春馬 帰宅
いつもより多めにラッシーの散歩に行って、家にかえると、車庫に、異世界人の車がとまっていた。
ー異世界人帰ってきたらしい。
土産は置いといたから大丈夫だろうけど。やっぱり博多駅のコンビニで、ポテトチップス買ってきたらよかったのか?って少しだけ思いながら、
「ただいま」
って、声にきちんと出しながら、玄関を開けた。
すぐに、
「おかえり!よかった、迷子にならなくて」
って声がして、異世界人がリビングから、でてきた。俺を見て、ほっとしたように笑う。
…さすがに家までの道は覚えてるぞ?
ラッシーが。
とりあえず、もう一度、言った。
「ただいま」
「はいはい、おかえり。疲れたでしょう?ラッシーの散歩に行ってきたの?」
俺は黙って頷いた。ラッシーの散歩以外にどこに行くんだ?って首を傾げつつ。
「はやかったのね?」
いや、神城を家の近くまで送っていったから、いつもよりは遅かったけど。
って思ったけど黙ってた。神城のことを異世界人に言っても、なにも変わらないし、質問めんどくさいし。
ーそもそも夏休みまでだ。
「そうそうお土産ありがとうね?美味しそうだから、お父さんや竜生が帰ったら、みんなで食べましょう。でもやっぱり兄弟ね?それとも去年竜生が買ってきたお菓子がそんなに気に入ったの?」
と言いながら、リビングに入っていく。俺はじぶんの部屋に戻ろうと一瞬、思ったけど、そういえば、忘れていた。
「これ、財布に入ってた。使わなかった分」
「ああ、お金!そのままお小遣いにしていいわよ?去年、竜生にも同じ金額渡したから。好きなこととデートやプレゼントにって言ったら、あの子から冷めた目でみられたわ。受験とサッカーで彼女いらないって」
かるくため息ついて、俺をみる。
「私は将来、孫の顔が見れるのかしら?」
俺はともかく、兄貴なら大丈夫では?異世界人が放っておかないし?
って思うけど、黙ってた。兄貴はモテるけど、いまんところ彼女はいない。
ー兄貴が好きになるのって、どんなタイプなんだ?
そういえば、神城と噂になってたよな?神城は知らないみうだけど、兄貴には友人がたくさんいるし、神城のことは、知ってるよな?
そういえば、学校中でたぶん俺や、いや、神城が噂になってるだろうけど。
まあ、いっかあ。
なるように、なるだろう。
どうせ神城は、
ー夏休みにはいなくなる。
打ち上げ花火みたいに一瞬じゃなく、これから夏休みまでは、線香花火の消化試合だよなあ?
このわけわからない感情を俺は夏休みまでに、消化してくのかな?
って思った。
ついでに、
「ポテトチップスは買わなかった」
と言ってた。




