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主人公は僕じゃない  作者: きゃんゆう
第一章 夜の国
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【第一局面】


「ゴブリンとの戦いは終えたが目的は変わっていない!ディーヴィを討伐する!」


アンダカさんが声を張り上げると傭兵や組合、悪魔族の人たちが『おおーっ!!』と答えるように更に大きな声を張り上げる。


「傷ついた者はルルゥ=ローゼン=ヴァンブラッド様の回復範囲内に入れ!死ななければ何度でも復活できる!心が折れてしまったり、死を覚悟する前に迷わず逃げろ!憑依されて味方を殺すくらいなら逃げていい!」


みんなアンダカさんの励ましを聞きながら武器や防具を手入れし、アイテムを確認し、仲間同士肩を組んだり背中を叩きあっている。


エリスさんたちはオルコさんとネーロさんと話し合っていて、メイちゃんペティちゃんはぎりぎりまで人形の修理を進めるみたいだ。


「トゥイーニー、無事ですか」

「……申し訳、ございません。失敗でした」


背後から声がして振り向くと、悔しそうな顔で涙目のトゥイーニーが立っていた。


「契約で縛っている相手を殺す理由はないだろうとのんびりしていた私のミスです。トゥイーニーは悪くありません」

「様子がおかしかったのに、報告が遅れたです……」

「もう被害は出てしまっています。あとはどこまで抑えられるかですよ。一緒に頑張りましょうね」


白くて綺麗な手が僕から離れ、小さな手を握る。安心させるように指で数回手の甲を撫でてから手を離すと、トゥイーニーは寂しそうに『あっ……』と声を漏らす。


「さて、数では向こうが有利ですが私たちのほうが圧倒的に強いです。気を抜かずにいきましょう」


スチュワード、マグダ、トゥイーニーが深々と頭を下げて結界の外へと出ていく。みんなもあとに続いてそれぞれ馬車を中心に半円形に広がりながら敵を迎え撃つらしい。


最初に敵へと飛び出して行ったのはエリスさんたちだ。防具も武器も関係なく相手を三分割しては血をすすり、血で武器を作り、真っ赤な地獄絵図を描いている。


血と肉の道が敷かれていくとノイルさんがその上を歩きながら包囲しようとする敵をまとめて吹っ飛ばす。たまに武器を振り下ろす手が止まり、なにか呟いているところを見ると、多分相手は憑依された知り合いなんだろう。


今度の敵は本能的に動くゴブリンとは違っていて、弱った人を執拗に狙ったり、ひたすら数の暴力で力任せに突撃したりと数段厄介な相手になった。


あえて負傷させて逃げられなくしたところを必要以上に痛めつけたり、戦いの途中で元同僚を見つけて動揺したり、メイちゃんペティちゃんのパペットの手助けも間に合わないため被害が出始めている。


「さっきに比べて運ばれてくる人が少なくなりましたね」

「組合や傭兵の方々は数で押されると不利ですね。なるべく手助けはしたいのですが……」

「魔力で攻撃とか、そんなのはないんですか?」

「ございますよ。ですが『体内の魔力を相手にダメージを与えられる形にして放出する』というのは膨大な魔力を使うのです」


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