春馬
久しぶりのゆっくりした入浴は、予想外に俺の頭をスッキリしたらしい。
風呂から着慣れたジャージや半袖だけどパーカーがに着替えたら、異世界人が夕飯を用意してくれていた。
ハンバーグだ。
俺はあまり好き嫌いないけど、じいちゃんが歯がなんとなく悪くなってきてから、ミンチ類がうちのメニューにふえた。
少しでも、みんなと同じものを。ってじいちゃんには少しあっさりめな鶏肉や豆腐を使って作っていた気もする。
じいちゃんはそんな異世界人にいつもお礼を言ってたなあ。親父に異世界人を大事にしろよとよく言ってた。
そんなハンバーグとポテトサラダ、トマトなんかがある。
まるでお子様ランチみたいだ。そういえば長崎にトルコライスってあるって黄原が言ってたかな?
博多のコンビニにもあったような?
ポテトサラダには、胡瓜やハムやらにんじん玉ねぎ、野菜がたくさんあるけど、マヨネーズで味付けされてるから、なんとなく神城は食べない気がした。
というか、
「…やっぱりポテトチップス買えばよかった?」
「たくさんお土産買ってきてくれたでしょう?もし今度、春馬がどこかに行った時に、思い出してくれたらでいいわよ?」
ってあきれた顔をされた。たしかに、ポテトチップスは、たくさん箱であるな?ストック。
いちばん定番だけど、うすしおが多いし。箱からだしたやつもある。
箱は俺が工作に使ったんだけど。そういえば、双眼鏡式の分光器もどきはまだ完成してないんだよなあ。
箱型はわりと難しいんだ。
「お腹すいてるなら、先にたべる?もうすぐ竜生やお父さんも帰ってくると思うけど」
「先に食べたい」
俺は席についた。だって腹減ったのと、なんとなく色々ありすぎて、兄貴の顔をいま見たくない。
兄貴が俺に神城のことを言うとも思えないけど。だって、お互いに興味なさそうだったし、神城も兄貴も。
ー神城の彼氏はいま,俺だし。
…俺だよな?
チラッと異世界人をみる。
「なに?物言いたげな顔ね?」
「…ポテトチップスいる?」
「いい加減、ポテトチップスから離れなさい。まったく。気持ちだけで嬉しいから、大丈夫よ?」
さりげなく手が俺の髪に触れてきて、俺は反射的に身をそらした。
小さな頃からの条件反射だ。異世界人が手をとめる。
べつに異世界人が悪くない。小さな頃から俺はいろんなことがあると、見境なく走ってしまう、異世界人は止めただけだ。
そうわかってはいるけど。
行き先ない手がにぎられ、軽くため息まじりにはなれてく。微妙な沈黙がおりたなか、
「ただいまー」
って、兄貴の声がした。