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主人公は僕じゃない  作者: きゃんゆう
第一章 夜の国
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【観戦②】


浮遊感に気持ち悪くなりながら馬車の中で上下に叩きつけられる覚悟をして歯を食いしばると、背中が誰かに引っ張られた。


「う……わ」

「思っているよりも酷い状況ですね」


ルルゥさんと僕はまたマグダに掴まれて空にいた。下では地面から次々と沸いてくるゴブリンをみんなが一生懸命退治している。荷車は破壊され犠牲者もでているが、それぞれ個人が強いため大きい被害はでていない。


遠く落ちていく馬車をスチュワードが掴んで地面にそっと降ろすのが見える。馬車の上に高級感のある椅子を二つ置くとスチュワードはゴブリンの大群へと駆け出していった。


「主、特等席をご用意しております」


マグダが急降下し、僕を馬車の上に捨て、ルルゥさんをお姫様抱っこで椅子に優しく座らせる。


わかってたけど!わかってたけどさ!下に落とさないだけの配慮はあるんだろうけど、配慮があるなら丁寧さもください!


「カル様もこちらへどうぞ。改めて保護と強化を付与しておきますね」


ルルゥさんにいいところを見せるためかすでにマグダはいなくなっていて、促されるまま僕はもう一つの椅子に座った。


「申し訳ございませんが、回復に備えてカル様の血をいただいてもよろしいですか」

「あ、はい」


左腕をルルゥさんに差し出しながら僕は目の前の戦いに釘付けになっていた。


まず目立つのはオルコさんとノイルさんだ。オルコさんがなんのスマートさもないゴツゴツした巨大な金属の武器で文字通り敵を粉砕し、ノイルさんはセンスと技術の塊のような美しい斧でゴブリンの上半身を消し飛ばしている。


大柄な二人の周囲では赤い霧と肉の雨がいつまで経っても絶えない。


メイちゃんとペティちゃんは馬車や荷車を引いていた動物型のパペットで攻撃・防御・怪我人の運搬とサポートをしている。主にペティちゃんが操作し、メイちゃんは破壊されたパペットを瞬時に違う動物型へと組み換えて戦場に投入しているらしい。


手さばきが速すぎて、壊れたパペットがメイちゃんの前を通るだけで違う物として復活する様子は何回見ても手元がわからない。


ネーロさんは今立っている場所を中心に全方向が頭のないゴブリンの死体だらけだ。一定の範囲内に入ったゴブリンをなにかしているらしいけど、これもまた速すぎて見えない。


血溜まりの中に入った瞬間に頭が飛び、ネーロさんは暇そうに爪を指で弾いて遊んでいる。


「うおおおお!!」


見た目通り…といってはなんだけど、アンダカさんは武器を使わず自分の肉体だけでゴブリンの群れに突っ込み、全身で群れをなぎ倒している。全力で殴り、全力で蹴り、全力で踏みつけて進んでいく。


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