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2日目 春馬 ⑧


ーそんなこと、いちいち、質問するな?知らねーよ?自分で考えろ、バカ。


ラッシーの写真と一緒に、アニキからメールがきた。


ー考えてもわからないから、メールしたのに。残りの炭酸を飲みほして、眉がへになった俺をみて、黄原が言った。


「竜生先輩なんて?」


「ーバカ、だって」


どうせバカだよ?とは思う。バカだから、考えたらわかる、が、わかんないから、きいている。


黄原が手をだしたから、俺はメールを黄原にみせた。黄原がメールをみて、ため息をついた。


ー黄原は、わかったらしい。


「ーとりあえず、お菓子でも買ってろよ?さすがに、お前でも、おばさんが好きなお菓子くらい知ってるよな?」


知ってるけど、俺は目の前のポテトをみる。この形が薄くなって輪切りになるだけだ。


そしてそれは、どこにでもある。俺の視線を追って、また黄原がため息ついて、


「お土産選び、俺もつきあってやるから」


「けっこうな金額だから、かなりになるぞ?」


「そんなことしたら、教師にバレるだろ?あまりは返してやれ。たぶん、おばさんがなにを心配したかは、わかるし」


「黄原すげーな?」


「おばさんも理由を、お前には、言いたくないよなあ。だって言ったらやりそうだし?お前」


「なにを?」


「まあ、そのうちわかるさ。それより、春馬と神城って、知り合いなのか?」


黄原がポテトをとりながら、言うけど、いまさらなんだ?どう考えても、知り合いだよな?だって、いま同じ自由行動をしてる。


俺が黙ってたら、黄原が質問をかえた。


「修学旅行前から知り合いか?」


「ー名前と顔は知ってた」


あとわけわかんねー、神城に対するイジメも、ついでに知った。


「なあ?黄原」


「なんだ?」


「なんでみんな神城がそんなに嫌いなんだ?」


「ー嫌いもないだろ?ただ、目立つからじゃね?田舎じゃ異質なだけだ」


「柴原や赤木の方も目立つぞ?」


「柴原はともかく、赤木は、小グループでしか目立たない。竜生先輩もかなあ?お前は違うけど」


たしかに俺は目立たない。とくに秀でたものはない。というか、目立ちたいもないな。兄貴もない気はするけど、神城と兄貴はなんか違う目立ち方だ。


「興味さえ出したら、すぐ竜生先輩を超えるだろ?いや、お前には、たしかに、竜生先輩はムリだけどさ。竜生先輩は、努力を努力ってわかって、前につき進める人だし」


「すごいよなあ?兄貴も黄原も、目標があって」


俺は高校すらわかんない。高校に行きたいのかも、わからない。義務教育から解放されるなら、勉強も義務教育範囲で生きていける気もする。


実際に行ける経済力あっても、行かない選択をする人たちがいるのは、知ってる。ふつうに生きてる世界でだ。


ーたんに勉強きらいだから、高校行きたくない。


は、いまでもいる。そもそも行かない選択をする。わずかだけど、たしかにいる。しっかり働いて、車の免許とると同時に自分で車を稼いだ金で買ってる。


自分で考えた道だから、って胸を張って生きてる。ただなにかしら、資格はとってるよなあ。


ー手に職だよなあ?


兄貴が参考書を欲しがって、大きな本屋について行った時、たくさんの大学の赤本があり、バラバラめくってみた。


ーあんまり、難しくはないのかな?これが高校三年間の基礎なら。


くらいの感覚は教科により、あった。センター試験の関連本だからだろうな?だったけど。


親父が、なんか大学に興味あるか?ってきいてきたけど、学びたいは、あんまりわかなかった。


その解き方をパラパラ流して、視界にいれただけだ。兄貴の勉強方法は、俺にはできないけど、


ーアイツはどう解くんだろ?


柴原。俺にシグナルと柴犬語ってきたやつ。素直にアイツの説明はわかりやすい。


なんかアイツなら、いろんなことを俺に教えてくれそうだ。


ーじぃちゃんみたいに?


違うか、じぃちゃんは勉強は教えてくれなかった。九九の規則性には、興味を素直にもって暗記したけど、暗唱には興味もてなくて、じぃちゃんが付き合ってくれた。


ー結局は暗算できてるけど、九九はあやしいまま、中学になったけど。いまんところ平均は、大丈夫だ。けど、受験とかだと無理だよなあ。


行ける高校が俺にあんのかな?俺はなんかラッシーいるし、南九州の片田舎から一生でない気がする。


ー福岡すら、しんどいよなあ?刺激ありすぎて。


それでも神城は、いまもカメラにさらされてる。


「あの子なんて名前だっけ?」


「モデルかな?サインもらう?」


「修学旅行っぽいから、そっとしときなよ?プライベートだし、盗撮は違法だよ?」


って声がきこえる。黄原が嫌な顔をした。


「ー盗撮だろ?神城は一般人で、中学生だ」


「言っても仕方なくね?ふつうに親父もあったらしいぞ?」


ひとりまともな人いるし?


「お前の親父さん、モテないだろ?」


「憧れてた先輩とかの写真が売れるらしい」


昔は買ってたらしい。いまもプロからは買うけど、スマホで簡単にネット経由で、共有できるしなあ。


ー神城、大変だな?


「そういえば、そうだけどー。なんか違くね?」


「まあ、簡単に、かなり違うけど、感覚的にはソレじゃね?」


正直、知らない相手を画像撮ってどうすんだ?は、あるけど。


まあ、俺もさっき蟻を盗撮したしな?


「お前は蟻と神城一緒にすんなよ?」


「じゃあ、蜂か?」


違うか、神城って菜の花だったよな?


なら、アプラムシか?


…えぐいな、わりとアイツら?


「まあ、記念撮影くらいするだろうし。神城いてラッキーはあるな、俺は」


黄原が言う。


ラッキー、かあ。


たしかに合法的に持つ権利あるよなあ。


少しつまらなそうにサラダ食ってる神城をチラッとみて、素直に思った。


ー笑った写真なら欲しいかも。


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