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主人公は僕じゃない  作者: きゃんゆう
第一章 夜の国
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【必要なもの③】


城の当主が城を爆発させるのはどうなんだ。村の人も自分のところの当主がそれでいいのか……。


「その音がしたあとにディーヴィは豹変した。城で暴れたあとは村を回り、抵抗した者を殺して晒すことで恐怖を植え付けた。誤算だったのはその暴力と恐怖に魅せられてしまった者共がかなりいたことだな……」

「なんでそんなものに……」

「圧倒的で刺激的な強者に憧れる者は珍しくない。当主もダヴァラも保守的だったからな。それがこの平穏な国で退屈を生んでたんだろう」


村の仲間が殺されて、その仲間を殺した人についていく心理は僕にはわからない。命を落とすかもしれないのに平穏な生活を捨ててまで戦うなんて……僕は嫌だ。


「だが、腑に落ちない。俺の知るディーヴィはダヴァラを慕っていた。優秀な次期当主の兄の力になれるようにあらゆる努力を惜しまず、当主やサティナ様とも仲は悪くなかった。それが……だ。あの音のあと当主と兄を忠臣ごと皆殺しにし、到底敵うはずのないヴァンブラッド家に契約していない配下を連れて攻め込んでいる」

悪魔(デビル)族、(ビースト)族、幻霊(ファントム)族、魔獣(デモニペト)族。確認できたのはこれくらい」

「獣族に関しては中央といくつかの組合が当主とダヴァラと契約していた。獣族も悪魔族も当主と兄の契約を違法に引き継いだんだろう。強制的に従わされている者はどうにかできるとして、問題はあとの幻霊族と魔獣族だ」

「魔獣族はわからないけど、幻霊族って……ロム?」


幻霊族っていうのは確かロムのことだ。ぬいぐるみに入ったり出たりできるってことしか知らないなぁ。


魔獣族はファンダングの店で言われたっけ。僕を見てそう言ったのなら、魔獣族の見た目は僕と変わらないんだと思う。


「幻霊族は探して見つかる種族じゃない。ロムロロはたまたま当主が購入した品に入っていて、今はサティナ様に譲られている」

「え、どういう状況……?それに、探して見つからない?」

「幻霊族はなにかに入っていることが多い。幻霊族かと聞いても答えない。だから見つからない」

「ロムロロは自分から正体を話した間抜けだからな。それと魔獣族も似たようなものだ。珍しくはないが、なにかに化けるのが多い種族だからな、姿が本体か擬態かもわからん」

「なんでディーヴィはそんな種族を仲間にしてるんですか……」

「そこまではわからないが、確実に関係しているのは物売りだ。サティナ様がヴァンブラッド家と協力したのなら獣族と悪魔族の契約は解除できる。その二種族が解放できればあとは戦力的に難しくないだろう」


獅子が煙をまた吐くのと同時に、トゥイーニーの耳がぴくぴくと動く。


「ご主人様が村を出るみたい」

「ディーヴィにとって城はどうでもいい物で、配下も数えるほどしか置いていないからすぐ取り戻せるだろう」

「知られているだろうけど戦いになったら知らせる」

「そうだな、知っているが教えられるとするか」


トゥイーニーに引っ張られて扉を出るとき、煙を吐く獅子がなんだか悲しそうに見えた。僕の気のせいかもしれないけど。


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