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スカウト 明日菜 ④


村上くんと、柴原さんと話していたスカウトの女性、名刺には加納千夏さん、てある。


だから、加納さん?かなあ。が、足早に私の元に戻ってきた。


「彼には了解をもらったわ。それならOKよね?」


「えっ?」


ー認めたの?村上くん?


私はビックリして、村上くんをみる。村上くんは、柴原さんと、輪から離れた黄原くんと話をしてる。


さっきまで泣いてたはずの柴原さんが、村上の言葉に爆笑していて、黄原くんがあきれた顔でふたりをみていた。


私の視線に気がついた柴原さんが、ヒラヒラ手をお気楽に振ってる。


ーさっきまで泣いてたよね?


って思うけど、私もなんとなく小さく手をふる。よくわからない。柴原さんて。ただ、優しい不思議な目で私をみてる。けど、村上くんになんか言って、村上くんが首をかしげながら、


ペコリ。


なぜか私に会釈してきた。彼氏の反応って、これだっけ?なんか違う?


あっ、私、さっき、勢いで、とんでもないことを話したなあ。私はいまさら顔があかくなる。


ーいまさら、彼氏じゃありません。


って言える雰囲気じゃないし,素直にそれは、嫌だなあ?は、ある。


なんにも考えずに、反射的に口から出た言葉だけど。いまも驚いてるけど、


「あなたのご両親にも挨拶したいわ。まず、あなたの連絡先を知りたいから、宿泊先を教えてくれる?学校ともきちんと話すわ」


「あっ、◯◯旅館です」


って、班の子達があっさりこたえちゃう。まあ、制服を調べられたら、いまは、あっさり、わかるんだろうけど。ほんとうに

手のひらサイズに、


ー便利すぎる。


目の前の人は、スマホをみながら、手帳に私の記録をペンでかいてる。


「ごめんなさいね?いま個人的なスマホしかないから、セキュリティが少しあまいのよ?会社のやつは情報管理をきちんとしてるんだけど。それに.私の世代は、つい手帳に書いちゃうのよ」


ーそんなに年取って見えないけど?


「ああ、でも、それだと、私の番号にこまるわね。ちょっと待ってね?」


さっきもらった名刺にスラスラと、数字が並ぶ。どうやら、加納さんの個人的なナンバーみたいだ。私はついじっと、私より背が高い加納さんを見つめる。


ー私みたいな子に、簡単に教えて大丈夫?


それなりに絡まれるくらい有名なプロダクションのスタッフさんだよね?


「すごーい、わたし、俳優の◯◯の大ファンだよ?明日菜、あったら、サインもらってよ?」


「私も!」


まわりが、きゃあきゃあ、言ってる。サインって、みんな、なんで欲しいのかなあ?


写真なら、まだわかるけど。たまに鑑定番組を見ながら、


ー差がわからない。


テレビの画質のせいか、自分の価値基準か?


って、たまにお兄ちゃんとお姉ちゃんが揃うと、にぎやかになる我が家。ちなみに最終的に、


ー明日菜は、どっち⁈


ってなるから、私はお姉ちゃんとこたえてる。内心で,毎回、お兄ちゃん、ごめんなさい?だけど。


現金な私は、いつもそばにいるのは、お姉ちゃん。だから、お姉ちゃんに、ついてる。


し、確率的に、だいたいお姉ちゃんが、あってる。私にもよくわからない差だから、テレビの画質かなあ?お兄ちゃんは家電が好きだから、詳しい。


私は、電気屋さんは、あまり興味ないけど、最新式家電が大好きなお兄ちゃんと、とくに興味ないお姉ちゃんの口ゲンカは、楽しい。お兄ちゃんがやっぱりお兄ちゃんだから、かなあ?


夏休みに入ったら、大学から帰省してくる。毎年いるから、お姉ちゃんが、彼女いないんだ?ってからかうけど。


ー逆だ。大学で毎日一緒にいるなら、帰りやすいだろ?


ってお兄ちゃんが言ってた。けど、お兄ちゃんに彼女いるのかなあ?


は、私たち家族の不思議ではある。お兄ちゃんが帰省すると、お姉ちゃんがさらに、活気づくから、お母さんは苦笑してる。お父さんは、ほっとしてる。


ー女ばかりで肩身が狭い。


ってお母さんにボヤくみたいただけど、素直に、


ー朝陽が元気だからね、うち。


お母さんが苦笑してる。お姉ちゃんは、お兄ちゃんと同じくらいお父さんでも遊びたおす。お兄ちゃんが帰省したら、お姉ちゃんはお兄ちゃんにじゃれてる。


私には、お姉ちゃん、だけど。お姉ちゃんはお兄ちゃんからしたら、妹なんだなあ?って思う。


ーお兄ちゃんは、お兄ちゃん、が、しんどくて遠くの大学を選んだのかなあ?


違うよ?明日菜。県内に大学がそもそも少ないんだ。


って、お姉ちゃんは言ってた。


私は大学自体がわからないけど。なんか、進路の一個はいま決まった気もするけど。


じっと、みつめていたら、加納さんが少し耳を赤くして、目をそらした。


ー?


「破壊力すごいわね?私もまだまだ、だわ」


意味不明なつぶやきをくれる。


「まあ、明日菜が見つめても通じないの、村上だけなんで?人間の反応としては、あってますから」


「柴原さん?」


「あっ、私は真央、だよ?明日菜?柴原さんは、そろそろやめて、そう呼んでね?」


「ー真央?」


「よくできました」


柴原さんが明るく笑って、私の頭を撫でてくれる。柴原さんは、赤木くんより、私を信じてくれた。


柴原さんは、


ー柴原,真央。


真央だ。














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