表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/150

3日目 明日菜


他の同室の子たちと一緒に朝ごはんに行った。部屋からてだ時も、食堂でも、視線がたくさんあるけど、昨日の朝とは少し違う。


「明日菜、ざんねんだね?村上たちいないみたいだよ?」


「待ち合わせしてなかったの?」


班の子たちが言うけど、私たちはそういう関係じゃないよ?


って、内心で思いながら、


「あまり目立ちたくないから」


って、言ったら、ひとりがあきれた顔になる。


「明日菜と付き合ってて、目立ちたくないって、ムリじゃない?」


「明日菜が告白した時に、もうわかるよね?」


「告白、明日菜からだったよね?」


って首をみんなが傾げてる。


「告白したけど、村上くんは私をあまり知らないみたいだし?」


…違う私を見つけてくれたし。私にとって、


ーカエル。


お姉ちゃんが名前つけた。ストーカー。


あとから村上くんや真央がナガレタゴカエルを教えてくれたけど。


まさか、十数年後からずーっと牛カエルに話しかける生活になるとは、思わなかったけど。


「えー?明日菜を知らないとかあるの?」


「けど、あの村上だし?」


班の子たちが顔を見合わせてる。


「そういえばさ、昨日年子の妹にきいたんだけど、村上って、一年に人気あるんだって」


「えっ?竜生先輩じゃなくて?」


「うん、下手くそだけど、一生懸命練習してる姿がかわいいって、人気でてるみたいだよ?」


「まあ、明日菜のおかげで私も興味わいてみたけど、たしかに、顔だけならいいよね?」


「あっ、それ、私も思った。やっぱり兄弟だよね?村上は髪型かえたら、目立つよね?」


「無口だし、黄原以外に友達いなさそうだけど」


って、好き勝手に言い出した。


ーいちおう、私、彼女のはずだよ?


って、なんかモヤモヤする。


ー人気あるの⁈


私だけでいいのに?


「明日菜、顔がこわいよ?」


隣で真央がニヤニヤしてる。


ーし、


「いや、明日菜?」


「ただ、私は妹からの話だけでさ?」


「ほめたんだよ?いちおう?」


って、みんなが顔をこわばらせてる。


「村上くんが、どうしたの?」


って、我ながら、少し低い声が出た。


ー自分でも、ひくレベル。


私ってこんな声がでるの?


って内心で思うけど、


ー彼女なら、いいよね?


漫画やドラマやネットの見過ぎかなあ?って思ってたけど、


ーほんとにでるんだ。


って思う自分もいる。


「まあまあ、明日菜、落ち着いてよ?この子たちに悪気ないし?」


「悪気なくても、きいてて面白くないけど?」


「だから、悪気ないから、気づかないだけだよ?」


「ーそうだけど」


そりゃあ、そうだけど。


ー知ってる誰かを話題にされて、少しでも好意があれば、悪く思わない相手のことを、言われたら、面白くはないよね?


って思うけど。私は私を守ろうとしてくれた真央や村上くんを悪く言われたら、反論するけど、


ー自分のことは、あきらめてるのかなあ?


って、村上くんや真央と似てるかもしれない。真央が変わらず笑ってるから、少しだけおちついた気分になる。


「それに、私も赤木と顔あわせたくなかったし?赤木が止めたんじゃない?」


「あ、そっか」


「そうだよね?村上と赤木って同じ班だったね?」


「ごめんね?真央」


って班の子たちがあやまった。


ーそうだよね、真央が言う通りに悪気はないんだよね?


ーネットみたい。


って思う。うちはネットみながら、お姉ちゃんがぶつぶつ言っても、お兄ちゃんが首をかしげながら、お姉ちゃんの感想をもう一回、口に出してるけど。


ーよくわからないから、明日菜は見ない方がいいよ?よくわからないから。


って、お姉ちゃんも見なくなってたけど。首を傾げながらお兄ちゃんはみてた。


ー就活の参考になるかも?


って言ってて、お姉ちゃんがまた首を傾げてた。


ーこんな意見が参考になるの?


ーわからないから、みてる。いろんな人いるな?


何人かは、本気で言ってるよなあ?


って首を傾げてた。ただもう見ない人が多くなる機能に発展していくだろうけど。


ー悪気はないんだよね?


って、思う。たぶん、なんも考えずに感想を言ってるだけで、


ーそれくらい身近になったツールなだけ、だよね?


って思う。


ー手のひらサイズにすごいなあ。


お兄ちゃんがたまに見てた昔のアニメではテレホンカード式のみどり色の電話が映ってた。


私はテレホンカードをもう知らないから不思議だった。折りたたみ式の携帯も不思議だけど。


ーかんたんに写真とれなければ、自由なのに。


でも、便利だし?


でも、


ーいつも追いかけられて、追いかけてる、気分にもなるんだ。


昔の携帯はカシャって音がわざとなるタイプだったらしい。


いまもたぶん同じ機能はあるだろうけど、それをなくす機能もありだろうし?


どっちが便利かでいえば圧倒的に後者だろうし?


ーイケメンファイル作ったよ?


いや、女子でも盗撮ですけど⁈


って、お兄ちゃんがあきれて、


ーあれがいいなら、俺もいい?


ーもうお兄ちゃん扱いしたくないから?


ー妹が冷たい。


ーうっとうしい!はやく梅雨明けしなよ?


って言ってたな。あの時、お兄ちゃんははじめての連休ではじめて帰省したんだっけ?


ーこんなにホームシックになるとは。


って苦笑いしてたお兄ちゃんも、あまり最近は、連絡こないって、お母さんがぼやいてた。


「まあ、赤木はもういいや。ほら、冷めないうちにはやく食べよ?明日菜」


って真央が笑ったから、私もうなずいた。班の子たちもホッとしたように笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今までもちょくちょくありましたけど明日菜はこの頃から独占欲とんでもなく高かったんですね。まぁ春馬はモテても気にしてないというより気づいてすらないから大丈夫だと思いますけど、もし明日菜が彼氏宣…
[一言]  美人は顔を顰めると般若…かも。  私の妻の事ではないですよ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ