2061年、天の南極までのたび。
あの日は、とても寒かった。
ほんとうに、寒くて、
ー今日みたいな空じゃなかった。
南九州の片田舎の日差しは、やっぱり、春だけど、もうすぐ初夏を告げる。
けど、あつい。
夏は夏で遊べるから、別にいいけど。なんか星は冬の方が見やすい気もする。
理由はわかんねー、ただの感覚だし、人性で一回くらいは、天の南極をみてみたい。
ただ、海外に行きたいか?といわれたら。
ー俺は、英語が話せない。
そもそも、
ー南極って、よくわかんねー。
プラネタリウムでも、よくわからない。ネットでみても、
ー?
空に線を引くの?
ーどうやって⁈
いまは俺のお年玉でかえる機械が、その距離をとどくわけないし。
プラネタリウムのあとで、星座に盛り上がってた兄貴と母親の会話が、よくわからない。
ただ、
ーそんな昔から、やっぱり夜空は、人を惹きつけるんだな?
って、思った。でも、よくわからなかった。正座版を見て、星の位置をたどりましょう?
が、いちばん困った。というか、
ー正座版みたいに、星がきれいに、見えない。
ー?
だった。夜中になれば、確かに、よく見えることも、あるけど。
ー早見表みたいに、見えない。
親父が、人からもらったって、俺に土産にくれた天体望遠鏡は、古い。
ってか、親父は、よく人からものをもらうなあ?しかも古いし。
ただ、その古さが、フルマニュアルが、たしかに俺には、楽しかった。
親父が言うには若い頃に、ハレー彗星ブームがあったらしい。地球から肉眼でみえる唯一の周期彗星。
1989年に、ブームを起こしたらしい。次に見えるのは、たぶん2061年?
じいちゃんは見れたけど、ばあちゃんは見れなかったらしい。
けど、人により2回は見れるらしい。いまの寿命が続くなら?
かあ。
俺はよくわからない。1986年は、たぶん調べたらわかるけど.
ー2061年って、想像がつかない。
たぶん、60歳くらいか?
わかるわけない。あと半世紀近くあるぞ?
60歳、かあ。
兄貴は結婚して、孫がいるのかな?俺は、ずーっと独りな気かするけど。
俺にはよくわからない。俺、自身じゃない誰かを好きになる気持ちが。
異世界人どころか、家族ですら、
ー他人だろ?
ただ、屋根が飛び降りていた俺の根本は、変わってない。
だって、霊柩車を見たら、親指をかくせ?って、じいちゃんは言う。
だけど、俺はやらない。だって、
ーまきこれたくない。
って、思った。
で、俺は毎回、火事になったら?を考えた。
ーどう動く?
って考えて、自分でも最低な判断だって思ってる。俺は他人に、興味がないんた。最低だってよくわかる。
ー小学生の危険予測があるのか?
も、わからない。
というか、わからない。
ほんとうに、わからない。
ー自分より、誰かを大切に思う?
ちょっとは、他人の気持ちを、考えなさい(ろ)!
そう、言われ続ける俺が?
だから、俺には、わからない。
だって、わからない。
ー相手の考えも気持ちも、目に見えない。
だけど、兄貴やみんなは、違うらしい。
兄貴は口癖のように、俺にもっと怒れって言う。笑えとも言われるけど、怒れって言う。
黄原も言う。
だけど、
ー?
俺には、ほんとうに、わからない。だって、いつだって、会話は悪口にきこえる、
べつに、人だとは限らない。
いろんなものに怒ってる。なにかを批評しないと会話がならないなら、
ーよくわからない。
だって、そういうモノだとしか、俺にはわからない。
いつだって、兄貴や黄原や母親や、みんなが、
ー赤信号でわたる。
なら?
やっぱり、緑は青信号なんだよな?
もう「みどり」が「あお」なら、それが世界なんだ。
だから、みんな違うんだ。
兄貴や黄原は、すごい。赤木だって、すごくて、あの芝生はー。
私は、柴原真央、だよ?
って、黒いボールペンだった。
あいつは、芝生を「みどり」でかいた。
ーあいつは、なんだ?
で、
柴原が色をつけた。
ー神城明日菜。
は、
空色の蛍光ペン。
ー蛍。
たくさんの色は、空や水と同じかあ。
ー俺は60歳になる頃、誰かと人生を歩いてるのかな?
なんか、
ー逆に走ってそうな、気もする?
だって、じいちゃんが買ってくれた気象の本に、雲の観察は、太陽を直接みないように、ビルなどの影からのぞきます。
って書いてあって、
ーなら、太陽とは、逆の空を観察するのか?
って、思った。
60歳になった俺は、なんかやっぱり、ぐるぐるして、目がまわりながら、
ーのこりの人生をどう生きていくんだろ?
そして。もし、誰かと一緒なら、
ー天の南極をみたいな。
って思ったんだ。
素直にそう思ったんだ。
読んで頂きありがとうございます。
⭐️評価やブックマーク、いいね、とても嬉しいです。
よろしくお願いします。
続きはR15にしているため別話になります。
https://ncode.syosetu.com/n6506hr/
ふたりのハッピーエンドを見守って下さったら、嬉しいでしす。




