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主人公は僕じゃない  作者: きゃんゆう
第一章 夜の国
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【第二局面②】


呆れたノイルさんとオルコさんが互いにアイコンタクトをとっている。アンダカさんはボギーの天敵かもしれないな。


「見た者の一番怖いものになる、ですか。戦いの最中に現れると厄介ですね」

「ですが混乱目的の集団なので、どのボギーもゴブリンより脆い相手ではありました。それに俺が母親を見たように、恐怖の程度が低い相手には通用しませんね」


ノイルさんにとっては大したことない相手でも、もうこれだけの被害が出てしまっている。今から耐性のある人で戦場に出るには遅すぎると思う。


「ボギー相手の被害が大きく、戦える方がかなり減ってしまったので私の従者にあとを任せます。皆様は回復に専念してください」

「ルルゥ様、申し訳ございません。ヴァンブラッド家の方々に負担を押しつける形になってしまいました」

「ルフレ兄様も私もディーヴィ様の軍勢を調べていますが、ここまで厄介な種族を引き込んでいるとは知りませんでした。この戦力で問題ないと判断したのはヴァンブラッド家です。ディモニア家従者のアンダカ様が謝ることはありません」


エリスさんやエリスさんの同僚が戦場を駆け回り、次々と結界内に仲間が戻ってくる。最初のゴブリンから随分と仲間の数が減ってしまったけど、まだメインの戦力が誰も欠けていないので諦めるには早い。


メイちゃんペティちゃんが戻ってきて同時に二人ともぺたんと地面にお尻をつく。肩で息をしていてとてもしんどそうだ。


「い、っそがしい!あたま、おかしく、なりそう!」

「おら!こっちで休んどけ!そこ危ねえから!」

「う……オルコ、メイは適当でいいから……ペティは、大事に運んで」


二人を抱っこして後ろの方へ連れていくオルコさん。抱っこされながらペティちゃんが手をさっと動かすと、ボロボロになったパペットたちが結界を守るように配置された。


「カル様、指からでは間に合わなくなってきましたので手首からいただいてもよろしいですか」

「なにしてるんですか!早く吸ってください!」


一気に負担が増えて綺麗な白い肌が青白く不健康になっているルルゥさんに慌てて僕は手首を差し出す。


太い血管が透けている辺りに唇が当たると、チリチリと軽い痒みが走った。喉をごくんと鳴らして飲むたびに頬に赤みが戻るルルゥさんに、ほっと息を吐く。


「遠慮、しないでください。そういう条件なんですから……」

「カル様はとても死にやすいのでどうしても慎重になってしまいます。めまいや吐き気があったらすぐ教えてくださいね」


真っ赤な唇と普段より少し伸びた牙が手首から離れ、ルルゥさんの指で傷口が治された。どうせまた吸うんだから治さなくてもいいのに。


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