺突の構えのままです。
突然空間が歪むと男が現れました。
私は現れた男に首をつかまれます。
「くっ、何故わかった」
どこから現れたのでしょうか。全然わかりませんでした。
「姿も気配も完璧に消していたはずだぞ」
「お前ら、俺が風属性だって、全然わかってないだろ。空気の動きで気配バレバレだぞ」
私を捕まえている男の魔族のスキルを急いで確認します。
スキル
透明化
無音移動
なんですか。この暗殺特化のスキルは⁉
というか継名はこのスキルでも看破できるんですか⁉
二重で驚きなのですが。
魔族の男は首元にナイフを突きつけてきました。
ひぃい。私は声にならない悲鳴を上げます。
「この女がどうなってもいいのか」
「別にいいぞ」
あんまりな即答に、魔族の幹部も、私も『えっ?』って顔になりました。
驚いた瞬間、力が緩んだのを継名は見逃しませんでした。
一瞬で私を引きはがし、刀を振り抜きました。
グシャ
果物がつぶれるような音を立てて敵の幹部は吹き飛んでいきます。
「安心しろ峰打ちだ」
みねうちというか撲殺ですよね。
よく見ると、一応敵の幹部はぴくぴく動いていて死んではいないようでした。
「大丈夫か?」
「一応、大丈夫です」
私は、答えましたが、継名は明後日の方を向いています。
「いやお前に言ったんじゃない。刀に言ったんだよ。変な感じに使っちまったから」
継名は私の方を見てもいませんでした。
刀を念入りに見ています。
私より愛刀の方が大事なようです。
「大丈夫そうだな」
丁寧に納刀します。
私の扱いが物以下です。
悲しくなってきます。
「お前は捕まったのなら、魂魄体になれ」
「あ、はい」
その手がありました。
魂魄体なら、そうそう死ぬことはありません。
継名と魔王を除いてですが。
「よし。残り一人だな」
継名は、最後の一人がまともなことを諦めていました。
案の定、最後の一人が現れます。
雲のようにふわふわした服を着た男です。
服が静電気でバチバチいっています。
「お前は何見せてくれるんだ? 口上はもういいから、さっさと見せてみろ」
継名は魔王のところに連れていけとはもう言いません。
ですが、先制攻撃はしないんですね。
神の貫禄なのでしょうか。
魔族の男はうなずきます。
「いいだろう。絶対回避不能の雷魔法を受けてみろ」
手を掲げ、魔力を高めます。
「サンダーボルト!」
魔族の男は高らかに言いました。
……。
なにも起きません。
「あ、あれ? サンダーボルト! サ、サンダーボルト! な、なぜ発動しない?」
魔族は動揺しています。
確かに変ですね。
確かに魔力は消費していますし、魔法も発動しているように感じます。
継名が冷めた目で魔族を見ています。
「お前、空気は絶縁って知ってるか?」
「絶縁?」
「空気は電気を通さないんだよ。俺の妖気が充満しているこの空間で、雷なんか使えるか」
雷は普通空気を突き破って進みます。
それができないということは……。
つまり、単純に魔族のパワー不足ということでしょうか。
「手本を見せてやる。雷ってのはな、こうやって使うんだよ」
継名が団扇を振るいます。
突然、魔王城内に積乱雲が立ち上り、雷雲となりました。
ドゴーン。
稲光とともに雷鳴が轟きます。
直撃した魔王軍幹部は、黒焦げになり口から黒い煙を吐いて倒れました。
継名のスキルを見ていましたが、ずっと風操作しか現れていなかったのに、何が起こったのでしょう。
「どうして、継名は雷魔法が使えるんですか?」
私は継名に質問しました。
継名の属性は風です。
雷が使えるはずがありません。
「妖術を使い、空気中から、窒素を分離し圧縮し液体窒素を作り出し、上空に巻き上げる。自然現象によって液体窒素によって空気中の水分が凍る。妖術を使い、空気中の小さな氷の粒をかき回す。すると氷の粒同士がぶつかり合うことによって、電荷がたまる。できた雷曇から相手に向かって、真空の通り道を作るとそれにそって、雷が落ちる」
継名が滑らかに説明するので、私は目が回りそうです。
「そんな一気に言われてもよくわかりませんけど、自然現象と風の魔法を組み合わせると雷が使えるってことですか?」
「なんだお前にしては、ちゃんと理解してるじゃないか」
なんか褒められましたよ。
わーい。
適当に言っただけなんですけど、当たっていたようです。
それにしても、継名の風魔法汎用性高すぎませんか。
継名は魔族に近づいて、聞きます。
「そろそろ魔王のところに案内してもらおうか?」
「死んでも、魔王様の居場所は口を、ぎゃん」
継名は相手が言い終わるまでに、蹴りとばしました。
魔族は気を失います。
「もういいわお前ら。人の話はきかねぇし。その割にはめっちゃ弱いし、変な心意気はあるし、もう知らん。自分で探す」
「弱いかぁ」
この世界で最強の軍団だったはずです。
継名が強すぎな気がしてきました。
攻撃力1なのにどうして、と思いましたが、よく考えると、一人目も自滅、二人目も自滅、四人目は自然の落雷に当たっただけです。
継名の魔法は途中で自然現象を挟むせいで継名自身の攻撃判定にならないようです。
ソニックブームに至っては、ただの移動の副次効果ですし。
刀は普通に攻撃のようですが、スキルの効果が大きいようです。
ただ継名は、攻撃する瞬間しかスキルが見えないのでよくわかりません。
継名の戦闘能力をはかるのに、ステータスが何の意味もなさない理由がわかってきました。
ふと継名をみると、四天王全員倒し終わったというのに、今まで以上に周り警戒しています。
「どうしました?」
「実は四天王というのが、ブラフで五人目の刺客がいたら、ちょっと見直してやろうと思って」
辺りを見回しますが、物音一つしません。
「そんなことなさそうですよ?」
静けさそのものです。
そんな雰囲気はまるでありませんね。
「それにしてもなんでこいつら、俺が属性風だっていうのわかってて突っ込んでくるんだ」
継名は疑問を口にしました。
「それは……多分この世界の風魔法がそんなに強くないからだと思います。エルフがよく使っていますが、弓矢の制御アップとかその程度ですし」
「そういうことか。本来、見えない攻撃が飛んでくるの警戒しないといけないのに、真正面から突っ込んで来るわけだ」
継名は納得したようですが、イライラがおさまらないようです。
「よし決めた。魔王も礼儀知らずだったら、魔王の上司ごと、魔族を滅ぼそう」
わーい。
四天王が継名を怒らせてくれたおかげですね。
つまり、魔王がダメなら、継名が勝手に倒してくれそうです。
ダメ魔王でありますように。
ん? 継名のセリフで気になることが一つあります。
魔王の上司とは誰なのでしょう。
「魔王がトップだと思うのですが、魔王の上司とはだれのことですか」
「魔王の上は創世神に決まってるだろう」
「私⁉」
「アホな創世神と馬鹿な魔王の首ならべれば、世界は平和。人間たちも、スカッとするだろ」
馬鹿四天王。
なんで継名を怒らせるんですか。
誰ですか。
ダメ魔王がいいなんて思った奴は。
なぜ私は、本来敵であるはずの、魔王と一蓮托生しなければならないのでしょう。
本当にわけがわかりません。
いい魔王でありますように。
いい魔王でありますように。
いい魔王でありますように。
私は魔王が現れるまで祈り続けるしかないのでした。