とある女の子
ーえっ?
だった。
半信半疑、だった。
というか、
ーなんの冗談?
「だから、村上春馬先輩だよ!あんたがよく話してる野球部の!」
興奮した友人のセリフに私は、呆然としながら、それでもきいた。
「サッカー部の、村上、竜生、先輩じゃないの?」
「兄先輩は、三年生でしょ?弟先輩だよ⁈私たちの次期ブレーク予想No.3!」
って、クラス内が男女共に、ザワザワしてる。
学校イチ、ううん、この地域では有名な神城明日菜先輩が修学旅行先の博多駅で、有名なプロダクションにスカウトされた(ここはみんなあまり驚かなかった)時に、村上春馬先輩とつきあってる宣言したらしい、
これには、違う意味で私たち一年生は大騒ぎになってた。
三年生の村上竜生先輩も有名だけど、野球部で下手くそだけど、グランドで一生懸命に練習してる村上春馬先輩は、
ーかわいい。
って話題になってた。
じみーに、目立つ存在だった。なんというか、下手くそだけど、下手だから目立ってたし、
ー顔立ちは良かった。
あまり話さないけど、私は去年卒業したお兄ちゃんが野球部だから、前から知ってたし、リトルリーグは少子化の影響もあって、私も男の子に混じって、小学校でやってたから、村上先輩に偉そうにアドバイスしたりもする。
村上先輩は、はじめ私を男の子だって、思ってたふしもあるけど。
中学校ではマネージャーになったけど。身体的にむりかなあ?だし、村上先輩にアピールするためで、入学してから先輩人気を知ったけど。
手の届かないアイドルみたいな竜生先輩より、春馬先輩の方がリアル感があるから人気なんだけど。
話すとわりと、ううん、かなり変わってるけど。
ー優しい。
は、わかる。
まだ入学して間もないけど、ううん、間もないからか、人気なんだけど、
ー春馬先輩と神城先輩が?
まさか?だった。
「先輩たちがめちゃくちゃ興奮してるよ?嘘だって思ってたら、ほんとうにそうみたい。神城先輩が弟先輩には話すんだって」
「ほんとうに?」
私の声が呆然としすぎたからか、友人が慌てた。
「あっ、でも、神城先輩、スカウトされたから、東京に行くっぽいよ?そうしたら、別れるんじゃないかなあ?だから、気にしなくても?」
「だけど、柴原先輩が赤木先輩とわかれて、村上春馬先輩と急接近してるらしいよ?」
「柴原先輩って、バスケ部の?めちゃくちゃ頭良くて、美人で、あの和菓子店の?」
「うん、お嬢様先輩」
「顔だけなら神城先輩にも負けてないんじゃない?柴原先輩。変わってるけど、優しいよ?」
ってバスケ部の子が口をはさんできた。
「赤木先輩にはもったいない感じだし、村上春馬先輩とお似合いだと思うけど?」
「だから、村上春馬先輩は、神城明日菜先輩と付き合ってたんだって」
「…ほんとうに?」
また繰り返した私に、友人たちが気の毒そうな視線を送ってきたから、
ー唖然とした。
人気あるけど、
ー村上先輩が、恋、?
あと2年かけてアピールするつもりだったのに。
ーえっ?
だった。